ブラジル、2大書店の倒産で出版危機が深刻化

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 先月からブラジルの書店リブラリア・クトゥーラ(Livraria Cultura)とサレイヴァ(Saraiva)が相次いで倒産申請するなど危機的な状況にあり、ブラジルの出版社団体 National Syndicate of Book Publishers が介入を考えている、とグローバル出版ニュースサイト、Publishing Perspectives が伝えている。

 20店舗の閉店を発表したブラジル最大手サレイヴァ書店の負債額は6億4500レアルで、主な債権者には最近アメリカのペンギン・ランダムハウスが主要株主となった Editora Schwarcz / Companhia das Letras(500万ドルの出資)らの名もある。

 発行人のルイス・シュワルツは「愛する本への手紙」と題して公開した嘆願書の中で「長年尽くしてくれた従業員を解雇しなければならなかったことがこれまでの32年間でいちばん辛かった」などと記している。

 一方のクトゥーラは倒産更生手続きを申請していたのが受理され、これまでの83億8712万レアルに加えて、さらに9200万レアルの追加債務があることがわかった。

 サレイヴァとクトゥーラを合わせて100店以上の書店があり、両社でブラジルの本の売上の4割を握っている。

 既にブラジルの出版社ではこの数年、年間刊行点数が減っており、売上が見込めないタイトルをキャンセルしたり、従業員を解雇するなどの措置を取っている。この上、サレイヴァとクトゥーラが管財人の管理下に置かれるようになれば、さらに多くの書店が閉店となり、何百人もの書店員が職を失い、出版社の売り上げも落ち込むだろうとされている。

 シュワルツ氏は手紙の中で、本に関わる全ての人々に向け、創造的で理想的な解決への糸口につながる考えがあれば聞きたいとしている。

参考リンク

グローバル出版ニュースサイト Publishing Perspectives の記事
https://publishingperspectives.com/2018/11/brazil-publishers-discuss-endangered-bookstore-companies-livraria-cultura-saraiva/
ラソフ・エージェンシーが転載したシュワルツ氏の手紙
https://rusoffagency.com/love-letters-to-books/
これまでの経緯を追ったグローバル出版ニュースサイト Publishing Perspectives の記事
https://publishingperspectives.com/2015/05/what-happened-to-book-publishing-in-brazil/

About 大原ケイ 92 Articles
NPO法人日本独立作家同盟 理事。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。