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ウェブ技術の標準化を推進する団体 W3C(World Wide Web Consortium)は12月10日、CSS Writing Modes Level 3を批准プロセスの最終段階であるW3C勧告(REC/Recommendation)とすることを正式発表した。
英語やヒンディ語などは横書きの左から右への記述だが、ヘブライ語やアラビア語などは横書きの右から左への記述となる。日本語縦書きは右から左への行送りだが、同じく縦書きのモンゴル語は左から右への行送りとなる。
CSS Writing Modes Level 3は、こういった世界中のさまざまな言語の記述方向をウェブ上で実装可能とする、CSSの新たな国際標準仕様だ。これにより、ウェブの同じページ上にあるテキストを縦書き/横書き混在にしたり、左から右/右から左の行送りにすることが可能となる。また、双方向混在の記述における分離や、字形の方向制御、縦書き行中に短い横書き文字列を挿入する機能も追加された。
なお、新しい仕様の機能は勧告案(PR/Proposed Recommendation)の時点で、少なくとも2つ以上のブラウザで実装されていることなどが要件になっている。これがW3C勧告になったことにより、実装途中の新技術という段階から、世界中で安定して使用できる仕様へと変わったことになる。
W3C Steering Committee(運営委員会)のメンバーで、慶應義塾大学 環境情報学部教授の村井純氏は、「2004年にW3C CSSワーキンググループがテキストレイアウトの開発に着手してから15年、本日がCSS Writing Modes Level3がW3C勧告に到達したマイルストーンです。数え切れないほどの議論や開発、調整、そして日本だけでなく、多くのアジア諸国の協力のおかげで、日本の文化でもある縦書きCSSがWeb上で、ついに国際的な標準になりました。」とコメントしている。
また、一般社団法人日本電子出版協会(JEPA)CTOで、IDPF EPUBワーキンググループの国際化サブグループで当時リーダーだった村田真氏は、「日本の電子書籍ビジネスの黎明期において、OWPに縦書きがないことは深刻な障害でした。幸いなことに、ぎりぎりのタイミングでCSS Writing Modesが始まりました。W3Cの援助なしには、日本の電子書籍ビジネスの繁栄はあり得なかったのです。」とコメントしている。ほか、BPS株式会社、講談社、ヤフージャパンが声を寄せている。
参考リンク
W3Cのリリース(日本語版)
https://www.w3.org/2019/12/pressrelease-css-writing-modes-rec.html.ja
W3Cのリリース(英語版:JEPA村田氏以下のコメントはこちら)