「ChatGPTに広告試験導入開始へ」「日本政府もX(旧Twitter)のAI画像加工機能に改善要請」など、週刊出版ニュースまとめ&コラム #698(2026年1月11日~17日)

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 2026年1月11日~17日は「ChatGPTに広告試験導入開始へ」「日本政府もX(旧Twitter)のAI画像加工機能に改善要請」などが話題に。広い意味での出版に関連する最新ニュースから編集長 鷹野が気になるものをピックアップし、独自の視点でコメントしてあります。メルマガでもほぼ同じ内容を配信していますので、最新情報をプッシュ型で入手したい場合はぜひ登録してください。無料です。クリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 – 継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0)でライセンスしています(ISSN 2436-8237)。

【目次】

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非営利かつ無料のメディア事業を継続・発展させるために読者のみなさまと約束する事項とお願いについて〈HON.jp News Blog(2026年1月14日)〉

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政治

Cloudflare、イタリア当局に猛反発 海賊版めぐる制裁金で五輪撤退も示唆〈CNET Japan(2026年1月13日)〉

 イタリア当局が、海賊版へのアクセス遮断を怠ったCloudflareに対し1420万ユーロ(約26億円)の制裁金を科すと発表。Cloudflareが猛反発し、2026年ミラノ・コルティナ冬季五輪向けにCloudflareが提供しているサービスの停止や投資計画の凍結などをチラつかせているそうです。それもどうかと思うのですが、CEOのマシュー・プリンス氏によるX(旧Twitter)への投稿で、さすがに以下の内容はちょっとスルーできませんでした。

We block pirate streams every time we find one.(われわれは海賊版の配信を見つけるたびにブロックしている)

 いやあ……それ「ただし自社でホスティングしている場合に限る」わけですよね。Cloudflareは日本でも大手出版社から訴えられ、5億円の損害賠償命令が地裁から出ています。それは、権利者からの削除依頼を受けても海賊版サイトにCDNサービスを提供し続けたことが理由です。ホスティングとCDNは別モノ、ということなのでしょうけど。

社会

Global publisher Google traffic dropped by a third in 2025(2025年に世界のパブリッシャーのグーグル(検索)からのトラフィックは3分の1減少した)〈Press Gazette(2026年1月12日)〉

 3分の1減少の根拠は、ウェブ分析ソフトの「Chartbeat(チャートビート)」で、2000以上のニュースウェブサイトとアプリのデータを集計したものとのことです。詳細はロイタージャーナリズム研究所による“the Journalism and Technology Trends and Predictions 2026 report(ジャーナリズムとテクノロジーのトレンドと予測2026)”で公開されています。

 ちゃんとデータを根拠にしているのは良いと思います。ただ、チャートビートを使っていないニュースサイトのデータは含まれないので、ウェブメディア全体の傾向も同じとは断定できません。これはSimilarwebなど他のデータでも同じこと。

 ちなみにチャートビートって、公式ブログで「世界70カ国・6万を超えるメディアで導入」と自称してるんですが、なぜ今回の集計は2000だけなんだろう? アメリカの言う“Global”って「世界」ではなくアメリカの影響が及ぶ範囲だけを指すんでしたっけ?

 それはさておき、私がポイントだと思ったのは「天気、テレビ番組表、星占いなどライフスタイルや実用コンテンツに特化した出版社はトラフィックの減少に見舞われる可能性が高い」と指摘している点です。以前にも言ったように、ゼロクリック問題ってジャンル次第だと思うのですよね。

「活字離れしていない」は大人の願望か 子どもと読書〈日経BOOKプラス(2026年1月13日)〉

 またそういう見出しを……と思いながら読み始めたのですが、本文を読んだらめっちゃ正しいことが書いてありました。文化庁調査の不読率は慎重な言い回しで過去とは比較してない(調査方法が異なるため単純比較できないから)ですし、学校読書調査では確かにコロナ禍以降からじわじわと不読率が上がっています。ただこうなると、マンガを読書に含めるとどういう数字になるかが気になりますね。「不読率6割超」って、雑誌とマンガを除いた数字ですから。

