「図書館問題研究会が有害図書の指定拡大と軽減税率適用を目的とした自主規制に反対声明」「Facebookで5000万人の情報流出」など、出版業界気になるニュースまとめ #341(2018年9月24日~30日)

出版業界気になるニュースまとめ

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 2018年9月24日~30日は「図書館問題研究会が有害図書の指定拡大と軽減税率適用を目的とした自主規制に反対声明」「Facebookで5000万人の情報流出」などが話題に。編集長 鷹野が気になった出版業界のニュースをまとめ、独自の視点でコメントしてあります。

国内ニュース

「「有害図書」指定の拡大に反対するアピール」「出版物への消費税軽減税率の適用を求めるとともに、「有害図書」の自主規制に反対します」を掲載しました〈図書館問題研究会(2018年9月24日)〉

 図書館問題研究会から、2つの反対声明。1つは、黒沢哲哉氏『全国版あの日のエロ本自販機探訪記』(双葉社)と稀見理都氏『エロマンガ表現史』(太田出版)が、滋賀県と北海道で相次いで「有害図書」に指定されたことを受けての反対声明。もう1つは、出版物への消費税軽減税率を求めつつ、「有害図書」を自主規制しようとしている動きへの反対声明です。私も、公権力による表現の自由への干渉はもちろん、公権力に忖度したような自主規制にも反対です。なお、図書館問題研究会は、1955年5月に49名の図書館員によって結成された個人加盟の団体です。

本や書店に関する利用意識を調査。紙の書籍は「大切な本」 電子書籍は「持ち歩き」と使い分け〈市場調査メディア ホノテ(2018年9月25日)〉

 紙と電子、併用率や利用シーンなど、マクロミルによる調査。電書の利用率が34%で、併用率が33%ということは、ほとんどの電書ユーザーが併用しているということに。なにしろ紙しか出ていない本もまだ多いので、併用せざるを得ないのが現状です。利用シーンで、電書は移動を伴う場合に選ばれているというのは、納得しやすい。重さ変わらないですからね。以前は、帰省時にはいつもハードカバー何冊も持ち運んでいました。

2017年度出版物販売額は1,622,302百万円・前年比94.2%:人口当たり書店数は3年連続の減少、1万人当たり0.82店舗に〈ほんのひきだし(2018年9月26日)〉

 9月25日に発行された日販『出版物販売額の実態2018』から、2017年度調査結果の概要です。1書店あたりの本坪数がいまだに増加傾向であること、インターネットルート(通販のみ・電子出版は含まれない)がCVSルート(コンビニ)を越えたこと、電子出版物の1人あたり購入額が前年比112.4%と増加傾向であることなどがトピックスとして挙げられます。

 『出版物販売額の実態2018』は、第3部「都市別出版物販売額」で今年から新たに、各都市における紙・文房具店の店舗数と年間商品販売額が掲載されています。私は今年もPDF版を購入しました。日販運営のネット書店「Honya Club.com」にて誰でも購入可能です。

Google、画像検索結果の画像に制作者名と著作権者を明記へ〈ITmedia エンタープライズ(2018年9月28日)〉

 これは良い動き。自分でやってみるとわかりますが、ネットを流布している画像の著作権者を探すのは至難の業です。とくにGoogle画像検索は、そういう用途では「使いものにならない」というのが正直なところでした。どうやって実現したのかと思ったら、権利者団体の協力とのこと。YouTubeのコンテンツIDのように、権利者が登録している作品についての機能ということになるのでしょう。同じように、いずれ誤判定が問題になるような気がします。

「新潮45」休刊決定でもモヤモヤ感が残る理由〈東洋経済オンライン(2018年9月28日)〉

 私は、休刊のお知らせを見た瞬間「トカゲの尻尾切り」という言葉が思い浮かびました。若林編集長に一切語らせないまま幕を引くというのは、いろんな意味で禍根を残すように思います。これでは「部数が低迷していたから、休刊するいいきっかけになった」と捉えられても仕方がないのでは。モヤモヤ。

海外ニュース

密輸防止に紙の本を廃止したが、服役者にEブックはハードル高く〈hon.jp DayWatch(2018年9月27日)〉

 刑務所専門の通信社を通じて高額なデバイスを購入しなければならなかったり、本もタイトルによってはKindleより高くなったりという点がネックになっているとのこと。これ、刑務所に限った話ではないかも。一般への普及を阻害する要因と重なっているように思います。

Facebookの5,000万人分の情報流出について、いま知っておくべきこと〈WIRED.jp(2018年9月29日)〉

FB情報流出、13兆円ショック ザッカーバーグ氏神妙〈朝日新聞デジタル(2018年9月29日)〉

 Facebookを開こうとしたら、何度かセッション切れで再認証を求められるという症状が、ウェブでもアプリでも出ていました。「なんなんだ?」と思っていたら、情報流出の影響を受けた可能性のある9000万人に私も含まれていたようです。とほほ。記事によるとパスワード変更の必要はないようですが、念のため変えるのと同時に二段階認証を設定しておきました。ここ最近、不祥事続きのFacebook。開発チームのバグ発見が9月25日で、情報開示が28日というのはいかにも遅い。EU GDPRの「72時間以内に情報開示する義務」からすると、ギリギリでしょうか。それにしても、株価の急落で時価総額13兆円超が吹き飛んでしまうというのは、恐ろしいことです。

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著者について

About 鷹野凌 793 Articles
HON.jp News Blog 編集長 / NPO法人HON.jp 理事長 / 日本電子出版協会 理事 / 日本出版学会理事 / 明星大学 デジタル編集論 非常勤講師 / 二松学舍大学 エディティング・リテラシー演習 非常勤講師 / デジタルアーカイブ学会 会員 / 著書『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』(2015年・インプレス)など
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