キンドルの読み放題サービスとヨメヨメ詐欺の攻防は続く

 今月1日に、米アマゾンのセルフ・パブリッシング・サービスである「キンドル・ダイレクト・パブリッシング(KDP)」が定額読み放題サービス「キンドル・アンリミテッド」に著作を提供する際のガイドラインを改定し、詐欺行為を予防する動きに出たが、まだまだ取り締まりが甘いとユーザーから指摘されているとフォーブス誌が報じている。

 問題となっているのは、過去の作品をいくつも1つのタイトルにまとめて長い作品としたり、ボーナス・コンテンツとして本編の後に前作や資料などが長々と付け加えられ、数千ページ分にもなる作品をアップロードし(現在上限は3000ページ)、後ろのページに跳ぶリンクをつける、Book Stuffing と呼ばれる行為。これは、「キンドル・アンリミテッド」サービスでなるべく多くのページ数を読んだと思わせるための行為だ。

 現在「キンドル・アンリミテッド」の印税は、アマゾンが全体の報酬額を決め(2018年5月は総額2120万ドル)、そこからユーザーがアクセスした最終ページまでの分を「読了」と判断し、そのページ数で著者に報酬を支払うシステムとなっている。中には毎月10万ドル単位で稼ぐ常習犯もいるとフォーブス誌は伝えている。

 アマゾンはこういった詐欺行為を防ぐ措置として、ボーナス・コンテンツは全体の10%までとしたり、急に本の最後まで跳ばすようなリンクを禁止した。さらに、そのリンクを踏めば「ギフトや特典があります」というプロモーションも禁じている。その一方でガイドラインを決めたものの、取り締まりが甘いことを指摘されている。

 Inc.誌や GeekWire も、KDPの読め読め詐欺の常習犯だったチャンス・カーターという著者のアカウントこそ出入り禁止にしたものの、作品の9割以上が“盛られた”本が野放しになっていると報じた。

参考リンク

フォーブスの記事:
https://www.forbes.com/sites/adamrowe1/2018/06/25/new-amazon-book-stuffing-rules/#153316e57c3f
Inc.の記事:
https://www.inc.com/minda-zetlin/amazon-book-stuffing-authors-scam-chance-carter-romance-kindle-unlimited.html
GeekWireの記事:
https://the-digital-reader.com/2018/06/08/kindle-unlimited-cheat-chance-carters-ebooks-have-been-removed-from-amazon/

藤井太洋の頭の中
About 大原ケイ 68 Articles
NPO法人日本独立作家同盟 理事。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。