今年で70年目の全米図書賞、ベストフィクション賞はスーザン・チョイ

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 昨年新しく設けられた翻訳書部門に多和田葉子の『献灯使』が選ばれた全米図書賞(National Book Award)だが、今年の受賞作が発表された。

 フィクション部門では、教育現場での恋愛関係に置ける“同意”の不安定性を追求したスーザン・チョイの「TRUST EXERCISE」が選ばれた。ノンフィクションの受賞作は、ルイジアナ州ニューオーリンズで生まれ育った著者サラ・M・ブルームが、ハリケーン・カトリーナに飲み込まれるまでの家族の歴史を綴った「THE YELLOW HOUSE」。

 詩歌部門は、環境問題に触れながらも感情豊かに人間性を謳った詩集でアーサー・シの「SIGHT LINES」が受賞した。YA(ヤングアダルト)部門の受賞作は、珍しくも歴史の一幕を次世代に伝える「1919 THE YEAR THAT CHANGED AMERICA」が選ばれた。著者はテレビ向けドキュメンタリーの脚本も手がけるマーティン・W・サンドラー。

 そして翻訳書部門では、ハンガリーのクラスナホルカイ・ラースロー作品「BARON WENCKHEIM’S HOMECOMING」を翻訳したオティリー・ムルゼットが受賞し、多和田葉子の著作の英語版を出しているニュー・ダイレクションズが2年続けての受賞となった。

参考リンク

全米図書協会のサイト
https://www.nationalbook.org/awards-prizes/national-book-awards-2019/
ニューヨーク・タイムズの記事

Sarah M. Broom won the nonfiction prize for “The Yellow House,” one of several memoirs in the category. Arthur Sze won in poetry for “Sight Lines.”

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著者について

About 大原ケイ 289 Articles
NPO法人HON.jpファウンダー。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。
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