【EPUB有料連載リンク】第7回 帝国の逆襲−スマートフォン市場に新たな気運– ジェリー・パーネル/訳・林田陽子「新・混沌の館にて」

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※いつもhon.jp DayWatchをご覧いただきましてまことにありがとうございます。

 いつもご覧いただいております読者の皆さまへの御礼も兼ねまして、今年9月から週1回程度、IT書籍の翻訳家として有名な林田陽子氏が個人で権利取得・有料配信スタートしました米国ITコラムニスト・ジェリー・パーネル氏の「新・混沌の館にて」を冒頭部分のみ抜粋して掲載しております。

 業界関係者の方は、EPUBを使った個人による新しい電子出版モデルの一例として、研究の参考にしてみてください。—hon.jpシステム部

9月コラムより

帝国の逆襲−スマートフォン市場に新たな気運

 AppleはiPodとiTunesのおかげで息を吹き返すまで、ぱっとしない状態が続いて、ほとんど時流から取り残されていた。その後、新しいIntelチップ搭載のMacが登場した。すべてJobsとその側近たちのたぐいまれな能力によって開発され、統合され、市場に出された製品だ。Appleはほとんど死んだような状態から、真の競合相手になった。そしてiPhoneはすばらしい製品で、Nivenと私が最初に1974年に「神の目の小さな塵」というSF小説で初めて描写したポケット・コンピューターに、私がこれまで見た中で一番よく似た製品だ。

 携帯電話とポケット・コンピューターにおけるAppleの独占的支配は弱まってきているかもしれない。しかし、iPadの大成功は偉大かつ非常に意味深い例外だ。電話ではなく、ポケット・コンピューターでもない。しかし、このコラムで以前に述べたように、間違いなく成功している。スマートなユーザーのためのスマートフォンのトップの地位は、今はともかく、ほどなくしてAppleからGoogleへ移ると多くの人が予想している。その次に、一から設計し直されて、作り直されたWindows 7携帯電話が、Googleの対抗馬になるかもしれない。もちろん、それはすべて、「トップの地位」が何であるかで決まる。Appleは販売数ではトップではない(訳注:2010年9月発表のデータでは、首位はRIMのBlackBerry。Appleは2位)。しかし、それはAppleの目標ではない。Appleはスマートフォンに関しては、ChevroletましてやCadillacなどではなく、BMWになりたいと考えている。

 Windows 7オペレーティング・システムはもう出た。間もなくWindows 7対応スマートフォンが登場する。先日Internet Explorer 9のベータが公開された。私はまだFirefoxを使っている。しかし、Internet Explorer 9は本当にクールだ。Google Chromeもまた、クールだ。

 これらすべてはまだはっきり先が見えない。多くの人が、Appleの独占的支配は低下していて、Windows 7がGoogleの競合製品になるかもしれないと述べている。しかし今言えるのはこれだけだ。Appleは自社の秘密をしっかりと守る。一方、Microsoftは、これから出る製品の噂を流すと昔から言われている。噂をコラムのトピックにするのは気が引けるが、これらのトレンドを無視するのは賢明ではない。我々のハードウェアは十分に良いので、モバイル・コンピューターの機能や性能の大幅な向上をサポートすることができる。我々は、それがどういう結果になるか知っている。私はこういうことをすべて「神の目の小さな塵」の中で描いた。疑問は、その機能のうち、どれぐらいが、いつ、誰によって実現されるかだ。それについては十分な情報がない。

 我々に今分かっていることは、Googleが激しく追い上げて、Microsoftが巻き返しを図り、Appleにライバルが登場したということだ。興奮を覚える。

【つづきは「新・混沌の館にて」サイトで http://www.sciencereadings.com/

パーネル氏への初めてのメール

 4月半ばに、パーネル氏から最後のコラムが送られてきました。編集者の方に紹介のメールを出していただいた後、初めて直接パーネル氏にメールを出しました。自己紹介、今まで手掛けてきた仕事、「混沌の館にて」を5年間翻訳してきたことを書き、「自分のWebサイトで、有償提供でこのコラムの翻訳を掲載したいと考えています。版権料は私個人が支払います」と明記して、了解いただければ諸条件を相談させてくださいと知らせました。

 折り返し、了解の連絡が届き、おそるおそる「購読料の10%を版権料としたい」とメールしたところ、何一つ条件をつけずに、了解の返事が届きました。

 これならば、毎月多額の固定費を抱え込まずにすむので、しばらく掲載を続けていくことができます。いくらになるか分からないのに、この条件を受けてくださったパーネル氏に感謝の気持ちでいっぱいでした。(米国では前金制が普通で、パーネル氏が作家として前金にとてもこだわりがあることは、コラムを読んで知っていました)。

 この条件が通らなければ、この計画はここで終了になったと思います。

 この後、電子書籍版を作ることになったとき、私個人が販売するだけではなく、どこかに販売を委託する可能性が出てきました。再度メールをして「販売実数1件あたり販売価格の10%の版権料」でいかがでしょうかと許可を求めたところ、これも了解を得ることができました。

 翻訳記事や翻訳書の場合、少なくとも今までは版権料は一定額を支払うのが通例でした。電子書籍の場合、売れた部数を確実に把握できます。翻訳書や雑誌記事を制作する場合、版権料についても今までとは違う契約のしかたを考えることができるのではないか思います。

 そうすれば、より多くの翻訳書や翻訳記事を世に出すことができるようになるのではないでしょうか。n

問合せ先:新・混沌の館にて」サイト( http://www.sciencereadings.com/

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