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2026年4月26日~5月2日は「文フリ東京本日開催」「クリック・ファーム改めスマホ農場」「Google検索の優先ソース日本でも」などが話題に。広い意味での出版に関連する最新ニュースから編集長 鷹野が気になるものをピックアップし、独自の視点でコメントしてあります。メルマガでもほぼ同じ内容を配信していますので、最新情報をプッシュ型で入手したい場合はぜひ登録してください。無料です。クリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 – 継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0)でライセンスしています(ISSN 2436-8237)。
【目次】
- お知らせ
- 政治
- 社会
- 経済
- 2025年出版市場を「コミック」「書籍」「雑誌」の3つに分類し直すと、占有率はコミック44.8%:書籍39.9%:雑誌15.3%に ~ 出版科学研究所調査より〈HON.jp News Blog(2026年4月27日)〉
- Barry Andrews: Big publishers are ripping off our public libraries(バリー・アンドリュース:大手出版社は公共図書館を食い物にしている)〈Irish Examiner(2026年4月27日)〉
- 【下山進=2050年のメディア第77回】共同通信が仲介するソフトバンクのAI事業 地方紙は苦悩する〈AERA DIGITAL(2026年4月28日)〉
- 漫画アプリ「ピッコマ」が“アニメの連載“を開始 漫画をAIで短尺アニメ化して配信〈KAI-YOU(2026年4月28日)〉
- VIPO、日本書籍の海外展開に向けた助成対象を募集〈新文化オンライン(2026年5月1日)〉
- 技術
- お知らせ
- 雑記
お知らせ
本日、2026年5月4日(月)東京ビッグサイトで開催される文学フリマ東京42に「HON.jp Books」として出店します。ブース位置は南3-4ホール こ-47〜48です。出版創作イベント「NovelJam」の合本や新刊『出版とフリー〈無料〉との競争の果てに起きたこと』などを販売します。ブースにお越しいただく方は、あらかじめウェブカタログで「気になる!」を押しておくと便利です。お待ちしています!
政治
【新展開】ついにVisa・Mastercardに警告書!マンガやゲーム燃やす「金融検閲」問題、アメリカで動き〈BEST TiMES(2026年4月17日)〉
Googleアラートに「金融検閲」を登録していなかったため、この動きに気づくのが遅くなりました。英語設定の“Financial Censorship”と合わせて、登録しておきました。とはいえ、公的機関の大きな動きは他メディアでも報じられると思うのですが、調べてみても現時点でこのBEST TiMES(KKベストセラーズ)と杉本穂高氏の個人ブログ「Film Goes with Net」くらい。
ちょっと気になったので一次ソースであるFTCの警告書をVisa、Mastercard、PayPal、Stripeの4社分すべて確認してみたところ、脚注にある例示が“JPMorgan Chase admits closing Trump’s accounts after Capitol riot(JPモルガンは、1月6日の攻撃後にトランプ氏の口座を閉鎖したことを認めた)”とか“Exclusive | Stripe Stops Processing Payments for Trump Campaign Website(Stripeがトランプ陣営のウェブサイトへの決済処理を停止)”などでした。うーん、これはどうも「マンガやゲーム燃やす」という意味での「金融検閲」に対する牽制とは違う気がします。というかトランプ政権の我田引水では?
