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伝統的な取次&書店流通の商業出版から、インターネットを活用したデジタルパブリッシングまで、広い意味での出版関連ニュースをデイリーでまとめて配信。ボットではありません。編集部の中の人がすべて自分の目で読んで、手作業でまとめています。
【目次】
政治
警察庁、DDoS攻撃を国際共同捜査。啓発メッセージの発信も〈INTERNET Watch(2024年12月12日)〉
発言:書店保護へ 再販制度検証、急務=菊池壮一・活字文化研究所事務局長〈毎日新聞(2024年12月12日)〉
ひとことコメント
有料部分で「電子書籍も再販指定にすべき」論が展開されているんですが、残念ながらどう考えても無理があります。独占禁止法では「メーカーが小売店に対し定価拘束してはならない」が原則。その例外が著作物再販対象商品なんだけど、それは「メーカーが小売店に対し定価拘束してもいい」制度であって、「メーカーが小売店に対し定価拘束しなければならない」ではありません。つまり、出版社の意志で再販は外せちゃうのです。そして「電子書籍の値崩れ状態は目を覆う状況だ」というのは恐らく菊池氏が勘違いしていると思うのですが、少なくとも講談社、小学館、集英社、白泉社、光文社、文芸春秋、スクウェア・エニックス、岩波書店の8社はAmazonとエージェンシーモデルで契約したうえで、自らセールで値引き販売しています。販売価格の決定権がメーカー側にあるにも関わらず、望んで安売りしているわけです。仮に電子書籍が再販指定されても、メーカー側が定価販売を望まない可能性が高いでしょう。だって、セールしたほうが売れるし儲かるわけですから。(鷹野)
[社説]米TikTok規制が問う安保リスク〈日本経済新聞(2024年12月11日)〉
社会
馬琴さん、八犬伝の校正に「大苦心」〈毎日ことばplus(2024年12月12日)〉
【12月12日は漢字の日】ルビ財団、ウェブサイトに自動でふりがなをふる「ルビフルボタン(無償)」を正式リリース〈一般財団法人ルビ財団のプレスリリース(2024年12月12日)〉
ひとことコメント
ルビフルボタン、以前試しにいちど入れてみたことがあったんですが、若干バグがあったため外してそのままになっています。もう直ったのかな? 手が空いたらまた試してみたいと思うのですが。(鷹野)
2024年デジタルギフトに関する実態調査〈MMD研究所(2024年12月12日)〉
全国学校図書館協議会(全国SLA)、2024年度「学校図書館調査」の結果を公表〈カレントアウェアネス・ポータル(2024年12月11日)〉
AI時代の記者・編集者に何ができる? 人間との分岐点は「質」と「信頼」〈AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議(2024年12月11日)〉
ひとことコメント
途中で「続きは11月29日発売の月刊『宣伝会議』1月号で読むことができます」に。気になる……タイトルから判断するに、私の2024年予想「エディターシップのニーズがさらに高まる」に類似したことだとは思うのですが。買おうかな。(鷹野)
「このマンガがすごい!2025」から読み解く異変 刊行20年、ベストテンはどう変わってきたか? | マンガ温故知新〈東洋経済オンライン(2024年12月11日)〉
【重要】データ量増加に伴う登録点数の上限設定について(出版社向け)|お知らせ詳細〈JPO出版情報登録センター(2024年12月11日)〉
経済
新会社「サンカクケイ」を漫画家やしろあずき氏とPRIZMAが設立・・・クリエイターと企業の架け橋目指す〈Media Innovation(2024年12月12日)〉
ひとことコメント
クリエイターの斡旋および紹介事業などを今後は自ら手掛けていくとのこと。プレスリリースでは「名ばかりのクリエイターファーストは、もういらない」と、既存の企業に対しなかなか辛辣です。(鷹野)
「KADOKAWAのラノベ」が世界を食う? 日本IPグローバル化の新潮流〈日経クロストレンド(2024年12月12日)〉
