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2026年4月19日~25日は「“10代のマンガ離れ”要因と対策」「ワイリーのAI事業売上急成長」「文科相がデジタル教科書を認めず」などが話題に。広い意味での出版に関連する最新ニュースから編集長 鷹野が気になるものをピックアップし、独自の視点でコメントしてあります。メルマガでもほぼ同じ内容を配信していますので、最新情報をプッシュ型で入手したい場合はぜひ登録してください。無料です。クリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 – 継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0)でライセンスしています(ISSN 2436-8237)。
【目次】
- お知らせ
- 政治
- 社会
- 経済
- “10代のマンガ離れ”にあまり異論はないけど、その理由は“大人向け向け課金に走った”からなのか?〈HON.jp メールマガジン(2026年4月21日)〉
- 「サザエさん」と「いじわるばあさん」が初の電子書籍化!「サザエさん」生誕80年〈MANGA Watch(2026年4月22日)〉
- 【デジタルトレンド】82 米出版社WileyのAI事業売上が急増 AI利用からの一過性でない売上確保に成功〈The Bunka News デジタル(2026年4月24日)〉
- 書籍を基にAIが質問に回答 ドコモ出身新興キュレカ、業務改善に活用〈日本経済新聞(2026年4月24日)〉
- Kobo has released new limited cases for Libra and Clara(コボがリブラとクララ向けに新しい限定ケースを発売しました)〈Good e-Reader(2026年4月24日)〉
- 技術
- お知らせ
- 雑記
お知らせ
2026年5月4日(月)開催の文学フリマ東京42に「HON.jp Books」として出店します。ブース位置は南3-4ホール こ-47〜48です。出版創作イベント「NovelJam」の合本や新刊『出版とフリー 〈無料〉との競争の果てに起きたこと』などを販売します。ブースにお越しいただく方は、ウェブカタログで「気になる!」を押しておくと便利です。
政治
グーグルのAI検索は「優越的地位の濫用」 新聞協会が名指しで声明〈朝日新聞(2026年4月20日)〉
日本新聞協会はこれまで、生成AIサービスが報道コンテンツを学習・利用する場合、報道機関の許諾を得るよう求めてきた。
なんというか、うーん……1行目からツッコミどころを用意すんなや! と言いたい。あのですね、AIによる学習は著作権法第30条の4、利用は第47条の5の範囲で無断利用が認められているわけですよね。そこへの言及を避けて「許諾を得るよう求めて」も無駄ですよ。「第30条の4で認められた範囲を逸脱している」とか「第47条の5で認められた範囲を逸脱している」って主張なら、まだわかるんですけど。
[社説]エンタメ輸出育成は長い目で〈日本経済新聞(2026年4月25日)〉
そうですね。「内容に口は出さない」っていう大原則を打ち立てていますが、実際にそれを守るかどうかが重要ですから。なんども繰り返し「約束は守れよ!」って念押しし続けることも必要でしょう。
完全デジタル教科書、文科相「小4以下は適当ではない」…国語・社会・道徳は「全学年で認めるべきではない」〈読売新聞(2026年4月25日)〉
は? うわ! 有識者会議のこれまでの議論や実証結果なんかをぜんぶ政治の力で吹っ飛ばしにかかってきやがった! 読売新聞は自分たちの主張に沿ってる方向だからって喜々として報道してますけど、文科相の一声で方針変わっちゃうって、大問題でしょ。
社会
思い切った慶應義塾 全教職員にNotion導入で168年分の知的資産をAIに食わせるプロジェクトが始動〈ASCII.jp(2026年4月19日)〉
「AIに食わせる」ってなに……? と思い慶應のプレスリリース(PDF)を確認しましたが、「学習」とはひとことも書いてありません。ライターが勝手に「AIに学習させる」と解釈しちゃったのかな。プレスリリースには「AIが参照できる『信頼できるコンテキスト』を供給し続けることが重要」とあります。つまり、RAGですよね、これ。参照させるだけなら「AIに眺めさせる」くらいの表現がふさわしいと思います。「学習」と「参照」の混同は困るんですよね……用途が違うから、契約でも別々に考えなきゃいけない。でも、混同したままあれこれ進んでしまいそうで怖い。とても危惧しています。
ネット広告4兆円市場をブロック 遮断アプリ急伸、「ギガ不足」も背景〈日本経済新聞(2026年4月21日)〉
App Apeの推計で、広告ブロック上位4アプリ合計のMAUは1年前の1.2倍くらいになっているそうです。うーん、意外と伸びていないというのが正直なところ。私は、いまのウェブ広告がどういう状態になっているかをウォッチするためブロックはしていませんが、正直、ブロックしたいと思ってます。
『BUTTER』版権、新潮社→河出書房新社へ 柚木麻子氏が決断「差別や排除に対しどう立ち向かうべきか」〈オリコンニュース(2026年4月22日)〉
支持します。深沢潮氏自身を除くと、私の知る限り2月の澤村伊智氏に続く2例目でしょう。ニュースになってないだけで、他にもいるかもしれませんが。
「アクセシブルなEPUB制作のためのガイドブック」を公開しました〈経済産業省(2026年4月23日)〉
待ってました! まあ予想通りですが「印刷版ページ番号」には触れられていません。というか「参考資料編」のEPUB Accessibility 1.1の説明からも省かれているってのは、ちょっと切ないなあ……MUST要件ではなくSHOULD要件だから、という理由でしょうけど。関わった方々を知っているからあんまり強く批判はしたくないけど、悲しい。
私はこれ、アクセシビリティの観点はもちろんですけど、もっとリフロー型電子書籍を売れるようにするための方策として有効だと思っているから、繰り返し指摘しているんですよ。だって、図書館関係者から「リフロー型では,画面によってページ数が変動するため,授業での参照範囲指定時や論文への引用時には不向きである」と言われちゃってる。端的に言えば「商品に瑕疵がある」と指摘されてるわけですよ。でも裏を返せばこれって、そこが直れば買っても良いって声なわけですよね。顧客の声に、耳を傾けるべきだ!
