「グーグルがオラクルに勝訴」「漫画村運営者に懲役4年6カ月の求刑」など、週刊出版ニュースまとめ&コラム #468(2021年4月4日~10日)

文禄堂 荻窪店

《この記事は約 8 分で読めます》

 2021年4月4日~10日は「グーグルがオラクルに勝訴」「漫画村運営者に懲役4年6カ月の求刑」などが話題に。広い意味での出版に関連する最新ニュースから編集長 鷹野が気になるものをピックアップし、独自の視点でコメントしてあります。

【目次】

政治

組織委の週刊文春への「抗議」は法的に成り立つか――知財と報道の自由(志田陽子)〈Yahoo!ニュース個人(2021年4月4日)〉

東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は、週刊文春に対し、営業秘密や著作権侵害などの理由で抗議し、掲載誌の回収を要求した。これは法的に理のある抗議と要求なのだろうか。

 憲法学者・志田陽子さんによる「べき」論。公共性の高い情報共有(報道)の「表現の自由」は、名誉毀損やプライバシー権については判例が積み重ねられているけど、著作権法41条はその蓄積が薄いので「報道の目的上正当な範囲」を裁判所がどう判断するか予想しづらいとのこと。だからこそ「べき」論を論じておかねばならない、という論考です。

 本件、法律の専門家が何人もコメントしていますが、いまのところ五輪組織委員会の見解への賛成意見は見当たりません。また、日本ペンクラブや出版労連などが、組織委の文春への要求は表現の自由の侵害であるといった声明文を出しています。先週も書いた通り、これは本当に「悪手」だったと思いますが、引くに引けない状況になってしまっているようです。
https://japanpen.or.jp/statement20210406/

東京五輪・パラリンピック組織委員会が、開会式の演出案を報じた週刊文春に掲載誌の回収などを要求している...

グーグルがオラクルに勝訴 巨額賠償回避、著作権訴訟で〈共同通信(2021年4月6日)〉

【ニューヨーク共同】米連邦最高裁は5日、米グーグルのスマートフォンの基本ソフト(OS)「アンドロイド...

 オラクルがグーグルを特許権侵害で訴えていた10年越しの裁判が、グーグルの勝訴で決着しました。フェアユースの範疇だという判断です。グーグル強し。

 ちなみにこの判決に対し、Internet Archiveが “A Good Day for the Open Web(オープンウェブにとって良い日だ)” と言祝ぐエントリーを公開していました。

Today the Supreme Court resolved a decade of copyright litigation by supporting interoperability and openness, ruling that reimplementing an API by copying its declarations is legal fair use, even (or perhaps especially) when you’re building a competitive service. This was a case of two massive companies – Oracle and Google – fighting over Java, Android,

漫画村の運営者に懲役4年6カ月求刑 著作権法違反など〈朝日新聞デジタル(2021年4月7日)〉

 人気漫画を無断で掲載した海賊版サイト「漫画村」の運営者とされ、著作権法違反(公衆送信権の侵害など)と組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)の罪に問われた住所不定、無職星野路実(ろみ)被告(29)の論告…

 ひさびさに続報。逮捕されたのが2019年9月ですから、求刑まで1年半かかっています。著作権侵害は認めているものの、犯罪収益を海外口座に移した組織犯罪処罰法違反は否定しているそうです。判決は6月2日とのこと。

社会

タダ読みされた漫画は年間2114億円! “海賊版サイト”被害が再び急増…「漫画村」当時を超えたワケ〈FNNプライムオンライン(2021年4月5日)〉

 漫画村運営者の裁判で求刑が行われたのと近しいタイミングで、ABJ担当者へのインタビュー。ここしばらく同様の報道が続いており、この記事にも目新しい情報はありませんが、「STOP! 海賊版」のためにピックアップしておきます。

経済

出版業界の4月からの変化と、注目新刊:ミーオドヴニク『Liquid 液体』インターシフト、ほか〈ウラゲツ☆ブログ(2021年4月4日)〉

★新刊が続々と生み出される以上、取り上げないわけにはいかない。しかし「コロナ以後」の出版業界の変化を受け止めるにつけ、新刊紹介だけに留まるわけにはいかなく...

 月曜社・小林浩さんのブログ。冒頭の「出版業界の4月からの変化」パートが、いろいろ考えさせられます。とくに「新刊だけが新鮮な商品なのではない。既刊の山々は発掘するに足る宝の鉱脈である」という見解には、強く同意します。ここ最近は抑制されているとはいえ、それでもなお新刊点数は多すぎる。

ビジネス名著の「非接触立ち読み」39都道府県・約440書店でスタート おうち時間活用した”自分磨き”の本もラインアップ〈ほんのひきだし(2021年4月7日)〉

昨年10月に登場し反響を呼んだ「非接触の立ち読みコーナー」が、対象書籍のラインアップを一部リニューアルし、4月7日(水)より全国39都道府県・約440書店で再びスタートしました。 この"非接触立ち読み"で読めるのは、日本出版販売が展開しているビジネス書の名著フェア「絶対読んでおきたい名著! ビジネスセレクション」に選ばれた30タイトル。店頭POPのQRコードを読み込むことで、本

