「不正アクセスと情報流出相次ぐ」「『地球の歩き方』が学研グループへ事業譲渡」など、週刊ニュースまとめ&コラム #449(2020年11月15日~21日)

週刊ニュースまとめ&コラム

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 2020年11月15日~21日は「不正アクセスと情報流出相次ぐ」「『地球の歩き方』が学研グループへ事業譲渡」などが話題に。広い意味での出版に関連する最新ニュースから編集長 鷹野が気になるものをピックアップし、独自の視点でコメントしてあります。

【目次】

国内

日本図書館協会(JLA)、著作権法第31条における「図書館等」の範囲に学校図書館を含めることの意義等を示した資料を公表〈カレントアウェアネス・ポータル(2020年11月16日)〉

 著作権法第31条の「図書館等」には、学校図書館が含まれていません。正確には「政令で定めるもの」となっており、現在の著作権法施行令では含まれていない状態になっています。経緯を調べてみたのですが、1970年の著作権法全面改定直前まで「含まれる」方針で進んでいた模様。著作権者からの猛反対で学校図書館は除外されることになったらしいのですが、物証が見つからない。もうちょっと調べてみます。

 この資料では、第35条(学校その他の教育機関:授業の課程)では対応仕切れない事例について、「家族や知り合いと関係がある新聞記事のコピーの依頼」など具体的に挙げて状況を訴えています。実はこれ、日本複製権センター(↓)に使用料を払えば解決する話ではあるのですが、こんどは学校の経費を圧迫することに。なかなか難しいところですね。

公益社団法人日本複製権センター(JRRC)は文化庁長官の登録を受け、著作物の複写等に関する権利を集中管理している公益社団法人です。

小学館子会社のネット書店に不正アクセス、1000件超のカード情報流出か〈ITmedia NEWS(2020年11月16日)〉

小学館パブリッシング・サービスのネット書店で不正アクセスが発生。1036件のクレジットカード情報が流出した可能性がある。

 BOOK SHOP小学館で、カード名義人、カード番号、有効期限、セキュリティコードなどが流出。「セキュリティコード保存してたの!?」と思ったのですが、ウェブセキュリティの専門家である徳丸浩氏によると「リリースの内容からクレジットカード情報入力フォームの改ざんによる漏洩と推測される」そうです(↓)。セキュリティコードが漏洩しているからといって、セキュリティコードを保存していたとは限らないようですね。なるほど。

 なお、NPO法人HON.jpのイベント参加チケット販売で利用している「Peatix」でも不正アクセスがあり、最大677万件の個人情報流出がありました(↓)。こちらは、クレカ情報は含まれていません。OAuth認証ではなくパスワードを設定していた場合、アクセスすると強制リセット&再設定を促されます。利用していた方にはすでにメールで案内が届いていると思いますが、パスワードは早めに変えておいたほうがいいでしょう。

電子チケット販売プラットフォーム「Peatix」が10月に不正アクセスを受け、ユーザーの氏名やメールアドレス、暗号化されたパスワード最大677万件が引き出されていた。

書店スタッフの口元が「超大型巨人」に 講談社、マガジン作品のマスクを作成〈ITmedia NEWS(2020年11月17日)〉

講談社は、「進撃の巨人」「炎炎ノ消防隊」など週刊少年マガジン掲載作品をモチーフにしたオリジナルマスクを作成、書店に配布した。店内での作品PRに役立てる。

 近所で市松模様のマスクをしたキッズは見かけたことがありますが、これはなかなかインパクトがある。ただし超大型巨人はさすがに「キモチワルイ」という反応も。そういえば以前、「顔面広告.com」というのがあったのを思い出しました(↓アーカイブ)。

顔面広告とは、1日1万円で担当者の顔面に広告を掲載出来るサービスです。お客様からいただいたアイコン画像を専用のステッカーへ印刷し、担当者の顔面へ掲載。掲載したまま街中を移動したり打ち合わせをすることにより、今までに無いエクセレントな広告効果を発揮することでしょう。Produced by Liverty.

