映画監督ウッディ・アレンの自伝が一転してキャンセルになり賛否両論

noteで書く

《この記事は約 2 分で読めます(1分で600字計算)》

 長年準備されているとされていたウッディ・アレンのメモワール(自伝)「Apropos of Nothing」を、この4月にも刊行すると発表した米大手出版社アシェットだったが、娘に対する性的虐待行為があったとして、息子のローナン・ファロウや同社傘下の社員が反対の意を評して仕事を拒否してのデモを行うなどの抗議行動に出た結果、アシェットは出版をとりやめた。

 70年代の『アニー・ホール』や『マンハッタン』、最近では『ブルージャスミン』や『カフェ・ソサエティ』などの作品で知られるベテラン監督のアレンだが、女優ミア・ファロウとの間に設けた娘ディランは、性的虐待を受けたと訴えており、アレンはファロウとの養女だったスン・イ・プレヴィンと結婚した過去がある。メモワールの出版は昨年から複数の出版社に打診していたが、これまで刊行を決めた出版社がなかった。

 息子のローナン・ファロウはアシェットの別のインプリントから、辣腕映画プロデューサーでセクハラや準レイプの罪で起訴されたばかりのハーヴェイ・ワインスタインを追ったノンフィクション「Catch and Kill」というベストセラーを出したが、今後はアシェットと縁を切ると発表していた。

 ベストセラー作家のスティーブン・キングはツイッターで「アレンのことはどうでもいいが、この本がキャンセルされたことに落ち着かない不安を覚える。次に口封じされるのは誰か、ということだ」と発言している。一方で、フランスではこのまま出版される予定だ。

参考リンク

エンターテイメント・ウィークリーの記事
https://ew.com/books/woody-allen-memoir-release-date/
ヴァニティ・フェア誌の記事
https://www.vanityfair.com/style/2020/03/little-brown-walkout
IndieWireの記事
https://www.indiewire.com/2020/03/woody-allen-memoir-stephen-king-1202216098/
英ガーディアン紙の記事

noteで書く

広告

著者について

About 大原ケイ 289 Articles
NPO法人HON.jpファウンダー。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。
タグ: / /