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一般社団法人日本電子出版協会(JEPA)は2019年12月23日、「JEPA電子出版アワード2019」第13回授賞式を開催。ジャンル賞の発表と、表彰、投票を行い、大賞にピースイブケイク「note」を選出した。
JEPA電子出版アワードは、日本の電子出版の普及と技術の向上を目的とし、2007年に開始された。今回で13回目の開催。ノミネート作品の中から、だれでも投票できる一般投票と、会員社の投票を集計して選ばれる。ジャンル賞は以下のとおり。
デジタル・インフラ賞
電子出版市場で基盤としての大きな役割を果たした(それが期待される)インフラサービスに与えられる賞。主に、電子書店、SNS、課金、購読システム、コミュニケーションなどが対象。
note(ピースオブケイク)
https://note.com/
文章、写真、イラスト、音楽、映像などを手軽に投稿できるクリエイターと読者をつなぐサービス。最近では書籍と連動したクロスマーケティング展開や、メディア事業者の配信プラットフォームとしても利用されるなど、ブログの枠を越えたインターネット時代の出版プラットフォームの可能性を広げている。会員社と選考委員による投票で、大賞に選ばれた。
スーパー・コンテンツ賞
今年登場または話題になった、よく売れた電子書籍作品およびそのパッケージやアプリケーション。主に電子書籍単体、全集、コンテンツ関連企画、電子書籍アプリなどが対象。話題性やユニーク性、成功したもの、売れたものを重視する。
岩波新書eクラシックス100(岩波書店)
https://www.iwanamishinsho80.com/post/e-classics100
岩波新書の定番ロングセラーから活版・写植時代の青版・黄版を中心とした100タイトル107点を初めて電子化。ほぼすべてがリフロー型で、旧字体は新字体に改められている。「新書」というスタイルを創造された老舗出版社が、デジタルデータが存在しない活版からのEPUBを作った努力を評価したい。
エクセレント・サービス賞
電子出版市場で特定の機能を実現するサービスに与える賞。インフラ的なものでも、小規模なもの、特定の対象者のもの、一時的なものなどはこれに該当。ありとあらゆるサービスが対象。主にユニーク性や企画性を重視する。
MANGA Plus by SHUEISHA(集英社)
https://mangaplus.shueisha.co.jp/(※日本からはアクセスできない)
週刊少年ジャンプ連載タイトルの最新話が、全世界を対象(日本、中国、韓国を除く)とし、日本と同時に無料で読めるサービス。英語とスペイン語に対応。ジャンプ編集部が直接運営し、海外の海賊版に正規版を同時配信という正攻法で対策、効果を上げているという点を評価したい。
チャレンジ・マインド賞
新しい技術やサービスの試みに対し贈られる賞。まだ成功とは言えないが、先駆的で挑戦的な試みを対象とする。主に新規性や意欲を重視し、ある程度の規模を目指したもの。
DiSEL(アソビモ)
https://www.disel.io/
これまでの電子出版では実現しにくかった、ブロックチェーンを活用した、コンテンツリサイクルマーケット。対読者だけではなく、対出版社に向けたレベニューシェアを含めた新しいビジネスモデルの構築に取り組む。今後の電子出版ビジネスの新たな形となるか注目したい。
エキサイティング・ツール賞
規模の大小は問わず特定機能を実現するソフトウェア、ハードウェアまたはその組み合わせを対象とする。主に技術的な観点を重視する。技術的な高度さ、ユニークさ、シンプルさ、インターフェイスなど。
EPUBpack(イースト)
https://www.epubpack.com/
テキストPDFからリフロー型EPUBを半自動制作。電書協ガイド準拠のEPUBをクラウドで管理できる。10数年のAdobe社との提携による「PDFライブラリ」と電子出版アワード2013大賞を受賞した「でんでんコンバーター」のノウハウが活用されている。PDFからの構造化テキストの抽出もユニークな技術である。
参考リンク
JEPAプレスリリース