『国語教育 混迷する改革』紅野謙介/筑摩書房/1月8日刊行予定 ~ 発売前作品のゲラが読める NetGalley 新着作品紹介

『国語教育 混迷する改革』表紙
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 教育に携わるすべての方必読! 戦後最大の教育改革に警鐘を鳴らし続けた著者による徹底解説

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 書誌情報や表紙は本稿執筆時点のものであり、刊行時には変更されている可能性がありますのであらかじめご了承ください。

国語教育 混迷する改革

紅野謙介/筑摩書房

内容紹介

国語教育 混迷する改革 2019年12月17日、文部科学大臣による記者会見で導入見送りが発表された大学共通テストの記述式試験。英語民間試験導入延期に続き、その設計の大きな欠陥が注目を集めてきました。受験生に不安を抱かせ、教育現場を混乱させた戦後最大の改革の実像はどのようなものなのか。

 本書の著者は、プレテストや新指導要領解説の詳細な分析から、この改革がいかに危ういものであるかを指摘し、警鐘を鳴らし続けてきました。政府による発表の前から、導入見送りを予言していたとも言えます。

 今回の教育改革を通して過去と未来を見つめながら、「ことばの教育」のあり方を考える本書は、国語教育のみならず、この国の教育全体をも照らし出す一冊です。ぜひご注目ください!

【本書付記より】

 大学入学共通テストの「国語」「数学」に記述式試験の問題を導入する計画については、2019年12月初旬、ようやく政府与党内からも延期ないし再検討の意見が出て、文科省もその意向を無視できない状態となりました。おそらく本書が刊行される時点では、既に何らかの決断が示されていることでしょう。まさに時々刻々の変化が起きているのですが、たとえ延期になったとしても、それは採点の公正さを維持できないなどの理由によるものです。あまりに遅いその結論は当然のこととして、新学習指導要領が現行のままであるかぎり、しばらくしたら、また同じような計画が起き上がりこぼしのように浮上してくると思います。その背景に潜むさらに大きな問題を本書を通して確認していただければ幸いです。

【目次】
■ はじめに

背中から未来に入る/手段としての入試改革/見えない具体案/論理か文学か?/言葉をきちんと読むために

■ 第1章 記述式試験の長所はどこに ― プレテスト第1問の分析

混乱する大学入学共通テスト/第二回プレテストの「国語」/題材選択の本気度/「指」が結ぶ三項関係/記述式のリスク/論点整理の矛盾/複雑な条件はなぜ必要か/記述式試験の長所が消えた/正答の幅が狭すぎる/テストは所詮テストである

■ 第2章 複数の資料が泣いている ― プレテスト第2問の分析

法と契約の言説/不都合な情報はオミットせよ/「著作権」について考える/名和小太郎『著作権2.0』/選択肢は正しいか/正答への疑問/著作権1.0から2.0へ/設問相互の矛盾/表を読む/表現と内容/これは「文学」である/リスペクトの不在

■ 第3章 教室の「敵」はどこにいる? ― 「学習指導要領」の逆襲

試験から教室へ/解説本、大セール/解説の解説本/国語の先生、君たちはもう終わっている!/ゼロベースからの見直し/推測に推測を重ねて/学習指導要領とは?/読解中心をやめる/文学部を批判する/打倒、訓詁注釈/曖昧な言葉たち/「資質・能力」ベースの幻想/どんな「能力」を伸ばすのか

■ 第4章 「現代の国語」と「言語文化」 ― 高校一年生は何を学ぶのか

Evaluation とAssessment/カリキュラム・マネジメントとは/拘束力を強めよ/言葉のマジック/科目の性格/「現代の国語」/一五歳が見えているか/比べて読む/「現代の国語」の危うさ/「言語文化」/一学期の指導計画/読まずに味わえるか/小説が読めていない/際立つ貧しさ/悲しき「言語文化」

■ 第5章 選択科目のゆくえ ― 間延びしたグランドデザイン

言葉をどのように引き出すか/「論理国語」/絵に描いた餅は食べられるか/「文学国語」/「虎の穴」第二弾/「文学」概念の狭さ/「国語表現」/自分を語るむずかしさ/「古典探究」/分かること、分からないこと/「清光館哀史」の意義

■ 第6章 国語教育の原点に立ちかえる ― ことばの教育へ

「学校化」の徹底/「生政治」の浸透/「学習指導要領」のダブルスタンダード/オープンダイアローグ/「読むこと」と「書くこと」のサイクル/テクストの複数性/言葉に向き合う/署名のある文章、署名のない文章/小説の言葉/会話を読む/世界認識の形式/教育課程をどのように組み立てるか

■ あとがき
【第1章・第2章について】

 諸事情により、第1章・第2章の掲載は見送らせていただきますが、現在「Webちくま」にて、著者がプレテストについて詳細に分析している「緊急特集!入試改革」をお読みいただくことができます。第1章・第2章が気になる方は、ぜひこちらをどうぞ。

国語・記述式試験のどこが問題か? ── 大学入学共通テスト・試行調査の分析 1
国語・記述式問題の長所はどこにあるのか? ── 大学入学共通テスト・試行調査の分析 2
【著者プロフィール】
紅野謙介(こうの・けんすけ)

1956年東京都生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程中退。麻布高等学校教諭を経て、現在、日本大学文理学部教授、学部長。専攻は日本近代文学。メディア環境や多様な文化の広がりの中で文学を捉える試みを続けている。著書に『国語教育の危機』(ちくま新書)、『書物の近代』(ちくま学芸文庫)、『投機としての文学』(新曜社)、『検閲と文学』(河出ブックス)、『物語岩波書店百年史(1)「教養」の誕生』(岩波書店)、共著『どうする?どうなる? これからの「国語」教育』(幻戯書房)、共編『ちくま小説選』『ちくま小説入門』(筑摩書房)、『日本近代短篇小説選』(岩波文庫)他多数。筑摩書房高等学校用国語教科書編集委員。

おすすめコメント

 長年、国語の検定教科書を発行してきた筑摩書房ならではの一冊です。ぜひご注目ください!

出版情報

発行形態:文庫・新書
ISBN:9784480072801
本体価格:¥880 (JPY)
ジャンル:ビジネス/マネー , 家族/子育て
刊行日:2020/01/08

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