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一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)は4月6日、改正著作権法第35条に基づく授業目的公衆送信補償金制度を早期施行するため、2020年度の特例として、補償金「無償」の認可申請を決定したことを発表した。新型コロナウイルス感染拡大を受け、遠隔授業での著作物利用を円滑にすることが目的。
著作権法第35条は、教育機関が授業の過程で著作権者の許諾を得ずとも著作物を利用できる権利制限だが、対面授業の予習・復習用資料のメール配信、オンデマンド授業での講義映像や資料の送信、スタジオ型のリアルタイム配信する授業などは、従来「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」にあたり、権利制限は及ばないとされてきた。
これを、文化庁長官が指定する補償金徴収分配団体に一定の補償金を支払えば、著作物を適法に利用できる、というのが新設の授業目的公衆送信補償金だ。2018年5月に公布された改正著作権法で定められ、公布から3年を超えない範囲で政令で定める日、つまり、2021年5月までの施行を目指して準備が進められていた。SARTRASはその補償金徴収や分配を担当する指定管理団体。
新型コロナウイルス感染拡大により、遠隔授業での著作物利用のニーズが急激に高まり、この授業目的公衆送信補償金制度の早期開始を求める要請が相次いでいた。このため、3月25日に文化庁著作権課から指定管理団体SARTRASに、4月下旬までに授業目的公衆送信補償金制度の施行が間に合うよう、4月20日までに補償金額の認可申請をすることが要請されていた。
その要請を受けSARTRASは、2020年度に限った特例として、補償金を無償とする認可申請を行うことを決定した。イベント等の「自粛要請」と同様、本件による公的補助等の補填がなされるかどうかは、現時点では定かでない。なお、2021年度は当初の予定通り、有償の認可申請を行う予定。
参考リンク
SARTRASのお知らせ
https://sartras.or.jp/archives/20200406/
文化庁のパブリックコメント募集に関する記事