……まあ、チラッと聞いた話では「専門書向けのガイドライン文書もこのあと出す」みたいなので、期待してもう少し待ちます。
国立国会図書館の個人送信サービス、多くの資料が館内限定に変更〈X(2026年4月23日)〉
国立国会図書館デジタルコレクションで個人送信・図書館送信対応だった本が、館内限定に変わってしまった! と騒ぎになっています。ちょうど今年の事前除外手続が開始されたばかりですが、事後除外の処理もこのタイミングだったのでしょうか。
正直、除外手続についてよくわかっていない方が多いのだなーという感想です。除外される対象は「入手困難ではない」ことと、著作権等管理事業者が管理している場合と、著作者から送信停止要請があった場合です。あと、出版社から「復刊予定だから外して」って申請があれば除外されます。
古書価格が高騰していると、出版社が「ニーズがある」と見て、PODや電子で復刊しようとする場合があります。新刊がお値打ちに出ていれば、そのほうがいいわけですから。それで「事後除外手続」の申請をする。現時点ではまだ買えないけど3カ月以内に出る予定、という場合でも除外されます。
あと、聞くところによると、私が想像していた以上に著作者からの送信停止要請が多いようです。「なぜ館内限定に変えたのか?」という理由が公表されていないから陰謀論じみたことを言う人が現れてしまうと思うのですが、ヘタをすると館内限定に変えた著作者へ批判の矛先が向かってしまう可能性があるようです。うーん、難しいなあ。
経済
“10代のマンガ離れ”にあまり異論はないけど、その理由は“大人向け向け課金に走った”からなのか?〈HON.jp メールマガジン(2026年4月21日)〉
読者限定の後半では、マンガサービスが小中高生を軽んじているというより、プラットフォームやキャリアの制限によってマンガサービスの利用に制限がかけられていると言ってよさそうだという話と、対策提言をしています。
「サザエさん」と「いじわるばあさん」が初の電子書籍化!「サザエさん」生誕80年〈MANGA Watch(2026年4月22日)〉
アレ? なんかほのかに記憶が……と思ったら、コロナ禍のとき期間限定で無料公開をやっていましたよね。結局そのあと「販売」には到らず、6年越しでようやく、ということになるわけですか。なんでそんなに時間かかったんだろう?
【デジタルトレンド】82 米出版社WileyのAI事業売上が急増 AI利用からの一過性でない売上確保に成功〈The Bunka News デジタル(2026年4月24日)〉
Wileyの26年度AI関連売上高 は、第3四半期累計で4200万ドル(約67億円)に達した。25年度の4000万ドル(約64億円)を上回り、通年で4500万ドル~5000万ドルに達する見込み。
おー、これはすごい。第3四半期累計で2025年度を上回ったことに。急成長してますね。Anthropicの提唱したオープン規格MCP(Model Context Protocol)の採用が大きな要因のひとつとのことです。学習用データを買切りで提供するバルク販売ではなく、RAGで参照されるたびに従量課金することでライセンス料が継続的に入ってくるモデルが構築できるとのこと。学術系出版社に福音かも?
書籍を基にAIが質問に回答 ドコモ出身新興キュレカ、業務改善に活用〈日本経済新聞(2026年4月24日)〉
これも面白い。許諾を得た書籍だけを対象にするそうです。コンテンツ提供側への対価還元モデルがわかりませんが、こういう仕組みにバルク販売しちゃダメだと思うんですよね。実際問題、RAGなら何回参照したとかデータぜんぶとれるはずなんで、利用した回数分だけ支払え、でいいと思うんですよ。
Kobo has released new limited cases for Libra and Clara(コボがリブラとクララ向けに新しい限定ケースを発売しました)〈Good e-Reader(2026年4月24日)〉
サプライズは「ソフトウェアアップデートだけで可能なLCP対応の公式発表と予想」したんですが、ただのケースでした……とほほ。期待煽りすぎだろ、マイケル・タンブリン! いや、まあ、勝手な想像で期待し過ぎちゃった私が悪いんですが。
技術
朗報! Googleが「戻るボタン→広告」がスパムに……次は「×ボタン小さすぎ広告」を何とかしてほしい〈ITmedia NEWS(2026年4月20日)〉
いや、次に規制すべきは全画面(ポップアップ)広告ですよ。というか、そもそもポップアップ広告ってBetter Ads Standardsで非推奨とされているはずなのですから。Googleが2018年にBetter Ads Standardsに準拠していない広告をChromeでブロックすると発表したときは「これでウェブ広告が健全化に向かうかも」という期待があったんですが、まさかその後にGoogle自身がポップアップ広告を配り始めるなんて。つまり、だいたいいつもGoogleが悪い。
お知らせ
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日刊出版ニュースまとめ
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雑記
文学フリマ東京42の新刊、再読&加筆がなんとか間に合いました。各章最後への追記と、最終章の書きおろしがあります。表紙はカラーリングを変えました。怒られませんように!(鷹野)






















