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2026年2月8日~14日は「Anthropic Claude Coworkの衝撃」「新聞の若者離れ」「電書を連続キャプチャしてPDF化するツール」などが話題に。広い意味での出版に関連する最新ニュースから編集長 鷹野が気になるものをピックアップし、独自の視点でコメントしてあります。メルマガでもほぼ同じ内容を配信していますので、最新情報をプッシュ型で入手したい場合はぜひ登録してください。無料です。クリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 – 継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0)でライセンスしています(ISSN 2436-8237)。
【目次】
- 政治
- 社会
- 経済
- 技術
- お知らせ
- 雑記
政治
ChatGPTで“存在しない判例”を引用 米国の弁護士に制裁、出禁や罰金〈ITmedia AI+(2026年2月9日)〉
当該弁護士は、家庭の緊急事態で精神的に混乱していたなどと言い訳をしていたようですが、署名した他の弁護士も含め問答無用で制裁を食らっています。それなりに知っているはずの分野でもノーチェックなら事故る、ということ。ましてや、詳しくない分野なら気づけません。いやあ、怖い怖い。
ウェブ検索機能をオンにした状態で最も優れたAIですら約30%のケースで事実誤認の「ハルシネーション」を起こすと研究で判明〈GIGAZINE(2026年2月10日)〉
関連して紹介しておきます。外部データを参照しても、3割はハルシネーションが紛れ込むのが現状、と。「その程度の精度なのだ」ということをしっかり認識したうえで使わないと危ういです。AIの回答コピペとか、恐ろしくて私にはもうできないなあ。
米広告業界団体IAB、AI企業によるコンテンツ無断利用に対抗する連邦法案を提示〈Media Innovation(2026年2月12日)〉
著作権法のフェアユースではなく、不当利得(unjust enrichment)を軸に据えている点がポイントとのこと。興味深いですが、現時点ではそんな都合のいい法律が制定できたらいいねという願望に過ぎない気もします。とはいえ、こういう「具体的にどういう法律にしてほしい」という案をしっかり提示してくるあたりは、日本の諸団体にもぜひ見習ってほしい。
社会
なぜ若者は新聞を読まないのか ポッドキャストを配信して見えたこと〈withnews(2026年2月10日)〉
朝日新聞ポッドキャストの神田大介氏による現状分析です。「新聞の若者離れ」は秀逸。若いリスナーが多いのですね。いいなあ。ウチのポッドキャストは、私と同年代が3分の2を占めています。まあ、もうちょっとマメに更新しないとダメかも。なお、こちらは神田氏による短期連載で、本稿執筆時点で5回目まで出ています。どれも面白い。でも、古い記事から新しい記事への誘導リンクがない。トホホ。
ChatGPTで書いた文章がバレる15の決定的サイン、2026年最新版〈Forbes JAPAN(2026年2月12日)〉
Gemini(思考モード)に「この記事を読んでどう思う?」と尋ねてみたら、「私(AI)自身も非常に『耳(プロセッサ)が痛い』と感じる部分があります」などと返してきやがりました。やるなあ。まあ、AI出力を「ケガレ」みたいに扱うのもどうかと思いますが。AI出力か否かは本質的な問題じゃない。AI出力だろうと、面白けりゃいいんですよ。問題は、面白くないゴミみたいなAI出力がすさまじい速さで大量発生していること。
経済
進化する「Claude Cowork」がメディアの情報サービスにも打撃?【Media Innovation Weekly】2/9号〈Media Innovation(2026年2月9日)〉
Anthropic「Claude Cowork」が1月12日にリリースされ、株式市場がすさまじい反応を示し、業務ソフトを提供するSaaS企業などの時価総額が合計約43兆円消失したそうです。こちらの記事で、かなり詳しく報じられています。
どこの出版社も”法務AI”ショックは他人事じゃない〈mizuho furuhata(2026年2月8日)〉
そういった動きを受けて、古幡瑞穂氏が「他人事じゃない」というコラムを書かれています。私はとくに、以下の指摘が重要だと思いました。
定型、一般論、FAQなどはAIに代替されていくでしょう。一方で、更新性が高い領域、責任境界が重い領域、監修・エビデンスが効く領域は残るはず。
そうなんですよね。現状のAIは外部データを参照(つまりRAG)しないと正確な出力ができません。公開されておらず、希少性が高い情報はむしろ高く売ることができそう、と私は思っています。クリス・アンダーソンが『フリー』で指摘しているように「希少な情報は高価になりたがる」ことは忘れられがちなのです。まあ、めっちゃヘビーな交渉になることも予想はできますが。
数百万冊の本が学習され、市場から43兆円が消えた問題を出版目線で整理したらやっぱいかんわ〈オーディオブックファンクラブ(2026年2月8日)〉
個人的には、株式市場は過剰反応だと思います。また、現時点で失われたのは株式市場での時価総額であり、サービス市場そのものはまだ奪われていない点にも留意する必要があるでしょう。「奪われそう」という雰囲気と予想だけで狼狽売りが起きている印象です。
そして、実際にサービス市場が奪われるようだと、フェアユースではなくなる可能性が高いと思うのですよね。もし今後、Anthropicが訴えられて裁判で負けたりすると、今回下がった企業の株価は反転上昇するでしょう。
「天穂のサクナヒメ」、ソシャゲなのにゲーム内で流れる広告が圧倒的“好評”の理由 「不快感がない」「飯テロw」〈ITmedia NEWS(2026年2月10日)〉
ゲームの話題ですが。コンテンツにマッチした広告はユーザーの受容度が非常に高いと以前からよく言われているとおりで、好例だと思うので取り上げました。みんなこういうふうにできたらいいのになあ。
KADOKAWA、出版不振で減益〈日本経済新聞(2026年2月12日)〉
タイトルに「出版不振」とありますが、決算説明資料を確認したら、出版・IP創出部門の売上高は累計期間(4-12月)で前年同期比▲0.0%の微減、10-12月実績では同+0.3%の微増です。売れてないわけではない。ただし、営業利益が累計期間で同▲90.2%減、10-12月実績では同▲81.8%減です。要因は、売上認識タイミング変更、編集者増に伴う人件費増加、そして、タイトル小規模化が挙げられています。タイトル小規模化ということは、新たなヒットがあまり生まれていない、ということになるでしょうか。
出版不況でも小学館GOATが36万部突破 脱タイパに響く「フェス的」設計〈日経クロストレンド(2026年2月13日)〉
GOATの部数は確かにすごいんですが、書店・取次が出版社に「定価を上げてくれ」とお願いしている中で、あえて原価割れの定価を設定している点が気になっています。小学館が「それでもいい」と判断していたとしても、書店・取次はどう思っているのかしら?
