ドイツ最大手取次の倒産による余波を懸念する小出版社

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 書籍と他メディアの取次でドイツ国内に7ヶ所の拠点を持つドイツ最大手のKoch, Neff & Volckmar(KNV)が2月に倒産申請し、その影響が懸念されている、と複数のドイツのメディアが伝えている。

 1829年創業の老舗で59万タイトルを扱う取次であるKNVは、この数年大規模な設備投資をしており、中でもテューリンゲン州エアフルトの北に1億5000万ユーロをかけて新しいロジスティックセンターを作った。だが投資先との商談がまとまらず、今回の措置に至ったという。

 4月末までは、1800人の従業員は通常営業をする。同取次はドイツ国内の書店4200店、オーストリアとスイスに800店、それ以外の国600店に書籍を卸している。ドイツには約3000社の出版社があり、その3分の1は一般書の版元だ。ドイツの年間書籍総売上げ50億ユーロのうち95%は全体総数の7%の出版社によるものだが、その残りの93%は年間売上げが500万ユーロ以下のインディペンデントと呼ばれる中小出版社で占められる。

 ドイツ出版社書店協会の調査では、20~49歳の読者層の減少が続き、デジタル化による書籍市場への影響が伝えられたばかりだった。

参考リンク

独ニュースサイトDVZの記事
https://www.dvz.de/rubriken/logistik/industrie-und-handelslogistik/detail/news/insolvenz-sorge-um-jobs-beim-buchgrosshaendler-knv.html
独Deutsche Welle国際テレビのニュースサイトDW Newsの記事
https://www.dw.com/en/how-do-independent-publishers-in-germany-survive/a-48196635
Publishing Perspectivesの記事
https://publishingperspectives.com/2019/02/german-market-watches-largest-wholesaler-distributor-knv-bankruptcy-crisis/

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About 大原ケイ 153 Articles
NPO法人HON.jp 理事。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。

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