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この数年アメリカではノンフィクションの売り上げが好調だったが、どうやら陰りが見えてきたようだとフォーブス誌が伝えている。
2018年初めに刊行され、北米で170万部を売り上げたマイケル・ウォルフの『炎と怒り トランプ政権の内幕』(早川書房)を筆頭に、ジェームズ・コミー元FBI長官の『より高き忠誠』(光文社)が発売1週間で60万部、ワシントン・ポスト紙のベテランジャーナリスト、ボブ・ウッドワードの『FEAR 恐怖の男』(日本経済新聞社)が発売1週間で110万部、そしてミシェル・オバマ前ファーストレディーの『マイ・ストーリー』(集英社)が発売1日で72万5000部を記録し、450万部に到達するなど目を見張るような数字を出した。[※編注:部数はすべて北米、括弧内は日本語訳版の出版社]
だが、2019年に入って昨年のような数字は見られなくなり、ウォルフの続編『SIEGE: Trump Under Fire』(日本語未訳)は6月の発売以来、トップ20位にも入らなかった。
今年『マラー報告書』以外にベストセラー1位になったのは、トランプ大統領ご贔屓のフォックスTV局のコメンテーター、マーク・レヴィンの『UNFREEDOM OF THE PRESS』(日本語未訳)が4週間で30万部と悪くない数字だが、2018年の著書群には及ばない。
一方で、これら政治暴露本の陰でロングセラーとなっているのは、デリア・オーウェンズの『WHERE THE CRAWDADS SING』(日本語未訳)で昨年発売となった後、今年に入ってからもベストセラー1位に返り咲くなどして、90万7000部出ている。これは昨年秋に女優兼プロューサーのリース・ウィザースプーンが自身のブッククラブで推薦して映画化を決めて以来の人気で、政治暴露本疲れが見られても、ブッククラブの影響力は衰えていないということだろう。
参考リンク
フォーブス誌の記事
https://www.forbes.com/sites/adamrowe1/2019/07/29/the-publishing-industrys-political-tell-all-trend-is-flagging/
デリア・オーウェンズのWHERE CRAWDADS SINGに関する朝日新聞GLOBEの記事