W3Cなどが、EPUBCheck新バージョンのリリース前に資金援助を呼びかけ

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 EPUBで作った電子書籍のファイルにエラーがないかを公開前にチェックできる、EPUBCheckの新バージョンのリリースにあたって、関連団体が資金援助を求めている。

 これは、ウェブの国際標準を決める団体ワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアム(World Wide Web Consortium、以下W3C)や、障害者がアクセス可能なデジタル出版物の作成支援団体DAISYコンソーシアムが調整・管理するインクルーシブ・パブリッシングなどが呼びかけているもの。

 EPUBは、国際出版フォーラム(International Digital Publishing Forum、以下IDPF)が策定した国際標準規格。IDPFは昨年2月にW3Cと統合し、Publishing@W3Cとしてコミュニティグループを立ち上げるなどして再出発した。

 昨今では、コンテナ構造、パッケージ、メタデータ、マークアップ、そして内部でのレファレンスが一貫しているかなどを調べるツールであるEPUBCheckを通していないファイルでないと、受け付けないリテイラーがほとんどだ。

 EPUB 3.1でカバーしきれていなかったチェック機能を加えた3.2が、今秋アップデートされる。HTML、CSS、SVGの最新バージョンと対応し、EPUBのアクセスガイドラインを完全にサポートし、HTMLバリデーション、バグの報告や新機能のリクエストにも迅速に対応できるようになる。

 この新バージョンのリリースに向けて、出版業界のプレーヤーに寄付を募り、既にマクミラン、アシェット、ペンギン・ランダムハウス、ハーパーコリンズといったアメリカのビッグ5から、日本のボイジャーまでが資金提供者に名を連ねている。金額は2万ドル以上の大口「リーダー」から、1000ドル以上の「ヘルパー」までいくつかの段階に分かれている。

参考リンク

W3Cの呼びかけ
https://www.w3.org/publishing/epubcheck_fundraising
Inclusive Publishingの呼びかけ
https://inclusivepublishing.org/news-and-events/news/epubcheck-development-update/
パブリッシャーズ・ウィークリー誌のW3CとIDPF統合の記事

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著者について

About 大原ケイ 289 Articles
NPO法人HON.jpファウンダー。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。
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