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先週は「丸善ジュンク堂書店店頭端末から通販在庫・電書情報が検索可能に」「YouTube規約改定で収益化のハードルがより高く」などが話題に。毎週月曜恒例の、出版業界関連気になるニュースまとめ、2018年1月15日~21日分です。
「幻冬舎plus」に不正アクセス 最大9万人の会員情報が流出した恐れ〈ITmedia NEWS(2018年1月15日)〉
流出したのがメールアドレス、ユーザーID、氏名、読み仮名までで、クリティカルな情報(クレジットカード情報など)は無事だったというのは不幸中の幸い。私は出版社による直販が今後もっと広がるだろうという予想をしているのですが、自社で顧客情報を持つのは大きなメリットがある反面、こういうリスクがあるということも忘れてはならないと思います。
「スキージャーナル」発行元が破産 ネット上に惜しむ声〈ITmedia ビジネスオンライン(2018年1月15日)〉
破産申立人は、元従業員ら21人。「従業員への給与支給が遅延」とあるので、それが理由でしょうか。
メディアドゥHD、3Qは売上高2.4倍、営業益62%増に 期中よりリブリカが持分法適用関連会社に〈Social Game Info(2018年1月16日)〉
相変わらず好調。リブリカはニンテンドー3DSで『どこでも本屋さん』を展開している企業で、メディアドゥは2017年8月にトーセから株式を取得して筆頭株主になっています。公式アカウントに教えてもらいましたが、昨年末からスマートフォン・タブレットにも対応したそうです。
リアル書店の検索機から「ネット在庫」「電子書籍版」検索可能に 丸善ジュンク堂〈ITmedia NEWS(2018年1月16日)〉
丸善ジュンク堂書店の店頭端末から、「honto」の通販在庫や電書情報が検索できるように。大日本印刷のリリースには「電子書籍で購入」まで選択できるとあるのですが、どうやって実現しているんだろう? プリントアウトして「hontoカード」と一緒にレジで決済? こんど行ったとき試してみます。
電子図書館を開設 鹿嶋市、新サービス スマホやPCから 6000冊、24時間閲覧〈茨城新聞クロスアイ(2018年1月17日)〉
記事中にはどこのシステムを利用しているかは書かれていませんが、URLは「d-library.jp」です。「TRC-DL」と「LibrariE」は同じシステムで配信されているのですが、青空文庫が配信されていることから「TRC-DL」だと判別できるということを「山中湖情報創造館」の館長さんから教えてもらいました。
YouTubeで稼ぐには「過去12か月の総再生時間が4000時間以上」「チャンネル登録者数が1000人以上」を満たす必要あり、とパートナープログラム変更〈GIGAZINE(2018年1月17日)〉
従来の条件は「チャンネル登録者数25人」「総再生回数1万回以上」でした。累計ではなく「過去12カ月」に限定されたこと、再生回数ではなく「再生時間」が判断基準になった点が大きな違いでしょう。チャンネル登録者数を売っている闇マーケットは存在しますが、総再生時間を伸ばすのは簡単なことではありません。仮に、1時間の動画を毎週1本アップロードしたとして、最後まで再生した人が毎回80人×50回は必要という計算に。うおー、ハードル高い。
[追記:チャンネル登録者数25人は、モバイルでストリーミング配信が可能になるハードルでした。失礼しました]
Amazon監修、KDPで「薄い本」を電子出版するためのハウツー漫画が無料公開中【やじうまWatch】〈INTERNET Watch(2018年1月17日)〉
昨年末のコミケで配布されたアマゾン公式の無料冊子が、電子版でも無料配信開始。著者はおなじみ、鈴木みそさんです。
Amazon’s KDP Briefly Offered a 50% Royalty Rate, and No One Knows What It Means〈The Digital Reader(2018年1月18日)〉
Amazon.comの「Kindle Direct Publishing」管理画面に、5時間だけ50%のロイヤリティオプションが表示されていたそうです。ただのバグなのか、チラ見せ様子見なのか。なお、アメリカでは独占配信しなくても70%のロイヤリティオプションが選択できますが、日本・ブラジル・メキシコ・インドでは独占配信が必須です。その違いから、「アメリカでも70%に独占配信が必要になるのでは?」や「逆に、Kindle Unlimitedへの配信に独占が不要になる代わりに50%へ下がるのでは?」などの仮説が立てられているようです。
「2018年本屋大賞」ノミネート作が決定!『AX』『かがみの孤城』『屍人荘の殺人』『騙し絵の牙』など10作品〈ほんのひきだし(2018年1月18日)〉
ノミネート作は、以下の10作品。結果発表は4月10日です。
- AX アックス
- かがみの孤城
- キラキラ共和国
- 崩れる脳を抱きしめて
- 屍人荘の殺人
- 騙し絵の牙
- たゆたえども沈まず
- 盤上の向日葵
- 百貨の魔法
- 星の子
ニュース解説 – 行政サービスの100%デジタル化、課題は102万の外字統合〈ITpro(2018年1月19日)〉
年末に情報処理推進機構(IPA)から、戸籍などに使う漢字6万字の国際規格化(ISO)が完了という発表がありました。NHK NEWS WABで「全漢字使用可に(Internet Archive)」なんていうニュースが報道されちゃいましたが、もちろんそんなはずはなく。自治体ごとにコードが異なるとか、誤字もそのまま外字登録しちゃうとか、字形が異なる漢字の統合には「墓石に使われている」「画数が変わってしまう」と反発されるとか、いろいろ地獄が見えます。
日本最大のオーディオブック配信サービス「FeBe」、会員数30万人を突破!|株式会社オトバンクのプレスリリース〈PR TIMES(2018年1月19日)〉
記事になっていないのでプレスリリースをピックアップ。「FeBe」の新規登録者数が急増、会員30万人を突破しています。グラフを見ると2015年には15万人だったようなので、2年で倍増したことに。すごい!
B面の岩波新書|Web岩波新書|岩波書店(2018年1月19日~)
岩波新書の編集部公式サイトがオープン。「ふだんは黒子役の、私たち編集者の仕事をお見せしていきます」とのことです。いい試み。
(活字の海で)マンガの店頭試読サービス アプリと「紙」 共存を模索〈日本経済新聞(2018年1月20日)〉
日販によるARアプリ「COCOAR2」や、トーハンによる「LINE」を使った店頭試読について。店頭試読といえば、2014年にオープンした「アニメイトブックストア」のアプリは、当初からISBNコードを読み取り簡単に電子版の試し読みができるようになっていますが、利用率が気になるところ。関連して、シュリンク包装で立ち読みを防止したことは、コミックの販売促進に繋がったのかどうかも気になるところ。
全教育課程で使用可に=デジタル教科書、障害児ら-文科省〈時事ドットコム(2018年1月20日)〉
「現行法では、小中高校では紙の教科書を使わなければならない」のを、法改正によって併用を認めることに。2020年度から本格導入が始まるそうです。昨年末に公開された初等中等教育局教科書課の『「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議 最終まとめ』によると、「紙の教科書等による学習が困難な障害のある児童生徒のうち、デジタル教科書使用による学習が効果的であ児童生徒に対しては、より積極的な使用を可能とするこが望ましい」とあり、視覚障害・発達障害者への対応はそういう文脈であると思われます。
海賊サイト「漫画村」10〜20代の利用実態 「購入もする」が7割〈KAI-YOU.net(2018年1月20日)〉
「筆者の友人を中心とした10~20代前半の約70名の若者を対象」とあり、明らかに偏っている、統計的には無意味な調査。というか、この数字が一人歩きしてしまうことのほうが怖いです。辛い。