「ブロッキング法制化、激論の末結論出ず」「BookPlaceがU-NEXTへ統合」など、出版業界気になるニュースまとめ(2018年10月15日~21日)

出版業界気になるニュースまとめ
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 2018年10月15日~21日は「ブロッキング法制化、激論の末結論出ず」「BookPlaceがU-NEXTへ統合」などが話題に。編集長 鷹野が気になった出版業界のニュースをまとめ、独自の視点でコメントしてあります。

国内

紙の書籍・雑誌のデジタル化代行と背表紙インターフェースのクラウド書棚を提供する「アスパラ シェルフ」サービス開始〈HON.jp News Blog(2018年10月15日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/13908
 プレスリリースが届いて真っ先に思ったのが「これって要するに、自炊代行なのでは?」ということでした。念のためメール取材し、権利処理はマイクロコンテンツが担当してしっかりやる、という回答をいただいたので、安心して記事公開に踏み切りました。背表紙をデータ化していく点が大きな特徴です。

「ブロッキング法制化」結論出ず 3時間半の激論、政府検討会は無期限延期に〈ITmedia NEWS(2018年10月15日)〉

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1810/15/news131.html

両論併記か棚上げか、ブロッキング法制化で3時間半の大激論〈日経 xTECH(2018年10月15日)〉

https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/news/18/03017/
 結局、まとまらず。村井座長の「意見がまとまらないため、『中間まとめ』ではなく『中間まとまらない』とする報告書を作成するがよいか」という提案には、思わず吹き出しました。しかし振り返ってみると、そもそも検討会議のメンバーがブロッキング賛成派と反対派で拮抗するような状態になっていた時点で、こういう結果になるのは必然だった気がします。こういう会議で、お手盛りではなくガチンコで議論が行われたのは、非常に良いことだったのでは。現時点で、議事録の第5回以降が公開されていないのが残念(↓参照)。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kensho_hyoka_kikaku/

講談社「コミックDAYS」に「週刊少年マガジン」など13誌が月額960円で読める新定期購読プランが追加〈HON.jp News Blog(2018年10月16日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/13913
 「週刊少年マガジン」「月刊少年マガジン」「月刊少年シリウス」「少年マガジンエッジ」「デザート」「別冊フレンド」「なかよし」も、定期購読プランに追加。含まれないのは増刊誌だけとなりました。講談社内のコミック部門が、ようやく1つにまとまった感。「マガジン☆WALKER」のように、他社も含めた横断プラットフォームになる可能性はあるのでしょうか?

空中分解…海賊版サイト対策検討会はなぜ迷走したか〈読売新聞(2018年10月17日)〉

https://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20181017-OYT8T50059.html
 検討会議がなぜまとまらなかったかが、きれいにまとまっています。なぜ事務局は、これほど反対意見が挙がっているのにブロッキングに固執したのか。出版社側からも不満の声があったようです。また、赤松健氏が言うように(↓参照)、海賊版被害の当事者であるマンガ家がメンバーにおらず蚊帳の外であったことが、まとまらない原因の1つになっていたようにも思います。
https://twitter.com/KenAkamatsu/status/1052069532083224576

Amazon.co.jp、防水の6型電子ペーパー端末「Kindle Paperwhite」の予約受付を開始 ~ モデル最薄・最軽量を実現〈HON.jp News Blog(2018年10月17日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/13918
 防水が付いて1万3980円は安い。お風呂で読書する習慣がないにも関わらず、ちょっと気持ちが揺らぎました。プライムデーなどのセール時には1万円切りそうです。「読書専用端末の時代は終わった」という見解(↓参照)もありますが、文章を読むのに適していて、余計な通知などに邪魔されることもないので、ヘビーユーザー向けなのは確かだと思います。
https://magazine-k.jp/2018/09/03/editors-note-36/

電子ペーパー採用の「カードケータイ」、47gでテザリングも〈ケータイ Watch(2018年10月17日)〉

https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/1147480.html
 面白い端末。月々サポート適用で、実質負担額は1万円前後とのこと。「簡易的なWebブラウジング」が可能とのことですが、HTML5対応のいわゆるモダンブラウザであるかどうか。であれば、ブラウザビューア対応の電子書店なら利用できることになるのですが。