デジタルのみ教科書「小4以下は不適当」 大臣発言に広がる懸念の声〈朝日新聞(2026年4月28日)〉
デジタル教科書に対する文科相の発言ですが、直後には私の視界の範囲であまり騒ぎになっている様子が観測できませんでした。むしろ文科相発言とは関係なく、デジタル教科書の書店への影響を心配する声のほうが目立っていた感があります(観測範囲の問題かもしれませんが)。
「大問題でしょ」と思った私の感覚がおかしいのか? と訝しんでいたのですが、いままさにデジタル教材(まだ教科書になっていない)を使っている学習障害(LD)傾向の当事者や支援団体、識者などからも反発の声は上がっているようです。そりゃそうですよね。
デジタル教科書『小4以下&国語・社会・道徳はNG』は急に出てきたのか?〈稲田 友(いなだ ゆう)(2026年4月26日)〉
国会としては「完全デジタルが無制限に広がるのでは」という懸念に答えを示す必要があり、指針策定の途中で大臣が現時点の方向感を答弁の形で先に言語化した——というのが今回の流れです。
なるほどなあ。見方を変えれば「政治主導」とも言えるのでしょうけど、これから指針を策定する検討会議は文科相の意向に従わなければならないのか? 有識者に意見を伺う場ではないのか? という疑問が。ちなみに紙推しの読売新聞は、第一報以降沈黙しているようです。
社会
SNS詐欺の被害額が5年でなんと8倍に、起点はFacebookが最多 米FTC報告〈CNET Japan(2026年4月28日)〉
日経に「メタ、デジタル広告売上高で初のグーグル超えへ AIと縦型動画で攻勢」という記事が出た日に私は「そのうち詐欺広告で稼いだ割合はどれくらいなんでしょうね?」とコメントしていました。さすがにいくら稼いだかはわからないけど、アメリカでの被害額は出てきました。
Facebookを発端とする詐欺による2025年の損失額は7億9400万ドル(約1300億円)だった。WhatsAppとInstagramの損失額は合計で6億5900万ドル(約1000億円)に達した。
Meta経由の詐欺被害額だけで14億5300万ドル(約2300億円)です。1ドル160円計算かな。大変な額ですが、Metaの広告売上と比べちゃうと小さな額なんですよね。日経報道によると、Metaの2026年デジタル広告売上高は前年比で24%増の2434億6000万ドル(約39兆円)の見通しです。Meta経由の被害額は、Metaの広告売上の1%未満という。
「スマホ農場」でつくる閲覧数 SNS時代の「正義」に現実が揺らぐ〈朝日新聞(2026年4月28日)〉
「スマホ農場」という聞き慣れない言葉を聞いた。SNS上で実態のない閲覧数をつくる拠点という。
私も「スマホ農場」という言葉は聞き慣れないのですが、以前は「クリック・ファーム」という呼称でしたよね。スマホをたくさん並べてぽちぽちしている人の写真のインパクトが強かったです。調べてみたら、日本経済新聞では2016年に報道されていました。
以来、中国や東南アジアで……というニュースは何度か見てきましたが、とうとう日本で農場を開く人も現れたのですね。しかもこの取材当時は高校3年生という。うへぇ。「アルゴリズム」はわりと簡単にハックできてしまうことがよくわかります。多くの人は、そうやってハックされた「おすすめ」に右往左往させられているのです。
文化庁著作権課の広報活動におけるいわゆるパロディ・二次創作の取扱いについて〈全国同人誌即売会連絡会(2026年4月28日)〉
うーん……全国同人誌即売会連絡会の意見も理解はできるけど、文化庁も別に間違ったことは言ってないのですよね。むしろ二次創作される権利者側に寄り添っているとも言えそう。難しい。反響がまとまっていましたが、やはり賛否両論でした。
私は「なるべくガイドラインを設けよう」という方向性に賛成です。というのは、権利者が黙認して権利を行使しないという現状の「寛容的利用(Tolerated Use)」は、逆に言うと、権利者はいつでも好きなときに権利行使できてしまうという、とても脆弱な均衡のもとに成立しています。権利者にとってこの状態は、裁量の余地があるからむしろ都合がいいという。二次創作する側は、この黙認状態がいつまでも続くことを期待しないほうがいいと思うのですよ。
