電子書籍に応用、認知科学の研究から生まれた「Live Ink」技術

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 4月14日に米国ニューヨーク市で行われる教育分野向けの電子書籍カンファレンス「eBooks in Education Conference」の出展企業リストの中に、Walker Reading Technologies社(本社:ミネソタ州ブルーミングトン市)という会社の名前を見つけることができる。同社は2000年頃から、認知科学を応用した独自のテキスト分割技術「Live Ink」の研究開発とライセンス供与を行っている小さな会社だ。

 このLive Ink技術は、同社の創業メンバーの1人で医学博士でもあるRandall Walker氏の研究をもとに考案されたもので、人間がテキストを読むときに起こす眼球の無駄な動きを減らすことで、逆に読解力をアップさせる仕組みだ。具体的には、Live Inkでは英文ルールに準じた独自のテキスト分割アルゴリズムを使って、長文の電子テキストを細かく分割処理してゆく。そして、この最適なかたちに変換されたテキストを読むことで、読み手側の読解力が最大40%もアップするという。

 同社は2000年頃からこの技術を障害者や教育分野向けの電子書籍に使ってもらおうと研究とデモを続けてきており、最新の成果が今回の電子書籍カンファレンスでも披露される予定だ。残念ながらこの技術は現在のところ日本語テキストには転用できないが、電子テキストや電子書籍の未来像を探るうえで注目すべきアプローチの1つといえるだろう。

【関連サイト・関連記事】
Walker Reading Technologies社のLive Inkデモサイト(英文)
http://www.liveink.com/
Live Ink技術の論文/プレゼンテーション資料の公開ページ(英文)
http://www.clipread.com/sbir/index.htm
電子ペーパー各社も参加、米国Open eBook Forumが4月に教科書市場参入セミナー(2005年03月02日)

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