技術
長いページは全体がクロールされなくなる? Googleがクロール制限を15MB→2MBに縮小【やじうまWatch】〈INTERNET Watch(2026年2月9日)〉
マジ? と焦りました。結論から言うと、変更されたのは説明文だけで、実は以前から上限は2MBだったそうです。Search ConsoleのURL検査で確認してみましたが、最近では最も長い2025年回顧(WordPressのCMSで3万1754字とカウントされている)でも、本文はもちろん末尾の脚注も最後まで保存されていることが確認できています。とくに問題はなさそう。ひとまず安心。
まあ、3万字超の記事でもHTMLタグ込みでテキストファイル保存したら80KBくらいだったので、1ファイル2MBの制限を超えるには75万字くらい必要になります。そんな制限に引っかかるページは、さすがにウチにもないです。
Googlebotは最初の2MBまでをクロールする、15MBではなかった?→Googleの一般的なクローラーは15MB上限〈海外SEO情報ブログ(2026年2月13日)〉
……と思ったのですが、こちらの記事で紹介されているツールで計測してみたところ、2025年回顧記事は約1.4MBでした。あるぇ? ヘッダー、フッター、外部ファイルではないCSSなど、本文以外の構成要素で容量を食っている、のか?
GooglebotはHTMLの先頭2MBしか読まない。長大ページのサイトは要注意?【SEOまとめ】 | 海外&国内SEO情報ウォッチ〈Web担当者Forum(2026年2月13日)〉
こちらの記事では、かなり詳細にどういうことかが説明されています。Googleの中に人に直接確認してみたというのが、さすがだと思いました。
【山田祥平のRe:config.sys】なんちゃって電子書籍の面目躍如〈PC Watch(2026年2月14日)〉
電子書籍ビューアの画面キャプチャを自動ページめくりで連続保存したうえ、AI-OCRによるテキスト埋め込みPDFを作成するアプリ&クラウドサービス「0秒読書」がソースネクストからリリースされたそうです。
そういうツールが存在することは昔から伝聞で知ってましたが、そのせいでスクショ禁止みたいなDRM強化が行われてユーザーが不便になる……みたいな歴史があると認識しています。これまでは海外メーカー製が多かったのかな? 今回は日本のけっこう著名なメーカーが手掛けてしまったわけですが、どうなるでしょうか。
ブラウザビューアだとスクショは防ぎようがないから、もしかしたら提供中止みたいな動きが出てくるかも……と心配になったのですが、ソーシャルDRMで拡散防止を図る仕組みになってました。生成したPDFの全ページに、ユーザーのメールアドレスなどの情報が強制的に埋め込まれ、編集・印刷できないロックがかかるとのこと。
そこまで配慮されているなら、あとは「生成AIサービスで活用」という用途が著者や出版社にどう受け止められるか次第でしょう。ユーザーの利便性が向上しても、著者や出版社には不利益と受け止められてしまう可能性はあります。まあ、こういうツールアシストがなくても、生成AIサービスでの活用というのはもう「防ぎようがない」気もしますが。
ちなみに、記事の最後のほうにある「場合によってはKindleサービスで新世代のAlexaが生成AIとして要約などをしてくれるのもありかもしれない」は、すでに昨年末に「Ask This Book」がリリースされていて、Authors Guildからは猛反発を食らってます。用途が違うのだから、追加ライセンスで対価をよこせ、という話です。
お知らせ
新刊について
新刊『ぽっとら Podcast Transcription vol.1 ~ 詐欺広告や不快広告・金融検閲・生成AIと著作権・巨大IT依存問題など、激変する出版界の広範な論点を深掘りしてみた。』を刊行しました。ポッドキャストファーストという試みです。今後も続けたい。
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日刊出版ニュースまとめ
伝統的な取次&書店流通の商業出版からインターネットを活用したデジタルパブリッシングまで、広い意味での出版に関連する最新ニュースをメディアを問わずキュレーション。FacebookページやX(旧Twitter)などでは随時配信、このコーナーでは1日1回ヘッドラインをお届けします。
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雑記
コートを着て都心まで出かけたら暑い……汗をかいてしまいました。過ごしやすくて良いのですが、2月の気温じゃないなあ。(鷹野)




























