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先週は「欧州GDPR施行の影響は」「楽天Koboに入門機登場」「株式会社magaport設立」などが話題に。毎週月曜恒例の、出版業界関連気になるニュースまとめ、2018年5月28日~6月3日分です。
GoogleとFacebook、GDPR施行初日にさっそく提訴される〈ITmedia NEWS(2018年5月27日)〉
EUの個人情報保護規定GDPRが施行された5月25日に、さっそくGoogleとFacebookが提訴されたとのこと。アメリカの巨大IT企業狙い撃ち規制だというのがモロにわかる事象です。
GDPR施行で一部米メディアがEUで閲覧不能に Instapaperも停止中〈ITmedia NEWS(2018年5月28日)〉
こちらはアメリカ企業側の対応。欧州からのアクセスを一律シャットアウトしてしまえば規制には引っかからないという、荒っぽいやり方。しかし、狙い撃ちされているアメリカ企業は、訴訟で巨額賠償金を課せられるのが目に見えてますから、こういう対応が正しいのかもしれません。
ちなみに、わたしがこのブログで利用しているGoogleの「Blogger」は、5月25日になって急に「ブログに通知を追加しました」というお知らせが管理画面に出ました。欧州からアクセスした場合、Googleのcookie利用に同意を得る通知が出るようです。
高年層のSNS利用が増える一方で、若中年層のSNS離れが始まったのか〈メディア・パブ(2018年6月1日)〉
総務省による最新の調査結果。40代未満で数%ずつ減少傾向が見られます。日本でLINEの利用率は10代・20代あたり90%超えていてもおかしくないと思うのですが。ちょっと不思議な傾向。調査票も確認してみたのですが、「ソーシャルネットワーキングサービス(Facebook、Twitter、LINE、mixi、Instagramなど)の利用」と書かれており、あまり誤解する余地はなさそうです。記事の後半にも書かれているように「平成29年調査では、調査票の回収率向上のため従来とは違う簡易調査票も用いて」いるのが原因かもしれません。
DIGITAL LOVE & PEACEな未来へ:編集長・松島倫明から読者の皆さんへのメッセージ〈WIRED.jp(2018年6月1日)〉
『WIRED』日本版の新編集長に、元NHK出版で『FREE』『SHARE』『MAKERS』『ZERO to ONE』『限界費用ゼロ社会』『〈インターネット〉の次に来るもの』などの翻訳書を手がけた松島倫明氏が就任。挨拶記事をアップしています。なお、ご本人のFacebook投稿によると、11月には雑誌版『WIRED』も復刊予定(第31号)とのことです。
“危機意識”で団結したアダルトコミック業界 「読み放題」実現のワケ〈ITmedia NEWS(2018年6月1日)〉
「Komiflo」推しのアイティメディア。参加しているのはワニマガジンとコアマガジンの2社なので、一般向けで考えたら、集英社・講談社がタッグを組んだようなものでしょうか。
確かにそれはすごいことだと思うのですが、それなら「マガジン☆WALKER」のことも、もっと取り上げてあげればいいのに、と思ってしまいます。KADOKAWAはもちろん、少年画報社、徳間書店、リイド社、双葉社、幻冬舎、ノース・スターズ・ピクチャーズ、ジュリアンパブリッシング、ぶんか社、新書館、祥伝社、フロンティアワークス、秋田書店、大洋図書、リブレなどが参加していて、月額500円(+税)のコミック誌を中心とした読み放題サービス。基本は「dマガジン」と同じシステムですが、話別分割がない、ウェブでお気に入りした雑誌だけがアプリで表示されるなどの違いがあります。SNSシェア機能の追加など、もう少し使いやすくして欲しいなとは思いつつ、もっと評価されるべきとも思います。
楽天koboの入門機が進化! 「Kobo Clala HD」は8GB、シリーズ最小に加えて新機能も搭載〈GetNavi web(2018年6月1日)〉
新型登場。内部ストレージ8GB、シリーズ最軽量の166グラム、高速ページめくり搭載、自動調光のフロントライトと、エントリーモデルとして位置づけられているわりに高機能。1万4904円は頑張った感。
電通、富士山マガジンサービスと合弁会社「株式会社magaport」を設立〈MarkeZine(2018年6月1日)〉
合弁会社を設立、出版社向け電子雑誌業務支援システム「マガポート」を軸に、BtoBの領域を強化していくようです。なお、電通が運営してきた電子雑誌サービス「マガストア」は、7月1日に富士山マガジンサービスへ事業譲渡されます。なるほど。
出版状況クロニクル121(2018年5月1日~5月31日)〈出版・読書メモランダム(2018年6月1日)〉
毎月楽しみな、小田光雄氏の出版状況クロニクル。相変わらず暗い話題ばかりが中心。末尾の「『出版状況クロニクルⅤ』は5月初旬に刊行されたが、当然のこととはいえ、取次によってはブロッキング化されたような扱いで、書店で見て、手にとる機会が少ないのではないかと推測される」というのが。なお、論創社公式サイトからは、Amazon、紀伊國屋書店ウェブストア、楽天ブックス、7ネットショッピング、hontoへのリンクが貼られています。電子版はないみたい。
出版取次、苦境一段と 日販、出版社に物流費転嫁 トーハンは経営陣刷新〈日本経済新聞(2018年6月2日)〉
物流コストの上昇を出版社へ転嫁するための交渉が難航しているようです。まあそりゃそうだ。日販平林社長の「雑誌に依存した取次業は誇張ではなく崩壊の危機にある。書籍は30年以上赤字が続き、事業として成立していない」というコメントに、根本的な原因があるような。