SF出版レーベルTorがEブック新刊を図書館に出すのを4ヶ月延期へ

 このところしばらく特筆すべきニュースのなかった図書館Eブック市場だが、SF書最大手、マクミラン傘下のTor Booksが2018年7月刊行のタイトルから、図書館にEブック版が提供されるのを4ヶ月先にしたと業界誌「パブリッシャーズ・ウィークリー」が伝えている。

 マクミランは、これはまだテスト段階の措置で、図書館向けEブックがどれだけ販売数に影響しているかを調べるためだという。ただ、現在の分析では既にいくばくかの影響があることはわかっており、「Torの著者、エージェント、そして他の販売路関係者にとっていちばんいい時期を探っていく」としている。今のところ、Tor以外の本では実施する予定はない。

 2014年以降、「ビッグ5」と呼ばれる米最大手の出版社5社は、刊行初日から図書館でEブック版が貸し出せるようにしていた。

 全米300の図書館が集まるリーダーズ・ファーストというウェブサイトでは、マクミランのこの動きを「後ろ向き」と批判し、Eブックの貸し出しがEブックの売り上げに悪影響を与えているという考えに疑問を呈し、なんらかの対策を考えているという。

参考リンク

パブリッシャーズ・ウィークリーの記事
https://www.publishersweekly.com/pw/by-topic/industry-news/libraries/article/77532-tor-scales-back-library-e-book-lending-as-part-of-test.html
リーダーズ・ファーストの記事
http://www.readersfirst.org/news/2018/7/13/a-communication-to-tormacmillan

藤井太洋の頭の中
About 大原ケイ 68 Articles
NPO法人日本独立作家同盟 理事。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。