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選考員の夫によるレイプと漏洩問題で発表が延期になった昨年の分と合わせ、2人発表されたノーベル文学賞は、ポーランドのオルガ・トカルチュクとオーストリアのピーター・ハントケと発表された。このニュースは日本国内でも共同通信が「ノーベル文学賞は外国人に」という見出しで伝えている。
ハントケ氏は国籍はオーストリアだが、自殺したセルビア人を母について語った『幸せではないが、もういい』『左ききの女』などの著作の他に『ベルリン 天使の詩』などの脚本で知られる。
一方のトカルチュクは詩人でもあり読者や書評家の評価は高いが、ポーランドのニケ賞を2度目に受賞した「ヤコブの書」(Księgi Jakubowe)では保守党のポーランド政権を非難した政敵と呼ばれた。『昼の家、夜の家』や、昨年は英語に翻訳された短編集『逃亡派』が英ブッカー賞を受賞しており、日本語版も出ている。
スキャンダルで発表中止となって以来、仕切り直しを迫られた主催者スウェーデン・アカデミーだが、中央ヨーロッパ出身で、政治的発言にも臆しない2人を選んだことでまた新たに論争が始まりそうだ。特にハントケの受賞については、さっそく米ペン協会のジェニファー・イーガン会長は「作家という公人の立場で歴史を曲げ、セルビアの戦犯を後押ししてきたハントケ氏が選ばれたことに驚きを禁じ得ない」と発表している。
参考リンク
ノーベル賞の公式サイト
https://www.nobelprize.org/prizes/literature/2019/summary/
ニューヨーク・タイムズの記事