どのみちガイドラインがあっても、グレーゾーンを黙認する寛容的利用は発生しています。現実問題、いちいちすべてに権利行使するほうが大変ですから。エロ禁止のガイドラインが設けられた作品でのエロ二次創作も、実はそれほど珍しくありません。二次創作側は「バレないように」なんてよく言いますけど、いまは検索すれば出てきちゃいますから。はっきり言ってバレバレだと思うのですよ。目立ち始めたら叩くという運用になっていると思われます。
ちなみに私自身は、自分の書いた文章や資料の多くにクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを付けています。この「週刊まとめ」はもちろん、HON.jp Booksの自著や講演資料、大学講義の資料にも付けています(授業外での利用を妨げないように)。それでもいちいち許諾を求めてくる律儀な方がいらっしゃいますが、「表示・非営利・継承の範囲内なら無断で利用して構いません」と返すだけです。そのためのクリエイティブ・コモンズ・ライセンスですから。
帚木蓬生さん小説が販売中止 実在人物が作中で死亡「抗議あった」〈朝日新聞(2026年4月29日)〉
小説、つまり「フィクション」ですよね。それなのに回収まで必要になってしまうのか……と、作家の立場で考えるとモヤッとします。当事者が激怒していて納まりがつかなかったのでしょうか。あるいは、回収しても出版社には損害がそれほど出ないくらいの部数だったのでしょうか。売れてる作品だったら、出版社も全力で守りそう。商売ですもんね。なんか切ない。
読書離れも外出・体験は回復…小中学生2,400人の3年間変化〈リセマム(2026年5月1日)〉
博報堂教育財団こども研究所のリリースで質問文と選択肢を確認してみましたが、紙か電子か、みたいな問いではありませんでした。読む手段は問わない、紙と電子の合算だと捉えていいでしょう。最近話題の「マンガをよむ(全体)」は、2023年:73.5%→2024年:70.8%で3.0ポイント減です。メルマガ増刊号で「“10代のマンガ離れ”にあまり異論はない」と言ったとおり、やはり減少傾向にあると見ていいでしょう。でも、まだ7割読んでるなら、対策(子供に電子で読んでもらう工夫)は間に合いそう?
経済
2025年出版市場を「コミック」「書籍」「雑誌」の3つに分類し直すと、占有率はコミック44.8%:書籍39.9%:雑誌15.3%に ~ 出版科学研究所調査より〈HON.jp News Blog(2026年4月27日)〉
『季刊 出版指標』のマンガ特集が出たので、毎年恒例の分類し直し記事を書きました。出版科学研究所の発表する「雑誌」市場に単行本の「雑誌扱いコミックス」が含まれていることを知らない人も多いので、定期的に認知向上を図っています。意外なことに、Google Discoverからけっこうアクセスがありました。
Barry Andrews: Big publishers are ripping off our public libraries(バリー・アンドリュース:大手出版社は公共図書館を食い物にしている)〈Irish Examiner(2026年4月27日)〉
「大手出版社は公共図書館に法外な価格設定とライセンス条件を押し付けている」という主張です。2年間で更新するモデルは、買う側からするとキツイですよねぇ……まあ日本でもアメリカの販売モデルがほぼそのまま踏襲されていて、図書館向け価格は紙版の2~3倍に設定され、2年間で更新が発生し、3年目からは貸出都度課金へ切り替え、というのが一般的になっていると思います(MeLは買切りですが)。
ちなみにHON.jp Booksは、電子図書館向けは電子書店での小売希望価格と同額に設定しています。電子書店での売れ行きに影響が出るほど貸し出されるとは思えないし、むしろたくさん買ってくれたほうがうれしいから。でもあんまり売れないんだよなあ。
【下山進=2050年のメディア第77回】共同通信が仲介するソフトバンクのAI事業 地方紙は苦悩する〈AERA DIGITAL(2026年4月28日)〉