子どもこそ「本を読む時間」がない? 皮肉な現実〈日経BOOKプラス(2026年1月14日)〉

読書格差と能力格差 子どもと読書を考える〈日経BOOKプラス(2026年1月15日)〉

 連載第2回と第3回はベネッセ教育総合研究所「子どもの生活と学びに関する親子調査」のデータ分析です。こちらの調査は以前も指摘したように、そもそもベネッセの保有する個人情報が偏ってる(私立が多い)などの注意点があるのですよね。『パネル調査にみる子どもの成長』(勁草書房)には書いてあるのですが、プレスリリースには載っていないという。

「読書離れ」は仕方のないことなのか? 改めて読書の意味を考える〈日経BOOKプラス(2026年1月16日)〉

 という現状分析を経て、ではなぜそうなっているのか? のパートは、大半が仮説のみで検証は行われていません。いや、そんなに大外ししている仮説だとは思いませんけど、第3回まではデータに基づいて語ってきたのに比べると、ちょっと「アレ?」と感じてしまいました。著書には書いてあるのかな?

逆転無罪のCoinhive裁判を「有罪確定」と誤記載 アトム法律事務所が記事訂正・謝罪〈ITmedia NEWS(2026年1月14日)〉

 うーわ、Coinhive事件が最高裁で逆転無罪になったことはけっこう有名だと思うのですが。法律事務所のオウンドメディアでコレをやっちゃうと、さすがに信頼性ガタ落ちですねぇ……さすがにAI生成原稿の体裁を整えただけで確認せず公開しちゃった、ということはないと思いますが。思いたい。

ウィキペディア、AI開発にデータ提供 アマゾンやメタと合意〈日本経済新聞(2026年1月16日)〉

 昨年11月に、ウィキメディア財団から出た「Wikipediaを使用した機械学習について適切な財政負担をするべきだ」という声明に対応する動きでしょう。ちなみに、タイトルにはGoogleが入ってませんが、Googleは2022年からちゃんと契約して対価を払ってきた先駆的立場だったりします。

経済

AIバブルをエスカレートさせている「需要水増し」の闇。データセンター「申請乱発」「コスト転嫁」の末路〈Business Insider Japan(2026年1月7日)〉

 電力会社が、GPUの生産量を上回る電力需要を予測していて、発電所新規建設の承認申請がガンガン行われているそうです。むしろ私は、AI需要で電力が足らなくなるから電源確保の競争になる(=資本力の競争になる)と思っていたのですが、GPUが足らないか……。

米国のAIブーム、想定外の「水資源」問題に直面〈Forbes JAPAN(2026年1月16日)〉

 データセンターが水冷だから、水資源が問題になるって話は以前からあったような? 想定外?

ぴあが女性向けマンガレーベル設立 映像化や舞台化、イベントなども視野に〈コミックナタリー(2026年1月15日)〉

 またもやマンガ事業への新規参入。IPの多角展開まで視野に入れているようです。編集部の体勢は大丈夫なのかな? 大事なのは人ですよね。

チャットGPTに広告表示、月8ドルプラン OpenAIが巨額投資回収へ〈日本経済新聞(2026年1月17日)〉

 ついに。せっかくなので、ChatGPTに解説してもらいました。いきなり実装されたわけではなく、アメリカでのテスト開始の準備を進めている段階のようです。「会話内容全体を読み取って広告を出すわけではなく、ユーザー体験の信頼性維持を重視するとされています」なんて言うから、思わず「会話内容と関係ない広告が出るの?」と尋ねてしまいました。関連するテーマの広告を出す方針らしいです。んー、関連するテーマを絞るには、会話内容を読み取る必要があるわけですよね。さっそく嘘をつかれたかな?

