《この記事は約 6 分で読めます(1分で600字計算)》
【目次】
電子出版物の利用率
こういった電子出版物を、ユーザーはどの程度利用しているのでしょうか? インプレス総合研究所が発行している「電子書籍ビジネス調査報告書」では毎年、比較的大規模な利用実態調査を行っています。「スマートフォン・タブレットでインターネットを利用している個人」が対象ですが、電子出版物の利用端末は限定していません。
全体ではまだ半数に届いていない
本稿執筆時点で最新の2021年版1インプレス総合研究所『電子書籍ビジネス調査報告書2021』
https://research.impress.co.jp/report/list/ebook/501228は有効回答数8559で、過去1年間での有料利用率は20.5%、無料のみ利用率は24.7%、利用者全体は45.3%となっています。次のグラフは利用率の推移ですが、じわじわと伸び続けていることがわかります。しかし、まだ半数に届いていません。「伸びしろがある」と考えることもできるでしょう。
性年代別では、有料利用率が高いのは男20代29.5%、男30代28.5%、女30代25.5%。無料のみ利用率が高いのは女10代37.6%、男10代30.9%、女20代29.7%。男女とも、有料無料問わず、年齢層が高いほど利用率は低くなります。逆に、30代以下の利用率は、すでに50%を超えています。
近年、スマートフォンは高齢者にも広まりつつあります。ところが、電子出版物の利用率が低い高齢者のシェアが高まることにより、全体の利用率を押し下げるほうへ作用しています。老眼で小さな文字を読むのが辛くなってきた高齢者でも、文字の大きさを任意に変更できる電子出版物なら読書を楽しむことができるはず。実際、筆者の両親(70代後半)はパソコンやタブレットで本を読んでいます。まだそういう認識があまり広がっていないことや、情報技術を使いこなせない「デジタルデバイド」の問題などが壁になっているのでしょう。
―― この続きは ――
《残り約1400文字》
〈前へ〉