 フライヤーの要約×日販のビジネス書フェア、昨年が好評だったからか、規模を拡大して再展開されています。スマホで店頭POPのQRコードを撮影というのは、少し前なら「デジタル万引き」を疑われる行動として忌避されていたように思うのですが、こういう仕掛けが普通になってきたことで、あまり聞かなくなった印象があります。

消える受注,早まる納期,そして気づいた「待ってくれる人」の大切さ ――印刷会社から見た「コロナと同人の1年間」:インタビュー〈技術評論社 gihyo.jp(2021年4月7日)〉

4月7日で最初の緊急事態宣言発出からちょうど1年。印刷会社は同人業界をどのように見つめ,何を考えていたのだろうか。サンライズパブリケーション株式会社の中村かおり代表に話を伺ってみた。

 同人誌を手がける印刷会社の社長インタビュー。「売上半減」など、厳しい状況が伺えます。ギリギリで入稿する場合の割増料金の利用者が減り、割引料金での入稿が増えているという傾向は盲点でした。余裕を持って入稿してもらうための優遇プランが、コロナ禍中では裏目に出てしまっていると。

「Source Han Sans/源ノ角ゴシック」がバリアブルフォントに ~サイズは1/10以下、可能性は無限大〈窓の杜(2021年4月9日)〉

 米Adobe Systemsは4月8日(現地時間)、「Source Han Sans」(源ノ角ゴシック)の最新版v2.003を公開した。「Source Han Sans」は、日本・中国・韓国(CJK)で使われている文字を網羅したゴシック体のオープンソースフォント。Googleとの共同で開発されており、Googleからは「Noto Sans CJK」としてリリースされている。

“Adobe Fonts”の日本語フォントが大幅増 ~191フォントが追加され、計436フォントに〈窓の杜(2021年4月9日)〉

 米Adobeは4月8日(現地時間)、フォントライブラリサービス“Adobe Fonts”を大幅に拡充し、日本語のフォントラインナップを強化したと発表した。日本語191フォントが追加され、計436フォントになったという。

 アドビからフォント関連で連続リリース。源ノ角ゴシックのファイルサイズが、従来はフルセットで600MB弱だったのが32.9MBまで削減、日本語のサブセットなら8.1MBで、WOFF2形式に圧縮すれば4.1MBまで小さくなるそうです。すごい! Adobe Fontsのほうは、Creative Cloud契約しているので、ありがたく活用させていただきます。

技術

GMO、NFT事業に参入 アート作品などの流通に〈日本経済新聞(2021年4月7日)〉

GMOインターネットグループは「非代替性トークン(NFT)」を活用した事業へ参入する。希少性が証明されたアートや音楽作品などの流通プラットフォームを数カ月以内に構築することを目指す。ブロックチェーン(分散型台帳)と関係の深い暗号資産事業で実績のあるGMOの参入で、国内でも一般向けにNFTの活用が進む可能性がある。NFTはブロックチェーン技術を用いて、芸術作品などの作者や所有者の情報を保証するデ

 あっちもこっちもNFT、という状態になってきました。ちょっと気になるのが、GMOのリリースにある「これまでインターネット上における違法コピーや違法ダウンロード等の権利侵害による機会損失に見舞われていたコンテンツホルダーに、正当な収益をもたらすことができます」という記述(↓)。NFTでコピーそのものが防げるわけではないので、アピールするポイントが若干ズレているような……?

HON.jp News Casting

 4月5日のゲストは吉成秀夫さん(札幌の古書店主)でした。番組前半の部のアーカイブはこちら。

 次回のゲストは後藤亨真さん(コトニ社代表・編集者)で、前半は「消費税の総額表示義務化」、後半は「“ひとり出版社”の生態」をテーマにお届けします。詳細や申込みは、Peatixのイベントページから。

メルマガについて

 本稿は、HON.jpメールマガジンに掲載されている内容を同時に配信しています。最新情報をプッシュ型で入手したい場合は、ぜひメルマガに登録してください。無料です。なお、本稿タイトルのナンバーは鷹野凌個人ブログ時代からの通算、メルマガのナンバーはHON.jpでの発行数です。

CC BY-NC-SA 4.0
CC BY-NC-SA 4.0
※本稿はクリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 – 継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0)ライセンスのもとに提供されています。営利目的で利用される場合はご一報ください。

広告

著者について

About 鷹野凌 613 Articles
HON.jp News Blog 編集長 / NPO法人HON.jp 理事長 / 明星大学でデジタル編集論・二松學舍大学でエディティング・リテラシー演習担当の非常勤講師 / 日本出版学会員 / デジタルアーカイブ学会員 / 主な著書『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』(2015年・インプレス)
タグ: / / / / / / / / / / / / / / / / /