図書館のEブック貸し出し反対の陰に、アマゾンによるネガティブ情報提供か

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 アマゾンが図書館のEブック貸し出しにネガティブな情報を出版社や著者に渡していることは1年以上前から公然の秘密だったが、Eブックのベンダーであるビブリオテカ社の幹部が、アマゾンによるEブック貸し出しへの口出しに対し抗議するよう、図書館司書らに注意勧告した、と業界誌パブリッシャーズ・ウィークリーが伝えている。

 「図書館によるEブックの貸し出しで不利益を被っていると感じるようになってきた証拠」として出版社に圧力がかかっているからだ、と主張したのはビブリオテカのデジタル商品部長であるトム・マーサー。「マクミランCEOのジョン・サージェントが図書館向けEブックの卸値を変えたのも示唆に富んでいると思う」と発言。読者がどれだけEブックを買い、どれだけ図書館でEブックを借りているか、そんな情報を掴んでいる上で、Eブック貸し出しによって利益が損なわれるステークホルダーはたった一つ、アマゾンだからだというのだ。

 確かに、アマゾンのEブックはキンドルのみで販売され、オーディオ版もオーディブルがないと聞けない。さらにアマゾンは近年、出版社として独占体制で著者を囲い始めている。マーサーは対抗措置として、Eブックサービス会社は図書館のデータをアマゾンに渡すのをやめるべきだとも。キンドルでも読めるデータでEブックを提供している大手はオーバードライブだけであることから、これは暗にオーバードライブに対する発言と受け取られている。

 マーサーの発言が当初、今年の全米図書館司書協会のコンファレンスでライブラリー・ジャーナル誌に載った際、アマゾンはEブック貸し出しのデータを著者や出版社と共有したことは認めたが、図書館のEブック貸し出しを邪魔する意図はなかったと主張している。

 パブリッシャーズ・ウィークリーの取材に応じた図書館司書の多くは、キンドルデバイスで図書館のEブックを読みたいという読者が多いことを理由に、マーサーの呼びかけには応じるのは難しいとしている。

参考リンク

パブリッシャーズ・ウィークリーの記事
https://www.publishersweekly.com/pw/by-topic/industry-news/libraries/article/81046-bibliotheca-calls-out-amazon-for-meddling-in-the-library-e-book-market.html
ライブラリー・ジャーナルの記事
https://www.libraryjournal.com/?detailStory=publishers-change-ebook-and-audiobook-models-libraries-look-for-answers

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About 大原ケイ 205 Articles
NPO法人HON.jp 理事。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。

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