【3周年】theLetterがサービスリニューアル!プロ向けに特化し、招待制へ移行予定〈theLetter公式ニュースレター(2024年12月12日)〉
ひとことコメント
「プロ向けに特化」というのは、執筆のプロだけという意味ではなく、「各領域のプロ」つまり専門家という意味でしょう。「招待制へ移行」というのも面白い方向転換。誰でも書ける場ではなく、あえて間口を狭くするスタンスなのですね。(鷹野)
【小説募集!】Gakken児童書編集部が、創作プラットフォーム「Nola」で作品募集を開始!〈株式会社学研ホールディングスのプレスリリース(2024年12月12日)〉
Kodansha USA Launching Kodansha Print Club(講談社USA、講談社プリントクラブを発足)〈Good e-Reader(2024年12月11日)〉
KADOKAWA、電子漫画ピッコマと提携 独自作品を配信〈日本経済新聞(2024年12月11日)〉
KADOKAWA×カカオピッコマの電子マンガマガジン「MANGAバル」が12月16日よりサービス開始〈MANGA Watch(2024年12月12日)〉
技術
ブルースカイで「なりすまし」相次ぐ、ユーザー急増で対策後手〈MIT Tech Review(2024年12月12日)〉
ひとことコメント
これはちょっと心配ですね……なりすましからの仮想通貨詐欺というパターンのようです。自分のドメインを持っていて長期活動している人は、カスタムドメインを設定しておいたほうがよいでしょう。ちなみに私の個人アカウントは https://bsky.app/profile/wildhawkfield.com で、HON.jp News Blogは https://bsky.app/profile/hon.jp です。ちゃんと設定済み。(鷹野)
NAVERウェブトゥーン「AI推薦で人気作品の偏り現象を緩和」〈KORIT(2024年12月11日)〉
イベント
本屋B&B「『現代文学の未来と販売』フィクショネス文学の教室 in 本屋B&B 〜2024年末番外編〜」登壇者:藤谷治・田中和生・仲俣暁生〈東京都世田谷区(オンライン併用)/12月14日〉
日本電子出版協会「海外電子出版動向」講師:辻本英二氏〈オンライン/12月17日〉
文部科学省「図書館・学校図書館の運営の充実に関する有識者会議(第1回)」〈オンライン/12月17日〉
日本電子出版協会「第18回 電子出版アワード発表・大賞選考」+「年忘れ電子出版放談会」〈オンライン/12月18日〉
【年末特番】2024年の出版ニュースを振り返る ―― HON.jp News Casting / 大西隆幸×菊池健×libro×古幡瑞穂×西田宗千佳×鷹野凌〈オンライン/12月28日〉
文化庁・日本書籍出版協会・映像産業振興機構(VIPO)「出版社向け・日本書籍の海外展開促進セミナー」(全3回)〈東京都千代田区(日本出版クラブ)/1月9日・1月22日、東京都千代田区(日本教育会館)/2月25日〉
日本電子出版協会「新春講演会「2025年の電子出版はどうなる?」登壇者:鷹野凌〈オンライン/1月10日〉
日本印刷技術協会(JAGAT)「XML・CSS組版の動向と生成AI活用」講師:仁科哲氏(和文)、小形克宏氏(ビブリオスタイル)、中西明日輝氏(中西印刷)〈オンライン/1月17日〉
東京都立図書館 東京マガジンバンクカレッジ「『大学ゼミ×雑誌』成果発表会2025 〜雑誌を通じて社会を知ろう〜」〈オンライン/1月25日〉
日本出版学会 出版教育研究部会・出版産業研究部会・関西部会共催セミナー「知られざる出版業界の巨人・図書館流通センター」報告:谷一文子(図書館流通センター)〈オンライン/2月15日〉
お知らせ
新刊について
新刊『ライトノベル市場はほんとうに衰退しているのか? 電子の市場を推計してみた』12月1日より各ネット書店にて販売中です!
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