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【編集部記事】※いつもhon.jp DayWatchをご覧いただきましてまことにありがとうございます。
電子書籍ブームの昨今、新しい時代の到来に戸惑っているのは作家や読者ばかりではありません。意外にも、もっとも戸惑いを隠せないのは書籍の出版に携わってきた出版社の皆さんだと思います。書籍づくりのプロであるはずの出版社の人が、なぜ戸惑うのでしょうか? それは、電子書籍は名前にこそ“書籍”という単語が入っていても、実は、今まで売ってきた“書籍”とはまったく異質の商品だからです。
今回から毎週末、あまり語られることがなかった「商品管理」という観点で、電子書籍の本質に迫っていきます。そして、すでに一部出版社で使われている「hon.jpターミナル」という電子書籍書誌管理システムを使いながら、その業務対策について考えていきます。出版社勤務の方は、ぜひ研究の参考にしてみてください。—hon.jpシステム部
「お客さん、とりあえずこの商品を一度手に取ってみてください。その良さがすぐにわかりますから」
お店で物を売るときの決めゼリフです。セールスマンにとって、お客さんがもし商品をそのまま手に取ったら、まさにしめたものです。書籍も同じです。本屋さんの店頭で、自分がつくった本を客が少しでも手に取ったら、その客が買ってくれる確率はいっきに高まります。
では、あなたが出版社の電子書籍担当者に任命されたとします。自分が何時間もかけて編集した電子書籍を一度、手に取ってみてください。
手に取れましたか? 取れなくて当たり前です。電子書籍は、単なるコンピュータデータ、電子のパターンです。手に取ることもできなければ、肉眼でその形を確認することもできないし、数えることもできないし、臭いをかぐこともできません。
出版社では、入社した瞬間から書籍や雑誌といった「物」を商品として扱うようにトレーニングされます。指で紙質を確認し、肉眼で在庫を数え、鼻でインクの臭いをかいで、さまざまな業務判断を下します。
しかし電子書籍では、そのような行為は一切できません。形すらわからないので、お手上げです。もう頭の中はパニック状態です。そんな“空気”のようなものを、どうやって商品として売れというのでしょうか? これは何かの社内イジメでしょうか?
hon.jpではこれを、(1)電子書籍におけるトレーニングの問題と呼んでいます。
ここでちょっと落ち着いて、周りを見て、よく考えてみましょう。そのような「手に取れない商品」を売ることは、実は決して珍しいことではありません。たとえば、運送会社は運送作業のお手伝いという“サービス”を売っています。証券取引所では、いろいろな会社の株主として“権利”が、高額な値段で売り買いされています。どちらも、見ることも触ることもできません。
「手に取れない商品も、売れる」
このように頭を切り替えることが、電子書籍を理解するための第一歩です。この週末、じっくり考えてみましょう。
【hon.jp】n
問合せ先:hon.jpターミナルの製品概要ページ( http://hon.jp/doc/honjpterminal.html )