「週刊少年ジャンプ100万部割れ」「小学館マンガワン問題の第三者委員会調査報告書が公開」など、週刊出版ニュースまとめ&コラム #727(2026年8月2日~8日)

【写真】TSUTAYA BOOKSTORE 名鉄名古屋店(photo by TAKANO Ryou)
noteで書く

《この記事を読むのに必要な時間は約 14 分です(1分600字計算)》

 2026年8月2日~8日は「週刊少年ジャンプ100万部割れ」「小学館マンガワン問題の第三者委員会調査報告書が公開」などが話題に。広い意味での出版に関連する最新ニュースから編集長 鷹野が気になるものをピックアップし、独自の視点でコメントしてあります。メルマガでもほぼ同じ内容を配信していますので、最新情報をプッシュ型で入手したい場合はぜひ登録してください。無料です。クリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 – 継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0)でライセンスしています(ISSN 2436-8237)。

 なお、8月17日は夏季休暇明けのため休刊となります。あらかじめご了承ください。

お知らせ

朗読フェスティバル「NovelRecital」一般入場チケット販売を開始しました。小説家たちが“自分の作品を自ら朗読・販売”するハイブリッド・イベントです。9月19日(土)12時から世田谷文学館にて開催!

政治

SNSなりすまし広告、被害防止へ対応要請 政府がXなど5事業者に〈日本経済新聞(2026年8月7日)〉

「え? いまごろ?」と思ったのですが、総務省単独では2024年に要請していますね。今回のこれは7省庁連名です。まあ日本企業以外は「政府の要請」に従ったりしないですよね。法律で強制しないと。

海賊版サイト多数確認のベトナムで、日本作品への侵害で初の刑事事件化…男3人を著作権侵害容疑で摘発〈読売新聞(2026年8月7日)〉

この記事内では触れられていませんが、CODAのプレスリリースには「なお、この活動は、経済産業省受託事業の一環として行われました」と書いてありました。「インターネット上の海賊版に対する総合的な対策メニュー(PDF)」の一環でしょう。令和7年度補正コンテンツ産業成長投資支援事業(知的財産権侵害対策強化事業)を受託して、さっそく成果が出たことになります。素晴らしい。

社会

小学館『マンガワン』騒動の調査報告書公開 第三者委員会は人権意識・認識など指摘〈オリコンニュース(2026年8月3日)〉

小学館 マンガワン問題等第三者委調査書受け再発防止案公表 新たに人権委員会設置〈The Bunka News デジタル(2026年8月4日)〉

第三者委員会による調査報告書が出ました。翌日には再発防止策案人権委員会の設置が公表されてます。もちろん事前に準備していたのでしょう。報告書は半分くらいまでしか読めませんでした。読み進めるのが辛い。そういえば週刊ポストでもセクハラ問題が起きていたなあ……と思ったら、調査の過程で「週刊ポスト第2事案」が明らかになっていたようです。

深井智朗氏の論文など7編に捏造認定、3大学が共同で調査 故意性あったと判断 : 教育〈クリスチャントゥデイ(2026年8月3日)〉

カール・レーフラー事件がいまだに尾を引いているのですね。他の論文にも捏造が認定されました。その結果、出版社から絶版・回収のお知らせが出ていたりします。出版契約書ヒナ型通りなら「本著作物により権利侵害などの問題を生じ、その結果乙または第三者に対して損害を与えた場合は、甲は、その責任と費用負担においてこれを処理する」となっているはずなので、損害賠償請求って話になるとは思いますが……。

文学賞の著作物利用許諾について〈Taiyo Fujii, writing(2026年8月4日)〉

文学賞で、著作権譲渡・著作隣接権非行使条項ですか……それはキツイ。藤井太洋氏の提案に賛同します。

ヒップホップは「現代の口承文学」でラップは読書…「若者は本を読まない」言説に潜む「不平等への無自覚さ」(飯田 一史)〈現代ビジネス | 講談社(2026年8月4日)〉