 ちなみにマスクと広告についてちょっと調べてみたんですが、販促用マスクはワンポイント1色なら単価65円ほどで作れるようです(↓例)。ティッシュのようなチラシ封入であれば結構安い。ニーズもあるので、喜ばれそうです。

当社の販促マスクは個別OPP袋入れだからそのまま配れて衛生的、そして広告チラシ入れも対応しております!! 販促マスクは街頭でもらって嬉しいアイテムNO.1です! 不動産・学習塾・大手メーカー・官公庁などの公的機関でも実績多数あり!販促用マスクの事なら何でもお任せ下さい。

ダイヤモンド・ビッグ社が「地球の歩き方」事業を譲渡 コロナ禍で海外旅行事業が大きく変動〈ねとらぼ(2020年11月17日)〉

 学研プラスが新設する「株式会社地球の歩き方」へ事業譲渡。業界関係者を中心に衝撃が広がっていましたが、まあ、消えて無くなるわけではなく事業継承されるなら全然マシではないかな、と。JAL / ANAなど航空業界や、JTBなど旅行業界には、コロナ禍直撃してますもんね。GOTOトラベルキャンペーンも、再度の感染拡大を受け、中止になるようですし。オリンピックもどうなるかわかりませんし、明るい兆しが見えない……。

成人向け漫画の電子書籍、無許可で複製し販売 容疑の男逮捕 正規より安く出品「問題ないと思った」/越谷署〈埼玉新聞(2020年11月18日)〉

 FANZAで作品を購入、無断でCD-ROMに焼いてオークションサイトに出品・販売していた容疑。そんな簡単に足の付く方法で……とも思いますが、「買ったものを二次的に使用している感覚で、漫画に関しては問題ないと思い、続けていた」などと供述しているそうで、悪いことだと思っていなかったようです。とほほ。

海賊版AVに誘導した疑い「リーチサイト」開設と運営の男逮捕 全国初摘発〈京都新聞(2020年11月19日)〉★

インターネット上に公開された海賊版のアダルトビデオ(AV)に視聴者を誘導する「リーチサイト」を運営し...

 出版とは直接関係ありませんが、10月1日に施行された改正著作権法のリーチサイト規制で初の摘発ということでピックアップ。京都府警サイバー犯罪対策課です。同時に、ディープフェイクによる合成AVで芸能人の名誉を棄損した疑いでも摘発されています。

株式会社オトバンク、「オーディオブック利用調査2020」を公表〈カレントアウェアネス・ポータル(2020年11月19日)〉

 今年も出ました、オーディオブック白書。あくまで「audiobook.jp」利用者へのアンケート調査ですが、傾向は掴めるでしょう。コロナ禍でオーディオブックの利用に変化があったか? という質問に、約3割が「かなりあった」「あった」と回答、そのうち約7割が「聴く量(時間や作品数)が増えた」と回答しています。「移動中」の利用が最多で85%なのですが、在宅勤務が増えてもポジティブな影響が出ているのですね。興味深い。

オーディオブックサービス「Audible」が日本語独自コンテンツを強化。第一弾は堤幸彦監督作品〈ASCII.jp(2020年11月21日)〉★

Amazon傘下でオーディオブックサービスを提供する「Audible」は11月19日、日本での戦略発表会を開催。オリジナルコンテンツを強化していく方針を明らかにし「TRICK」シリーズの堤幸彦監督による“聴く映画”「アレク氏 2120」の配信を発表した。

 こちらはアマゾン傘下のAudible、日本での戦略発表会のレポートです。こちらもコロナ禍で「ポジティブな影響」が出ているようです。書籍のオーディオ化ではなく、オーディオブックで楽しむことを前提に書き下ろされた「オーディオファーストパブリッシング」作品も登場しているそうです。力の入れ方がすごい。

大人が知らない間に「若者のライトノベル離れ」が起きていた…!(飯田 一史)〈現代ビジネス(2020年11月21日)〉

ライトノベルの読者年齢が上がっているとよく言われる。ラノベはもう10代に読まれなくなったのか?

