EUがVAT改革案を承認、電子書籍のVATを廃止する国も

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 これまで多くのEU参加国で、電子書籍・電子刊行物だけに課せられてきたVAT税率の撤廃に向けて、ECOFIN(EU加盟国の経済・財務相が経済政策の調整をする閣僚理事会)が各国で電子書籍と紙の本と同じくVAT非課税としてもよい、という提案を採択した。

 この合意で、無税とするのも含め、EU参加各国が自由にVAT税率を決められるようになる。「ブレグジット」によりEU脱退が決定しているイギリスでも、英出版社協会が同様の措置をとるよう、直ちに要求した、と英業界紙ザ・ブックセラーが伝えている。

 グッドEリーダーは「この改正により、電子書籍の売り上げが増え、Eブックのテクノロジーが進み、さらにデジタル・オンリーで作品を発表している著者に大きな変化がもたらされるだろう」と分析している。

 EU参加国で、これまでEブックはソフトウェア同様に扱われ、国によっては20%もの高いVAT税率がかけられていたが、その一方で「本」であるとの解釈から、紙バージョンよりも安い値段で売ることができないなど、不利な措置がとられていた。

関連リンク

英「ザ・ブックセラー」の記事(有料)
https://www.thebookseller.com/news/eu-council-takes-vat-e-books-869716
英「ブックス&パブリシング」の記事
https://www.booksandpublishing.com.au/articles/2018/10/03/116549/eu-council-allows-vat-free-status-for-ebooks-and-audiobooks/
GoodEReaderの記事

In a decision that has been years in the making, the EU has decided to allow the removal of VAT on ebooks, just as it has done for print books all this time. This single change could spell an increase in sales of digital works and the technology to read them, and in the interaction between readers and digital-only indie authors. For years, ebooks have carried the sting of as much as a 20% tax d...

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著者について

About 大原ケイ 289 Articles
NPO法人HON.jpファウンダー。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。
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