小学生のころ、学校読書調査で「マンガや雑誌は除く」とされていたのを「なんで?」と先生に食ってかかったのをいまだに覚えています。マンガや雑誌を除いてもなお大量に読んでたんですけど、除かれることそのものに納得できず。先生、困ってたなあ。そしてその納得いかないことに食ってかかる性格のまま、こんな大人になってしまいました。まあ、いまだに納得してませんが。マンガや雑誌も読書でしょ。

ちなみに今年度の編集デザイン特殊研究(出版の演習授業)は、好きな曲について書く学生が多かったです。とくに歌詞の解釈についての論評とか(著作権法第32条の引用ルールはきっちり守らせてます)、なかなか面白い。ラップに限らず、歌詞の読解も読書ですよね。

デジタル教材で「学力低下」…「紙の教科書」復活が進むスウェーデン、急な方針転換に疑問も〈東京新聞デジタル(2026年8月5日)〉

タイトル後半の「急な方針転換に疑問も」がある点が、読売新聞と大違いです。ちょうど8月3日に開催された「デジタルな形態を含む教科書の発行・採択等の指針に関する検討会議(第4回)」の配布資料4「学力等への効果・影響、諸外国の動向について」は文部科学省初等中等教育局教科書課によるものですが、後半「諸外国の動向について」のところで「北欧諸国は紙に回帰している」みたいな雑な批判に対抗するための反論を積み上げています。

週刊少年ジャンプのグッズ、43億円分注文・キャンセルか 32歳女逮捕〈日本経済新聞(2026年8月6日)〉

うーわ。1人で43億円って可能なのでしょうか? グッズの単価を仮に2150円で試算してみます(計算しやすいので)。「ジャンプキャラクターズストア」は1回の注文で最大10個まで買えるので、毎回10個購入したとして注文は20万回。2023年10月以降とあるので、期間は3年弱。キリよく1000日とします(計算しやすいので)。つまり毎日約200回。アカウントが200個以上とあるので、それぞれ1日1回ずつという感じでしょうか。ゲーム感覚で1日中プチプチやってたなら、不可能ではない、か?

学生の「生成AIコピペ」レポートで悩む大学教員たち。留年・落単・減点も〈INTERNET Watch(2026年8月6日)〉

教員の声に苦笑い。ChatGPT登場直後から、レポート課題の出題はもう難しいって言われてましたよね。しかしまあ、手段が新しくなっただけで、不真面目学生のメンタリティは昔もいまもそれほど大差ないと思います。私自身が不真面目学生だったからよくわかる。昔は、先輩や友人のノートを借りてほとんど丸写しのレポートを出したりしていたわけですよ。それがいまは生成AIになっただけ。写経なら多少は身になる? ならないですよ。提出した次の瞬間、きれいさっぱり忘れます(忘れました)。

Danish pupils will have to orally defend essays in attempt to combat AI cheating(デンマークの生徒はAIによる不正行為に対抗するため、エッセイを口頭弁論しなければならない)〈The Guardian(2026年8月6日)〉

タイミングよくこんな記事が。生成AIに出力させたまま理解もしてない文章を提出したら、口頭では説明できないでしょうからね。INTERNET Watchの記事にも対策で「口頭試問の割合を多くする/対面で説明させる」というのがありました。しかしそれ、採点する側は膨大な手間がかかるわけですよね。少人数のゼミならともかく、大人数授業じゃ無理がある。あとは持ち込み禁止の筆記試験かなあ。まあ、なにをやっても「上に政策あり、下に対策あり」になる気がする。

経済

Amazonへのトラフィック減少は日本でも?出版社はどう対策する?〈オーディオブックファンクラブ(2026年8月2日)〉

恐らく「売上の減少傾向が見られる」という前提があって、トラフィック減少がその原因なのでは? という推測から書かれた記事だと思うのですが、その前提をまず共有して欲しいなあ……と思いました。Googleの「AIによる概要でクリックの質が向上」といった主張が正しいなら、CVRが向上している可能性があるわけですもんね。