 ちょっとタイトルと本文にギャップがあるコラム。「若者のライトノベル離れ」というより、むしろ「ライトノベルの若者離れ」という結論になっています(※サブタイトルはあとから「ラノベの中学生離れ」に書き替えられた)。飯田一史氏は『ウェブ小説の衝撃』の著者で、なろう系などネット発コンテンツの状況にもかなり詳しい方なので、タイトルは編集者が勝手に決めたのかな? という感じ。

図書館の本、紙のコピーだけでなく「ネットにも送信」…出版界への波紋〈読売新聞オンライン(2020年11月20日)〉★

「図書館の蔵書や資料をデジタル化し、インターネットで直接、利用者に送信できるようにするべきだ」とした報告書を、文化庁の文化審議会のワーキングチーム(WT)が11月13日にまとめた。文化庁は来年の通常国会に著作権法の改正

 文化庁文化審議会ワーキングチーム報告書に対する、出版業界側の反応。新潮社の佐藤隆信社長が「何とか止めないといけない」と語気を強めているそうで、正直、相変わらずだな……と思ってしまいました。補償金制度ができれば、むしろポジティブな影響が出るように思えるのですが。利用者負担で、コピー同様「買ったほうが安い」くらいの料金設定が想定されていますし。なお、入手困難資料の家庭配信については、この記事では触れられていませんでした。

海外

本を Kindle セールおよび Prime Reading (Beta) に推薦する〈KDPコミュニティ(2020年11月11日)〉★

 推薦というか「自薦」する仕組みが追加、というお知らせが出ていました。ただし日本は未対応。現時点で「KDPセレクトに登録されていること」が条件になっており、独占配信をより強化するための施策と言えるでしょう。推薦したところで選ばれるとは限りませんし、そもそも売れていない本がセール対象になることは考えづらい。正直、ガス抜きかなあ? という感じ。

Kindle Books now cost more, even with the 0% VAT in the UK〈Good e-Reader(2020年11月16日)〉

During the height of the global pandemic the UK government fast tracked the removal of the 20% VAT on ebooks. The elimination of tax was thought to lower the price on the average title, since companies like Amazon, factored it into the list price. Six months later, ebooks actually increased in price. Amazon blames the publishers. The average price of the 100 bestselling Amazon Kindle books have...

 イギリスの話。電子書籍のVAT(消費税)が20%から0%に下がったのに、出版社がそれを考慮した販売価格に調整していない、とアマゾンが批判しているそうです。つまり、出版社側に価格決定権があるエージェントモデルに限った話でしょう。これはまっとうな批判。

Penguin Random House, Hachette and Harpercollins most likely to buy S&S〈Good e-Reader(2020年11月17日)〉

Penguin Random House, Hachette and Harpercollins are the three leading bidders to purchase Simon and Schuster, the 3rd largest publisher in the world. The New York Times is reporting that the sale price is $1.7 billion and the bids must be officially made by Thanksgiving and the deal should be announced a few days later. Simon and Schuster's revenue rose 20% last quarter on bestselling tit...

 今年の3月に、ビッグ5のひとつであるサイモン&シュスターが、約12億ドルで売却の意向というニュースがありました(↓)が、ペンギンランダムハウス、アシェット、ハーパーコリンズが名乗りを上げているという続報がありました。独占禁止法上の問題がありそう、という見解も。売却額は、17億ドルに上がっています。

 3大ネットワークTV局のCBSなどを傘下に持つメディア・コングロマリットのヴァイアコムが、出版社のサイモン&シュスターを約12億ドルで売却する意向であると、ボブ・バキッシュCEOが発表した。 ヴァイアコムは売却理由を、ストリーミング・サービスに注力するためのキャッシュが必要だからとしている。サイモン&シュスターは「ビッグ5」のひとつで、ヘミングウェイやF・スコット・フィッツジェラルドを出版している、96年の...

