ブロガーやユーチューバーに続く本のヒットメーカーはポッドキャスターか?

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 これまでもブロガーやユーチューバーがヒット本を出すことはあったが、次なるトレンドはポッドキャストのようだ。個人でもできるポッドキャストは、多種多様のコンテンツで低予算で製作でき、中には熱心なファンがいる番組もある。そこに出版社が目をつけ始めたとウォール・ストリート・ジャーナルが報じている。

 大手エージェンシー、ウィリアム・モリス・エンデバーのイヴ・アッターマンは、現在5人のポッドキャスト出身のクライアントと企画書を練っている最中で、ポッドキャスター本は「急成長している」という。政治ポッドキャスト「Pod Save America」のダン・ファイファーの本は6月に刊行され、またたくまにベストセラーリスト入りした。サッカー解説のポッドキャスト「Men in Blazers」をベースにした「Encyclopedia Blazertannica」も、今年に入ってベストセラーになっている。

 「Hot Pod」というポッドキャスト業界のニュースレターを書いているニコラス・クアも、ポッドキャストの歴史をまとめた本を出す企画が通ったばかり。本として刊行されるだけでなく、「Gimlet Media」がポッドキャストとして始めた心理スリラー「Homecoming」は、ジュリア・ロバーツ主演で、アマゾン・プライムビデオとしてこの秋、公開される。

 クリエイティブ・アーツ・エージェンシーのアンソニー・マテロは「リスナー10万人といえば、ポッドキャストとしては平均的な数字だけれど、その半分の人が本を買えば出版社は大喜び」という。カリスマ性のあるホストなら、説得力のある「声」の本が書ける可能性が高いという。

 アメリカでのポッドキャスト愛好家は増える一方で、2018年のニールセン報告によると、3年前はそもそもポッドキャストが何かを知っている人が全体の半分に満たなかったが、今では3人に2人が知っているまでになった。

参考リンク

ウォールストリートジャーナルの記事(有料)

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著者について

About 大原ケイ 289 Articles
NPO法人HON.jpファウンダー。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。
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