……などといったことをFacebookで書いたら、タレコミが次々と飛んできて苦笑い。どうも「Amazonの売上が減少した」みたいな情報を、おおっぴらに語れない事情があるようです。神の怒りに触れちゃう、みたいな恐れを感じました。ちなみにウチは悪い点も忖度せず書いたら法人会員を継続してくれなくなりました。というかメールに返事もこなくなった。とほほ。まあ覚悟の上でしたが。

Substack、日本へ 記者・作家・ミュージシャン…書き手たちはなぜ大手メディアやSNSを離れ、ニュースレターに向かうのか 担当者に聞く〈一般社団法人デジタル・ジャーナリスト育成機構(D-JEDI)(2026年8月5日)〉

少し前からSubstackにも日本の書き手流入が起きているようで、「Substack最強」みたいなインフルエンサーの煽り(リンクは貼りません)も見かけていました。記事内にもあるように「現在の日本で言えば、noteやtheLetterが近いサービスです」から、日本でSubstackは後発のプラットフォームということになります。noteやtheLetterはもちろん、それ以前からある「まぐまぐ」「夜間飛行」などで書いている人たちを、どれだけ取り込めるでしょうか。ちなみにSubstackの特徴1番目に書かれている「購読者のメールアドレスのリストは書き手のもの」というスタンスはtheLetterも同じです。

かつて650万部を誇った「週刊少年ジャンプ」、発行部数が初の100万部割れ…国内の紙雑誌で「100万部超」ゼロに〈読売新聞(2026年8月6日)〉

先日たまたま「週刊少年ジャンプ」の印刷証明付き発行部数を確認したら100万部ギリギリだったので、そろそろ100万部割れそうだな……と思っていたところでした。650万部のころを知ってる世代としては、隔世の感があります。ところで「少年ジャンプ+」アプリで本誌電子版を毎週買ってる人はどれくらいいるんだろう? 公開されてませんよね。

『週刊少年ジャンプ』100万部割れでもノーダメージ?「部数減=出版不況」ではない理由を解説 創刊時の約3.3倍に上昇。58年間の価格推移も紹介〈LIMO | くらしとお金の経済メディア(2026年8月6日)〉

最後に「煽りを受けているのは、書店や出版取次、物流業者、印刷会社などの周辺業界です」とあるので、ステークホルダーみんながノーダメージという認識ではないようです。それはさておき、単純に価格を比べれば1968年(創刊)は90円、2026年は300円で、確かに約3.3倍です。でも消費者物価指数は2020年基準で1968年は27.5、2025年は114と、4倍以上になっているんですよね。一般的な商品の値上がりに比べたら、相対的には安いことになります。「くらしとお金の経済メディア」を名乗るなら、インフレ率くらいは考慮して欲しいところです。

集英社、創業100周年記念で海外向け漫画サービス開始 400作品100以上の言語に翻訳『ONE PIECE』『NARUTO』など〈オリコンニュース(2026年8月6日)〉

翻訳はすべてプロの翻訳家によるもので、作品の魅力や登場人物の言葉を大切に、公式ならではのクオリティでお届けする。

記事タイトルを見てページを開くまで「AI翻訳かな……」と思っていたのですが、見事に裏切られました。めちゃくちゃコストかけてますね! さすが集英社。それだけコストをかけて期間限定(予定では2027年12月末まで)で終わることはなさそう。次の展開のための調査も兼ねているのかな?