技術

Appleの次世代AIはGoogle Geminiベースに 「数年にわたる協力関係」を開始〈ITmedia AI+(2026年1月13日)〉

 以前から噂はありましたが、ついに確報です。これで一気にOpenAIとの差を縮めることに。しかしこれ、また司法省から刺されるんじゃなかろうか?

X、Grokでのビキニ画像を技術的に禁止 画像生成は有料プランのみに〈ITmedia NEWS(2026年1月15日)〉

 カリフォルニア州が調査を開始したら、数時間後に禁止措置をとったそうです。これは本格的にヤバイと判断したのでしょうか。ただ、Grokにリプライで改変を依頼する方法は対策されたけど、「画像の編集」での改変はどうも対策されていない、という噂が。すみません、私自身は未確認です。

「百姓貴族」公式とウィングス編集部、AI学習や画像編集を明確に禁止〈おたくま経済新聞(2026年1月10日)〉

「AIによるコンテンツの無断利用や改変は禁止」――漫画制作のナンバーナインが注意喚起〈ITmedia AI+(2026年1月14日)〉

 この機能が登場した直後から私は「Sora 2よりヤバイ」と警鐘を鳴らし「問題は、著作者から作品をお預かりしている立場のパブリッシャーがどうすべきか」だと言い続けてきました。X(旧Twitter)を名指しはしていませんが、ようやくこういう動きも出てきたということで取り上げておきます。

Xは「自主規制の権利失う」可能性あると英首相 Grokへの懸念から同意ない性的画像のAI生成違法に〈BBCニュース(2026年1月13日)〉

 イギリスの首相は激怒してますね。

英政府、AI促進のための著作権規則見直しを軌道修正へ 元データ制作者に配慮〈ロイター(2026年1月14日)〉

 これも恐らくX(旧Twitter)の動きがきっかけでしょう。一気に風向きが変わった感がある。日本にも波及するかしら?

生成AIで性的加工画像、政府がXに改善要請…AI法に基づき初の指導も検討〈読売新聞(2026年1月16日)〉

 で、日本政府も動いてました。Sora 2のときより動きが遅いけど、まあ、年末年始ありましたから仕方ないか。AI法に基づく指導も視野に入れているのは良いんですけど、この法律、罰則規定がないんですよね……。

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新刊について

『ぽっとら Podcast Transcription vol.1 ~ 詐欺広告や不快広告・金融検閲・生成AIと著作権・巨大IT依存問題など、激変する出版界の広範な論点を深掘りしてみた。』を上梓しました。ポッドキャストファースト、つまり音声コンテンツの書籍化という試みです。

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日刊出版ニュースまとめ

伝統的な取次&書店流通の商業出版からインターネットを活用したデジタルパブリッシングまで、広い意味での出版に関連する最新ニュースをメディアを問わずキュレーション。FacebookページやX(旧Twitter)などでは随時配信、このコーナーでは1日1回ヘッドラインをお届けします。
https://hon.jp/news/daily-news-summary

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雑記

 いまこの原稿は「Zine & Book フェス in 神保町」のブースで書いています。昼間は来場者がいっぱいいたのでそんな余裕はありませんでしたが、いまはもうあと30分くらいで撤収というタイミングなのでだいぶ落ち着いています。周囲でもう撤収しちゃった人もいますね。1月19日も出店します。よかったらご来場ください。(鷹野)

CC BY-NC-SA 4.0
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※本稿はクリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 – 継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0)ライセンスのもとに提供されています。営利目的で利用される場合はご一報ください。

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著者について

About 鷹野凌 918 Articles
NPO法人HON.jp 理事長 / HON.jp News Blog 編集長 / 日本電子出版協会 理事 / 日本出版学会理事 / 明星大学 デジタル編集論 非常勤講師 / 二松学舍大学 編集デザイン特殊研究・ITリテラシー 非常勤講師 / デジタルアーカイブ学会 会員 / 著書『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』(2015年・インプレス)など。

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