パブリックドメイン絵画のデジタル版を勝手に作るのは違法とするドイツの判決

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 私設ではない美術館でパブリックドメインの絵画の写真を撮り、それをウィキペディアにアップロードしたり、あるいは美術館のカタログに載せられた写真をスキャンするのを美術館が止めることはできるのか? ドイツ連邦裁判所(BGH)はライス・エンゲルホルン博物館が起こした著作権侵害と訪問契約違反(館内は撮影禁止だったため)の訴えを認めた。

 写真がアップロードされたサイトであるウィキペディアを運営するウィキメディア財団は、これが違法ならドイツにデジタルのパブリックドメイン作品はないものとなるとこの判決に不服を表明した。ウィキメディア財団の顧問弁護士ジョン・ワイツマンは、写真芸術としての写真家の作品が持つ著作権を、単にオリジナルではない複製の写真にまで広げた解釈をしていることを問題視している。

参考リンク

IT情報誌golem.deの記事
https://www.golem.de/news/reiss-engelhorn-museen-wikipedia-verliert-vor-dem-bundesgerichtshof-1812-138354.html
ハイデルベルクの地方紙Rhein-Neckar-Zeitungの記事
https://www.rnz.de/kultur-tipps/kultur-regional_artikel,-reiss-engelhorn-museum-mannheim-bgh-urteilt-gegen-wikimedia-update-_arid,408542.html
IPKatの解説記事2本
http://ipkitten.blogspot.com/2019/02/digitized-images-of-works-in-public.html
http://ipkitten.blogspot.com/2019/02/digitized-images-of-works-in-public_19.html
BGHの判決文

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著者について

About 大原ケイ 289 Articles
NPO法人HON.jpファウンダー。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。
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