技術

塩野義製薬、生成AIの正答率を50→90%に 膨大な機密データをどう最適化した?〈キーマンズネット(2026年8月4日)〉

先週もお伝えしたように、HON.jp News Blogでもチャットボット(ベータ版)を公開したんですが、ナレッジベースには存在している情報をうまく回答として出力できない状況がちょいちょいあります。こういう記事を見るにやはり、参照させるデータの持ち方にも工夫が要るのだな、と。ううむ。一筋縄ではいかないなあ。

ひとつの事柄しか取り上げていない短い記事群であればシンプルなのですが、「日刊出版ニュースまとめ」や「週刊出版ニュースまとめ&コラム」のように、ひとつの記事内にいくつもトピックスがある形になっていると、ボットが検索する際のノイズになってしまうようなんですよね。分割してあげる必要があるっぽい。というところまで調べて未着手です。

人類はもうお呼びじゃない? 米ニュースサイトがAIクローラー対象の広告配信を開始【やじうまWatch】〈INTERNET Watch(2026年8月7日)〉

AIOだのGEOだのLLMOだの言ってるコンサルに騙されてしまったのかなあ? という印象。ボットに対し人間向けと違うコンテンツを見せるのって、Google検索では禁じ手ですよね。いわゆる「クローキング」でペナルティを食らいそう。そしていつか見た光景ですが、ペナルティを食らったことを伏せて「Google Zero」などと騒ぎたてる、と。マッチポンプか。

お知らせ

NovelJam 2026の開催をご支援ください!

今年もやります! 即興で小説を書いて本にして販売するまで3日間でやりきる出版創作イベント「NovelJam 2026」クラウドファンディングで資金募集中!

新刊『出版とフリー 〈無料〉との競争の果てに起きたこと』について

クリス・アンダーソンの名著『フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略』(2009年・NHK出版)を再読し、日本の出版状況に合わせて考察した10年前の連載コラムが本になりました。最終章は書きおろしの「生成AIとフリー」です。

HON.jp「Readers」について

HONꓸjp News Blog をもっと楽しく便利に活用するための登録ユーザー制度「Readers」を開始しました。ユーザー登録すると、週に1回届くHONꓸjpメールマガジンのほか、HONꓸjp News Blogの記事にコメントできるようになったり、更新通知が届いたり、広告が非表示になったりします。詳しくは、こちらの案内ページをご確認ください。

日刊出版ニュースまとめ

伝統的な取次&書店流通の商業出版からインターネットを活用したデジタルパブリッシングまで、広い意味での出版に関連する最新ニュースをメディアを問わずキュレーション。FacebookページやX(旧Twitter)などでは随時配信、このコーナーでは1日1回ヘッドラインをお届けします。
https://hon.jp/news/daily-news-summary

メルマガについて

本稿は、HON.jpメールマガジン(ISSN 2436-8245)に掲載されている内容を同時に配信しています。最新情報をプッシュ型で入手したい場合は、ぜひメルマガを購読してください。無料です。なお、本稿タイトルのナンバーは鷹野凌個人ブログ時代からの通算号数、メルマガのナンバーはHON.jpでの発行号数です。

雑記

7月の後半は毎日35度以上の猛暑日で今年も暑い夏を覚悟していたのですが、8月に入ったら猛暑日の頻度が下がってますね。朝夕は気温が下がって、比較的過ごしやすい。なんてことを言ってると、また本気出してきたりして。(鷹野)

CC BY-NC-SA 4.0
CC BY-NC-SA 4.0
※本稿はクリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 – 継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0)ライセンスのもとに提供されています。営利目的で利用される場合はご一報ください。

noteで書く

広告

新刊『出版とフリー』のご案内バナー画像

著者について

About 鷹野凌 963 Articles
NPO法人HON.jp 理事長 / HON.jp News Blog 編集長 / 日本電子出版協会 理事 / 日本出版学会理事 / 明星大学 デジタル編集論 非常勤講師 / 二松学舍大学 編集デザイン特殊研究・ITリテラシー 非常勤講師 / デジタルアーカイブ学会 会員 / 著書『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』(2015年・インプレス)など。

0 コメント
高評価順
最新順 古い順