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日本マンガ学会は10月11日、自治体による「有害図書」指定範囲拡大に対する反対声明を発表した。マンガの中の性表現のあり方はマンガ研究の重要な研究対象であるとし、こういった図書までが自治体によって有害図書として指定されてしまう状況に、強い懸念と憂慮を表明している。
この声明は、3月23日に滋賀県が『全国版あの日のエロ本自販機探訪記』(黒沢哲哉著/双葉社)を、3月30日に北海道が『エロマンガ表現史』(稀見理都著/太田出版)を、それぞれ「有害図書」として指定したことを受けたもの。図版に関し、前者はほとんどが自販機の写真に過ぎず、後者は具体的な性描写も引用されているが、そもそもマンガ表現を分析・記述するためには具体的な図版の引用は不可欠としている。
声明文では、「自治体による有害図書指定は、公共図書館での収集や提供にも制限をもたらしかねず、また、性的な表現に関する研究の萎縮をも招きかねない。たとえば、大学図書館での資料収集に対する自己規制、講義やゼミにおいてこうしたテーマを取り上げることへの自粛要請なども危惧されるところである」と懸念を表明している。
日本マンガ学会は2001年の設立。国内外の研究者約500人が会員で、日本学術会議の協力学術研究団体に指定されている団体。会長はマンガ家の竹宮惠子氏。
参考リンク
自治体による「有害図書」指定範囲の拡大に対する反対声明(日本マンガ学会)