おお、この事業では「学習」と「参照」がきっちり分けられているのですね。善哉。メディア企業に与える影響は「学習」より「参照」のほうが大きいし継続的になると思うのですよね。だから問題は「参照」が都度課金なのかどうかですが、この記事からは読み取ることができませんでした。まあ、メディア関係者は「Yahoo!ニュースには買い叩かれた」という意識が強いようですから、この事業を警戒するのも無理はないと思いますが。
漫画アプリ「ピッコマ」が“アニメの連載“を開始 漫画をAIで短尺アニメ化して配信〈KAI-YOU(2026年4月28日)〉
日刊まとめで「これは賛否ありそうな悪寒。覚悟の上だろうなあ」と書いたのですが、反響を見ていると「賛」はほとんどなく「否」ばかりが目につきます。「ピッコマ削除した」みたいな声もチラホラ。まあ、予想された拒絶反応ではありますが、問題は圧倒的多数の一般利用者がどう受け止めるか? ですよね。YouTubeみたいなオープンスペースだと「否」の声が目立ちがちですが、これはピッコマアプリ内での配信ですから、わりとすんなり受け入れられる気もします。
VIPO、日本書籍の海外展開に向けた助成対象を募集〈新文化オンライン(2026年5月1日)〉
毎年恒例の文化庁事業です。コンテンツ輸出がもっと盛り上がりますように。
技術
メディアにとって救いになるか? 日本でも始まったGoogle検索の優先ソース〈アヨハタ(2026年4月30日)〉
優先ソース(Preferred Sources)がやっと日本にもきた! 待ってました! 年初の展望記事で私は「これにより、今後はメディアの戦略が大きく変わる可能性があると思っています」と書きました。理由を改めて記すと、ユーザーが優先ソースにわざわざ選んでくれるような、メディアのブランド価値を高めるような施策が今後は重要になるはずだと考えているからです。
つまり、ページビュー至上主義のアテンションエコノミーから、また読みたいと思わせるような独自性や質の高さ、あるいはユーザビリティの高さを追求する方向への転換が進むことを期待しています。裏を返せば、邪魔な広告でユーザーのヘイトを稼いでいるようなメディアが優先ソースに選ばれることはない、という話です。
グーグル検索に「お気に入り」メディア、信頼する媒体を選べる新機能が日本でスタート〈読売新聞(2026年4月30日)〉
Google検索で日経記事みつけやすく 簡単な登録で優先表示〈日本経済新聞(2026年4月30日)〉
マスメディア各社の対応状況を記録しておきます。読売新聞、日経新聞は上記の通り、なんとGoogle公式のお知らせより早く告知記事を出しています。朝日新聞は、本稿執筆時点で記事にはしていない(「優先ソース」で検索しても見つからない)のですが、5月1日に「優先ソースのご登録を」というメールが届きました。毎日新聞、産経新聞は動きが見えず。いいのかそれで。HON.jpもぜひこの機会にGoogle検索の優先ソースに登録いただけたら幸いです。
AdSense全画面広告はGoogle検索のバックボタンハイジャック違反に該当するのか?〈海外SEO情報ブログ(2026年4月30日)〉
タイトルの問いをGoogle検索チームにぶつけた方によると、ストレートな答えではないけど「すべてのパブリッシャーに適用される」と、同じ会社のサービスでも特別扱いはしないと言ってるようです。しかし……そもそも全画面広告はポップアップ広告の一種ですから、Better Ads Standardsに違反しているはずなんですよね。つまり、Chromeチームがブロックするべき対象のはず。やってないけど。そういう前例があるから、これも同じ社内でやってることは見て見ぬふりするか、屁理屈の抜け道で「これはセーフ」扱いしそう。
偶然ですが、本稿を執筆しているときたまたま読売新聞オンラインでバックボタンハイジャック広告が出てイラッとしたことをメモしておきます。プラットフォームはGoogleではなく、Outbrainでした。Google検索のペナルティ開始は6月15日だからまだ1カ月以上猶予はありますが、早めに対応しておいたほうがいいと思いますよ。
お知らせ
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雑記
本日、東京ビッグサイトで開催される文学フリマ東京42にてお待ちしています!(鷹野)





