Apple、アプリ配信手数料下げ 中小向け15%に半減〈日本経済新聞(2020年11月18日)〉

【シリコンバレー=白石武志】米アップルは18日、有料アプリ開発者に課している30%の配信手数料について、中小事業者向けを2021年1月から15%にすると発表した。高額との批判が米議会などから出ており初の引き下げに踏み切る。約2800万社にのぼる開発者の負担軽減につながるがアプリ審査の不透明感や課金手段をアップルが独占する課題は残る。アップルはソフト配信基盤の「アップストア」を使う開発者に対し、

 年間販売額合計が100万ドル以下の企業は、手数料が半分に。「フォートナイト」のエピックゲームズが訴えていたボリュームディスカウントとは真逆の、中小を優遇して裾野を広げる施策です。天邪鬼か。この程度の額だと電子書店系はほぼ対象外だと思うので、残念ながら出版関係への影響はなさそうです。

バズフィード、ハフポストを統合へ 米ネットメディア (写真=AP)〈日本経済新聞(2020年11月20日)〉

【ニューヨーク=清水石珠実】米ネットメディア「バズフィード」が同業の「ハフポスト」を統合することがわかった。ハフポストの親会社、通信大手ベライゾン・コミュニケーションズが19日に発表した。ネットメディアは近年、広告収入の拡大に苦戦していたうえ、新型コロナウイルスの影響でさらに広告収入が縮小し、再編機運が高まっていた。バズフィードとハフポストは、株式交換のかたちで統合する。統合された新企業は、バ

 アメリカの話。株式交換なので、ベライゾンがバズフィードに資本参加、とも言えます。こういう再編、今後もどんどん起きそう。なお、日本のバズフィードはヤフージャパンとの合弁、日本のハフポストは朝日新聞との合弁なので、本件とは関係なさそうです。

「100日後に死ぬワニ」ついに海外進出 上海でショップ開店、中国語版で書籍化〈J-CAST トレンド(2020年11月21日)〉★

「100日後に死ぬワニ」が、中国・上海でポップアップショップを開催する。ツイッター上に「お知らせ」が記されたチラシが出回り、一部で「100ワニ海外進出か」と話題にあがった。J-CASTトレンドが取材したところ、事実だと分かった。中国では「100ワニ人気沸騰中」なのだろうか――。カフェでは限定「輸入グッズ」発売かインターネット上で出回っているチラシには、「簡体中国語版出版およびコラボカフェの開催のお

 J-CASTによる、タイトルだけ読むとポジティブに見えるけど、内容的には揶揄する記事。グッズはともかく、書籍は累計35万部突破という立派な数字が出ているわけで、他言語展開も不思議ではないと思うのですが。

ブロードキャスティング

 11月22日のゲストは漫画ソムリエの東西サキさんでした。上記のタイトル後ろに★が付いている5本について掘り下げました。

 次回のゲストは東京ネームタンク代表のごとう隼平さんです。ZoomではYouTubeへのライブ配信終了後、オンライン交流会を開催します。詳細や申込みは、Peatixのイベントページから。

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CC BY-NC-SA 4.0
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※本稿はクリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 – 継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0)ライセンスのもとに提供されています。

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著者について

About 鷹野凌 595 Articles
HON.jp News Blog 編集長 / NPO法人HON.jp 理事長 / 明星大学でデジタル編集論・二松學舍大学でエディティング・リテラシー演習担当の非常勤講師 / 日本出版学会員 / デジタルアーカイブ学会員 / 主な著書『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』(2015年・インプレス)/ プロフィール画像は©鈴木みそ氏
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