EU新法対策のアルゴリズムでパブリックドメインの「マラー報告書」が海賊版として消される

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 ヨーロッパ連合(EU)の著作権指令にある通りに自動フィルターを使うと、合法なコンテンツまで削除されてしまうとこれまで懸念されてきたが、さっそく「マラー報告書」が消される事態となり、その一方で出版社がこぞってこの無料のコンテンツをベストセラー本にして儲けようとしている、とテクノロジーニュースサイトの techdirt が指摘している。

 先週ようやくビル・バー司法長官が公表した報告書だが、パブリックドメインの法廷記録も多く扱う投稿サイト、スクリブドでは著作権違法を理由に削除されてしまった。スクリブド側はアルゴリズムの不手際でこれが「著作権あり」の文書だと判断してしまったという。(既に再アップロードされている)

 おそらくいくつもの大手出版社が「マラー報告書」のタイトルで本を準備している過程で、海賊版が出回らないようにスクリブドに通常の申請をしたものだろうが、アメリカ連邦議会の公文書なのでパブリックドメインなのが当たり前だが、スクリブドが自動的にサイトから32の「マラー報告書」を削除してしまった。

 EUが改定した著作権法の第13条項では、海賊版の取り締まりに関してコンテンツのプラットフォーム業者が、事後の指摘によってではなく、事前にコンテンツチェックが求められるため、合法なのに海賊版指定されてしまうコンテンツが増えるであることは懸念されていた。

参考リンク

techdirtの記事
https://www.techdirt.com/articles/20190420/23233942052/scribds-takedown-public-domain-mueller-report-is-preview-eus-future-under-copyright-directive.shtml

アップデート

タイトルを「EU新法のアルゴリズム~」から「EU新法対策のアルゴリズム~」へ修正(2019.4.25)

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About 大原ケイ 224 Articles
NPO法人HON.jp 理事。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。
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