2017年の米セルフ・パブリッシングの本が100万タイトル突破

《この記事は約 2 分で読めます(1分で600字計算)》

 ISBN番号のついた書籍を調査した米ボウカー社(Bowker)の年次報告書によれば、従来の出版社を介さないセルフ・パブリッシングの(紙の)本が初めて年間100万冊を超えたことが明らかになった。2017年にボウカーが発行した紙の本のISBNが、前年度比で38%増の87万9587冊となり、Eブックをセルフ・パブリッシングで出した著作数は13%減の12万9601冊。

 ボウカーの発表ではEブックのISBN数は3年連続で減少しているが、これは多くの著者が、ISBNではなくASIN番号を使うアマゾンのプラットフォームであるKDP(キンドル・ダイレクト・パブリッシング)の利用に移行したためだと説明している(ボウカーではKDPタイトル発行数を測れず、アマゾンはKDPタイトル数を公開しないため)。

 一方で、アマゾン傘下のCreateSpaceを利用して作られたセルフ・パブリッシングの紙の本はボウカーも把握しており、こちらは2016年から50%増の75万2000冊となっている。KDP以外のプラットフォームでは、Luluが5%減の3万6651冊、AuthorsSolutionsが19%減の1万5667冊、Smashwordsが15%減の7万4290冊となっている。

関連リンク

ボウカー社のリリース
https://www.prnewswire.com/news-releases/new-record-more-than-1-million-books-self-published-in-2017-300728854.html
米パブリッシャーズ・ウィークリーの記事

広告

著者について

About 大原ケイ 289 Articles
NPO法人HON.jpファウンダー。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。
タグ: /