新型コロナウイルスで生物科学の論文出版が加速

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 既にデジタル化により激変した科学論文出版界だが、新型コロナウイルス(COVID-19)の出現により、さらに加速しているとアメリカの統計ニュースサイトが伝えている。

 新型ウイルスに関する疫病学的見解や予防・治療につながる生物学的情報は、一刻でも早く拡散する必要がある。昔は紙に刷った学術書を図書館に送っていたのが、信ぴょう性がバラバラな電子ジャーナルが登場し、オンラインでしか読めない論文も多い。

 これまで定期購読者のみに対応していた情報が、オープンアクセスのプラットフォームに取って代わられている。以前は学術誌に掲載される前に編集者によって選ばれた専門家がピア・レビュー(他の研究者による検証)していたものが、そのままオンラインで掲載されるようになった。

 中でも画期的なのは、物理や数学で始まっていたarXivWebサーバーが、生物医学の分野でも取り入れられたことだ。2013年設立の「BioRxiv」はいくつもの非営利団体のサポートを受け、さらに最近ローンチした「medRxiv」も急成長中で8万以上の論文が寄せられた。

 今回の新型コロナウイルスについて最初のpreprintが出たのが1月19日で、既に500以上の論文がある。今も毎日25〜30の論文が、主にmedRxivへ寄せられている。

 そのうち40%近くが中国からの投稿だが、世界中にパンデミックが広がるにつれて、他の国からの投稿も増えてきた。いちいちピア・レビューはしないが、ドメインの専門家グループによって、真面目な研究なのか、あるいはもし間違っていたら危険な論文ではないかなどがチェックされる。

 例えば、2月2日に出された論文にはウイルスの連鎖から人工的なものではないかとするものがあった。だが、数時間後に「バイオテロか?」とパニックが起きる危険性があると科学者が指摘し、翌日削除された。

参考リンク

statnews.comの記事 
https://www.statnews.com/2020/03/23/bioscience-publishing-reshaped-covid-19/

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著者について

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About 大原ケイ 271 Articles
NPO法人HON.jp 理事。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。
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