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LINE株式会社は4月16日、小説プラットフォーム「LINEノベル」と、文学賞「令和小説大賞」の開催についての記者発表会を都内で開催した。投稿作品は同日募集開始、アプリの提供開始は今夏を予定している。記者発表会の様子をダイジェストでお届けする。
LINEコンテンツ事業構想について
まず LINE 取締役 CSMO 舛田淳氏から、コンテンツ事業構想について説明がなされた。これまでLINEで取り組んできた「LINEスタンプ」「LINEマンガ」「LINE MUSIC」は、従来のやり方にこだわらない「フォーマットの最適化」により、ユーザーに提供されてきた。たとえばLINEマンガでは、従来型ページ単位のコンテンツだけでなく、縦スクロールのウェブトゥーンも配信されてきた。そこで重要なのは、ユーザーにコミュニケーションが発生することだという。
最近の情勢として、通信環境の整備に伴い、通信量の大きいコンテンツ流通が拡大してきた。しかし、テキストの需要はまったく落ちていない。LINEブログでも、膨大なテキストが投稿されている。まだまだテキストには大きな可能性があると考えている。映画、マンガ、ゲームなど、すべてのコンテンツの始まりと言っても良い、と舛田氏。
もちろんテキストコンテンツも進化している。手軽に世界へ入り込める「ライトノベル」。フィーチャーフォン時代には「ケータイ小説」。しかし、スマートフォン時代を象徴するようなノベルサービスは、現時点では登場していないと舛田氏はいう。
そこでLINEノベルは、出版社の枠組みを越えた小説プラットフォームとして、さまざまな作品と出会える環境による「多彩なコンテンツ」、小説の価値や楽しさを知る機会づくりによる「習慣化」、新しい才能が羽ばたくチャンスによる「新しいコンテンツ創出」を特徴としたサービスとして提供されるという。
LINEノベルサービス概要
続いて、執行役員 森啓氏より、LINEノベルのサービス概要が説明された。まず、文芸作品を中心とする「LINE文庫」と、ライトノベルを中心とした「LINE文庫エッジ」という新レーベルを創刊する。
統括編集長には、株式会社ストレートエッジ 代表取締役 三木一馬氏が就任する。鎌池和馬氏、原田マハ氏、中村航氏などによる新作が、紙と電子で同時展開される。
また、講談社(講談社タイガ)、集英社(JUMP j BOOKS)、実業之日本社、新潮社(新潮文庫nex)、スターツ出版(野いちご文庫)、東京創元社、KADOKAWA(電撃文庫)などの出版社・レーベルから提供される約200作品を読むこともできる。宮部みゆき氏初の電子化作品の配信や、新作書き下ろしエッセイの公開も決定している。
[追記:宮部みゆき氏は2005年に「ケータイ読書館」で『理由(りゆう)』電子版を配信していた(当時の記事)ので「初」は誤りでした。お詫びして訂正します。]
これらの作品を、読めば読むほど無料になる「読めば無料」システムで提供する。読書をすることで、無償チケットが提供される。これらのコンテンツは夏に提供開始予定の「LINEノベル」アプリで配信される。「LINEノベル」アプリは、従来「LINEマンガ」内で提供されていた「LINEノベル」とは別に、新規で提供されるとのこと。
また、「LINEノベル」ではユーザーからの投稿作品を募集。LINEが独占するのではなく、KADOKAWA(電撃文庫)、講談社、新潮社、集英社、実業之日本社、スターツ出版、宝島社、東京創元社、文藝春秋が参加し、投稿者情報が共有され、書籍化オファーを行うことができる。投稿機能は4月16日から開始される。
令和小説大賞について
また、LINEと、日本テレビ放送網株式会社、株式会社アニプレックスの、3社共同文学賞「令和小説大賞」の開催も発表された。第1回の締め切りは9月30日。応募テーマは不特定。ジャンルも問わない。表現方法も問わない。大賞作品は賞金300万円、LINE文庫での書籍化、日本テレビとアニプレックスによる映像化もなされる。
令和小説大賞パートナーと審査員
日本テレビ放送網 プロデューサー 植野浩之氏
「知的な刺激を求めている。この大賞で求めているのは、関わるクリエイターの情熱をかきたてるような作品。いろんな方々が二足のわらじで小説を書くことも期待している」
アニプレックス プロデューサー 高橋祐馬氏
「だれかがそれを見つけること。大賞を通じてはばたくことを期待している」
ストレートエッジ 代表取締役 三木一馬氏
「ぼくは場違いかもしれません。森さんに拾っていただいた。LINEノベルの統括編集長として、結果を出すことがぼくの仕事です」
令和小説大賞 アンバサダー 乃木坂46 高山一実さんのメッセージ
令和小説大賞アンバサダーに就任した乃木坂46 高山一実さんは、メンバー初の小説家デビュー作『トラペジウム』が20万部を突破するなど話題を集めている。
「光栄なことで、胸がいっぱいです。もともと私は、放課後に図書館へ行って本を読むことが好きな、ただの本好きでした。そんな、好きなことが仕事にできるのは、とても光栄なことです。小説家デビューしてから“小説書いてる子”として認識されるようになって、とてもハッピーです。」
「私が書くきっかけになったのは、自分のためというより、だれかのためになりたい! という思いで、それが自分のためだったのかなと思う。きっかけが大事。ハードルが高いのは、自分で書いてみて痛感。なにがきっかけで、というのはどこに転がっているかわかりません。書くことを決めた日から、きっと大きくなれます」
参考リンク
LINEノベル公式サイト
https://novel.line.me/
令和小説大賞公式サイト(※2020年5月25日時点Internet Archive)
https://web.archive.org/web/20200525175619/https://novel-award.com/