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一般財団法人情報法制研究所(JILIS)は10月11日、知的財産戦略本部 検証・評価・企画委員会の「インターネット上の海賊版対策に関する検討会議(タスクフォース)」で検討されているブロッキングの法制化には、前提条件に重大な過誤があり、根拠となる立法事実が存在しないという意見書を発表した。
意見書は、JILIS情報通信法制研究タスクフォースによるものと、弁護士の山口貴士氏によるものの2つ。山口氏は、米連邦地方裁判所でマンガ家を原告とし、被告は姓名不詳者(海賊版サイト運営者)として著作権侵害を理由とする損害賠償請求訴訟を提起。CDN(コンテンツ・デリバリー・ネットワーク)の米Cloudflare社やPayPal子会社に対し、発信者情報開示を求めるサピーナ(Subpoena:罰則付き償還令状)を発し、海賊版サイト運営者の情報開示に成功している。山口氏は意見書で「外国における司法手続きとは言え、合理的な費用負担の範囲で侵害者を探知する方法がある」としている。
この手法(ディスカバリー制度)は一般的に行うことが可能であり、政府タスクフォースの設置目的である「運営管理者の特定が困難であり、侵害コンテンツの削除要請すらできないマンガを中心とする巨大海賊版サイト」という前提が崩れている、というのがJILISの意見書の趣旨だ。少なくともブロッキングについては前提事実を見直した上で再検討が必要で、被害の軽減や、そもそも海賊版サイトが出現しにくい環境を整備するなどの、総合的な対策を推進すべきとしている。
参考リンク
インターネット上の海賊版対策の進め方に関する意見書
https://jilis.org/proposal/data/2018-10-11.pdf
意見書(山口貴士)