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2026年1月20日から、Amazon KindleストアでDRMフリーに設定されている本が“その他のフォーマット”でもダウンロード可能になりました。さっそく試してみたところ、少々残念な仕様であることがわかったためレポートいたします。
【目次】
残念ポイント1:「EPUBまたはPDF」のはずが、リフロー型でもPDFだった
ユーザーがKindleストアで購入した本は、ウェブ版アマゾンの[アカウントサービス]→[コンテンツライブラリ(デジタルコンテンツ)]で確認ができます。DRMフリーに設定されている本は、その画面に「その他のフォーマットでもダウンロード可能」と表示されています(アイキャッチ画像参照)。
その本の右側にあるボタンの[その他のアクション]を開くと、[EPUB/PDFをダウンロード]というメニューがあります。それをクリックしてみたところ、いきなりPDFがダウンロードされました。リフロー型の本なのに、です。EPUBファイルをダウンロードする手段は、本稿執筆時点では発見できませんでした。
ダウンロードしたPDFのプロパティを確認したところ、セキュリティは一切かかっておらず、テキストデータも保持されていました。Adobe Acrobatでテキストファイルなどに書き出すことも可能です。つまり、リフロー型の本を画像に変換しているわけではありませんでした。まあ、二次利用しやすいのは良いと思います。
ただ、私のコンテンツライブラリで「その他のフォーマットでもダウンロード可能」と表示されている本は、数えるほどしか見つけられませんでした。Kindleストアを利用している方は、ぜひご自身のコンテンツライブラリを確認してみてください。
残念ポイント2:そもそもDRMフリーの本かどうかをユーザーが購入前に知る手段はいまのところなさそう
ところで、KindleストアでDRMフリーの本はどうやったら見つけられるのでしょう? 本の詳細検索にも「DRMフリー」の項目はありません。検索キーワードで「DRMフリー」と入れても、「『Kindleストア』に『drm フリー』の結果は見つかりませんでした」と表示されてしまいます。
ただ、「見つかりません」と表示しつつ、現時点では日本語書籍だと唯一『ダイレクト文藝マガジン 005号 「DRMフリーのKindle本を、家族や友人と貸し借りする方法」』が出てきます。タイトルに「DRMフリー」と入っているからでしょう。でも、この本がDRMフリーかどうかを購入前に確認する手段は見つけられませんでした。
そうなんです。いまは書誌情報のどこにも、DRMフリーかどうかを判別する項目がないのです。実は以前は、商品ページの少し下のほうにある「登録情報(ASINや出版社・発売日などが書かれているところ)」に、DRMフリーの本にだけ「同時に利用できる端末数:無制限」という表示がありました。以前は、この表示が購入前にDRMフリーかどうかを知る唯一の手段だったはずです。

これがいまでは、DRMフリーの本からも消えてしまいました。つまり、そもそもDRMフリーの本かどうかを、ユーザーが購入前に知る手段は、いまのところなさそうです。私は、自分がKDPで出版した本の一部を、DRMフリーに設定していました。だからこういう表示が以前はあったのを知っていました。
実は、もともとDRMフリーで配信している本であっても、今回の新機能は自動的に適用されません。KDPの場合、管理画面から「DRMを適用しない場合、この本の購入者(過去の購入者を含む)がPDFまたはEPUBファイルでダウンロードできることを理解しました」にチェックを入れて保存する必要があるとヘルプに書いてあります。
だから私は、アマゾンのKDPチームから事前案内が届いてすぐ、以前からDRMフリーにしていた本も「理解しました」にチェックを入れておいたのです。ところがその設定をしたうえで再度出版したところ、なんと「同時に利用できる端末数:無制限」の表示は消えてしまいました。
つまり、DRMフリーであることをユーザーにアピールしたいなら、タイトルや内容紹介文に「DRMフリー」と追記しておく必要がある、ということになります。なお、DRMありで配信していた本でも、DRMフリーに変更可能であることは確認できています。私がDRMフリーで配信している本は、たとえばこちらやこちらです。
なお、私のコンテンツライブラリで「その他のフォーマットでもダウンロード可能」と表記されている本は、私が出版した本以外では見つけられませんでした。商業出版で、KindleストアにおけるDRMフリー配信を許容するところは少ないでしょうから(技術書系出版社が直営ストアでソーシャルDRM配信していることはもちろん知っています)、この新機能が予告された当時も「ほとんど影響ないんじゃなかろうか?」という身も蓋もない予想をしていました。
裏を返せば、いまならDRMフリーを差別化ポイントとしてユーザーに訴求することが可能、ということです。自分で出版している本なら、自分の責任で設定を変えられますからね。
残念ポイント3:KDPでDRMフリー設定するのも一苦労だった
ただしその設定をする際に、実は私はちょっと苦労しました。KDPカスタマーサポートには連絡済みなのですが、KDPの管理画面でDRMフリーの設定をしたのち「保存して続行」ボタンを押すと「プレビューを生成しています」という表示が数時間続いたのち、「予期しないエラーが発生しました。後でもう一度試してください。」というメッセージが出て保存できない、という症状に悩まされました。

この段階でKDP管理画面の本棚へ戻ると「未出版の変更あり」という表示が出ていました。改めて「電子書籍のコンテンツの編集」を開くと、ラジオボタンは「いいえ、デジタル著作権管理(DRM)を適用せず~」になっていました。そこで本棚へ戻り再出版したところ、無事にDRMフリーでPDFまたはEPUBファイルをダウンロードできる状態にすることができました。
私の場合、2013年から2017年にかけてKDP出版した本だったので、もしかしたら古いDRMや古いフォーマットで保存された状態だったのかもしれません。この記事を読んで「もう古い本だしDRMフリー化して再訴求しようかな」と思った方が、同じ症状に悩まされる可能性があるため、実体験として記録を残しておきます。









