2019年、米出版業界が期待するのはオーディオブックのさらなる成長

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 アメリカではオーディオブック産業は昔から人気のある分野だったが、スマホ普及のおかげで、2017年はグーグル、ウォルマート、インスタリードなどが参戦し、2018年は特にその流通チャンネルが整った年だといえる。ゆえに2019年はどの出版社もこの汽車に乗り遅れてはならないと考えている、と経済誌フォーブスが伝えている。

 Audiobooks.com のイアン・スモールはこの業界を14年もウォッチしてきたが、来年はさらに成長や革新が起こるだろうと予測する。「この市場に参加する競合者が増え、リスナー獲得のためにもっと新しい試みをするでしょう」と言う。「あっと驚くようなコラボや新しいサービスモデル、コンテンツや流通でも色々な実験があるでしょう」

 中にはセルフ・パブリッシングの著者によるオーディオブックを印税率45%でアップル・ブックス市場で聴けるようにする Findaway Voices といった中間業者も出てきた。マクミランはジャンル・フィクションのインプリント Tor で、オーディオ先行の小説を出したり、アメコミのマーベル社はウルヴァリンのキャラクターによるオーディオドラマを流したりしている。他にもオーディオだけ、オーディオ短編、複数の豪華キャストによる朗読など、その内容は様々だ。

 スモール氏は、そしてオーディオブックがさらに英語圏以外の市場でもブームに火がつくだろうと言う。多言語化に伴い、リスナーが男女比のバランスがとれた若い世代に移行していることも指摘されており、これが今後のコンテンツだけでなく、値段や購入方法にも影響を与えていくだろう、と。

関連リンク

フォーブスの記事
https://www.forbes.com/sites/adamrowe1/2018/12/27/going-into-2019-the-publishing-industry-is-excited-about-audio/
オーディオブックこの2年の普及率に関するフォーブスの記事

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著者について

About 大原ケイ 289 Articles
NPO法人HON.jpファウンダー。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。
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