E Inkの3万2000色カラー電子ペーパー、日本で初お披露目〈日経 xTECH(2018年10月19日)〉

https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/event/18/00031/00048/
 13.3型は2019年第1四半期の量産開始を予定しているとのこと。このフルカラー表示電子ペーパー技術は「Advanced Color ePaper(ACeP)」と呼ばれ、2016年5月に発表されています。当時から「まずはデジタルサイネージで」と、電子書籍リーダー向け用途については言及されていません。解像度が150ppiと若干低めだったのですが、2年経ってどうなったか。当時の記事はこちら(↓)など。
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1605/25/news138.html

太田出版、北海道による『エロマンガ表現史』の有害図書指定に対し改めて違和感と危惧を表明〈HON.jp News Blog(2018年10月19日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/13946
 10月12日の日本マンガ学会による声明に続いて、版元からも公式見解。3月の指定に対し半年経ってから次々とこういう動きがあるというのは、なにかきっかけがあったのでしょうか? 滋賀県に有害指定された『全国版あの日のエロ本自販機探訪記』(黒沢哲哉)の版元である双葉社は、いまのところとくに声明は出していないようですが。

電子書店「BookPlace」が「U-NEXT」へ統合、購入済みコンテンツは一部を除き移管〈HON.jp News Blog(2018年10月19日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/13936
 本筋ではないため記事には書きませんでしたが、東芝はこれ以前にBookLiveと組んで「BookPlace powered by BookLive!(のちのBookLive! for Toshiba)」を運営していたのに、別途、自社独自で「BookPlace」を立ち上げ、電子書籍専用端末「BookPlace MONO」を発売した歴史があります。粉飾決算の調査報告書が公表されたのが、2015年7月。「BookPlace」のU-NEXTへの事業継承が発表されたのは翌月なので、交渉の時間を考えると粉飾決算問題が直接影響しているかどうかは微妙ですが、わざわざ独自に始めてたった2年で投げ出すのかと呆れた記憶があります。「BookPlace MONO」は事業継承以降、あたかも存在していなかったかのような扱いになっていますし。可哀想。

プロ写真家の著作物を無断でツイッターアイコンに使用、発信者情報開示命じる…他の侵害ケースにも波及か〈弁護士ドットコム(2018年10月19日)〉

https://www.bengo4.com/internet/n_8726/
 著作者人格権(同一性保持権)の侵害を理由に、発信者情報開示の仮処分。ツイッター社を訴えているのは侵害者を特定するのが目的なので、次のステップは当然、侵害者への損害賠償請求です。なお少し前に、リツイートによってインラインリンク画像がトリミングされたのは同一性保持権侵害であると、知財高裁が判断しています(↓参照)。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1806/22/news016.html

海外

アップルがオーディオブック販売準備を出版社に促す〈HON.jp News Blog(2018年10月15日)〉

https://hon.jp/news/1.0/0/13884
 オーディオブックの新プラットフォームが近々発表されるとのこと。あくまで予想ですが、「Apple Music」のようなオーディオブックの定額聴き放題サービスを展開するのでしょうか? あくまで予想ですが。

激しく責め立てられる「フェイスブック」に、なぜ世界のパブリッシャーは頼り続けるのか〈メディア・パブ(2018年10月17日)〉

http://zen.seesaa.net/article/462229862.html
 あまりに影響力が強いため「嫌でも離れられない」ということのようです。叩くのは、Facebookとの交渉力を高めたい思惑があるからだ、と。国別のグラフで、日本だけ極端に低いのが興味深いです。

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About 鷹野凌 320 Articles
HON.jp News Blog 編集長。NPO法人HON.jp 理事長。明星大学/二松學舍大学/実践女子短期大学の講師で、デジタル編集論/表象メディア演習/デジタル出版論/デジタル出版演習を担当。出版学会員/デジタルアーカイブ学会員。主な著書『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』(2015年・インプレス)
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