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先週は「講談社増収減益決算」「柔軟な権利制限の著作権法改正案が閣議決定」などが話題に。毎週月曜恒例の、出版業界関連気になるニュースまとめ、2018年2月19日~25日分です。
知的財産戦略本部「知的財産推進計画2018」策定に当たっての意見募集に、意見書を提出しました〈MIAU(2018年2月16日)〉
あとで気づいたので1週遅れですがピックアップ。一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)が、知的財産戦略本部「知的財産推進計画2018」策定に当たっての意見募集に、意見書を提出しています。著作権保護期間延長反対、リーチサイト規制反対、サイトブロッキング導入反対、など17項目。熱い。
8か月で検索流入数が3倍に! Webメディアで生かされた紙メディア編集者のノウハウとは?【前編】 | 成果につなげる! コンテンツマーケティング最前線〈Web担当者Forum(2018年2月20日)〉
紙の雑誌編集者がウェブメディアに転職して活躍している事例。キーワードの分析・調査ツール「MIERUCA(ミエルカ)」を紹介しつつも、「ツールとのほどよい距離感が大事」というのが良い。
講談社、漫画頼りが鮮明に 雑誌の不振を補えず 純利益36%減〈日本経済新聞(2018年2月20日)〉
講談社、増収減益決算 電子・版権収入が全体の30%超に〈新文化(2018年2月21日)〉
売上高は前年比0.6%増ですが、純利益が35.6%減の、増収減益。電子や版権ビジネスなど「事業収入」の売上占有率が30%を超え、第2の柱になりつつあるそうです。
2017年「日本の広告費」は6兆3907億円 インターネット広告費は4年連続2ケタ成長〈AdverTimes(2018年2月22日)〉
毎年電通から発表されている「日本の広告費」。インターネット広告媒体費が前年比117.6%で1兆2206億円と、さらに成長しています。雑誌広告費は同91.0%2023億円とさらに減少。テレビメディア広告費も、同99.1%1兆9478億円と減少傾向に。
AIスピーカーで本を朗読 アマゾンやLINE〈日本経済新聞(2018年2月22日)〉
もともとAndroidやiOSなどOS側のアクセシビリティ機能でKindleに限らず読み上げ可能だったのが、アマゾンのスマートスピーカー「エコー」にも対応した、という話。オーディオブックのような、人が流麗に間違いなく読んでくれるというわけではありませんが、とくに視覚障害者にとっては福音でしょう。
2017年版が全文無料公開! 「インターネット白書ARCHIVES」〈INTERNET Watch(2018年2月22日)〉
インターネットマガジン創刊編集長でインプレスR&D代表取締役の井芹昌信氏から、過去の「インターネット白書」が全文無料公開されるようになった経緯が紹介されています。2012年版の時点で採算割れしていたんですね。
漫画海賊サイトの「海外サーバだから合法」はどこまで通る? 政府の対策について文化庁著作権課に聞いた〈ねとらぼ(2018年2月23日)〉
「違法ダウンロードの刑罰化」の対象は音楽と映像だけで、マンガ含め文章図画は対象になっていないこと。海外にサーバーがあっても、日本の著作権法の適用を認めた判例があることなどが解説されています。まだ文化庁は音楽と映像以外の違法化を検討していないそうですが、今後検討していく可能性もあるとのこと。では実際、2012年10月に違法ダウンロードが刑事罰化が施行されて以降、どれだけ売上が回復したのかというと……?(日本レコード協会の公表データを参照)
第7回 「紙vs電子」はWin, Lose or Draw〈マガジン航(2018年2月23日)〉
中野晴行氏による「ネオ・マンガ産業論」連載第7回。電子コミックの未来像がよく見えてこないとして挙げている原因3つが、正直よくわかりません。
1つ目に挙げている「配信の中心になっているのが無料コミックアプリ」は、電子コミックの販売市場が前年比17.2%増の1711億円まで拡大している状況下で、なぜ無料が中心だと思うのでしょうか。
2つ目に挙げている「過去のストックをうまく使えば、その何十倍もの収益が期待できるはずなのだ」については、過去のストックをうまく使った結果が1711億円まで拡大した電子コミック市場、と私は認識しています。
3つ目の「収益化は紙で、という考え方」というのは無料アプリのマネタイズ手段の1つであって、そこしか頼っていないアプリももちろんありますが、販売や先読みなどで収益化を行っているアプリもたくさんあるはずという認識です。
ちなみに App Annie の2017年アプリ「収益」ランキング(ノンゲーム)では、2位に「LINEマンガ」、9位集英社「少年ジャンプ+」、14位小学館「マンガワン」と、電子コミック系アプリが上位に食い込んでいます。うーん?
タブレット端末で読む「デジタル教科書」、来年4月導入〈朝日新聞デジタル(2018年2月23日)〉
著作権:教材利用の法改正案 電子データ許諾無し可能に〈毎日新聞(2018年2月23日)〉
デジタル版を正式な教科書に 関連法改正案を閣議決定 32年度からの本格活用促す〈産経ニュース(2018年2月23日)〉
デジタル版だけでも正式な教科書に 政府が閣議決定〈日本経済新聞(2018年2月23日)〉
教材ネット配信、手続き簡素化=著作権法改正案を決定-政府〈時事ドットコム(2018年2月23日)〉
著作物のネット利用を拡大 法改正案を閣議決定〈共同通信(2018年2月23日)〉
著作物の新たな利用に対応 著作権法改正案を閣議決定〈NHKニュース(2018年2月23日)〉
「柔軟な権利制限」として検討が進められてきた著作権法などの改正案が閣議決定。法律案はすでに文部科学省のサイトに公開されています。「柔軟な権利制限」は2016年に、日本新聞協会など著作物に関わる7団体が反対声明を発表していました。だから2012年の「日本版フェアユース」のときと同様、もしかしたら骨抜きにされてしまうかもと心配していたのですが、市場に悪影響を及ぼさないビッグデータの活用サービスのための利用、教育の情報化、障害者対応、デジタルアーカイブの利活用促進など、意外と広範囲にわたった改正案になっています。以前、早稲田大学法学部教授の上野達弘氏が「日本は機械学習パラダイス」と言っていましたが、法規制がさらに緩和されることになりそうです。
興味深いのは新聞各社と時事通信は「デジタル教科書」だけをピックアップしているのに対し、共同通信は「書籍の全文検索サービス」をメインでとりあげ、NHKは「人工知能の学習のため」がメインになっている点。なんでこんなに各社視点が違うんだ。なお、読売新聞オンラインでは、この件に関する記事が見当たりません……。
著書に入居率9割「ライターのミス」 シェアハウス投資〈朝日新聞デジタル(2018年2月21日)〉
これは酷い。著者として名前が表記されている者に文責があるに決まっているでしょうに。むかーし松本伊代がラジオで自著を手に取りながら「私も今日初めてこれを見たので、まだ私も読んでないんだけど」と言ってしまった話を思い出しました。