『ジェインズヴィルの悲劇 ゼネラルモーターズ倒産と企業城下町の崩壊』エイミー・ゴールドスタイン/創元社/6月14日刊行予定 ~ 発売前作品のゲラが読める NetGalley 新着作品紹介

NetGalley
noteで書く

《この記事は約 4 分で読めます(1分で600字計算)》

 最後のシボレーがラインを通過していくのを呆然とした気持ちで見守っていた工員たちに、怒涛の苦難が押し寄せる――。

 発売前の本のゲラを読み、レビューを投稿して本のプロモーションを応援できるサービス「NetGalley」(ネットギャリー)の新着作品紹介です。

 書誌情報や表紙は本稿執筆時点のものであり、刊行時には変更されている可能性がありますのであらかじめご了承ください。

ジェインズヴィルの悲劇 ゼネラルモーターズ倒産と企業城下町の崩壊

エイミー・ゴールドスタイン/創元社

内容紹介

ジェインズヴィルの悲劇 ゼネラルモーターズ倒産と企業城下町の崩壊 「二分されたアメリカ」の縮図を浮彫りに!

 世界トップレベルの自動車企業・ゼネラルモーターズ(GM)。

 その生産工場が閉鎖したとき、企業城下町ジェインズヴィルの分断が始まった――。

 『ワシントン・ポスト』で30年以上のキャリアを持つ女性ジャーナリストが、一市民のパーソナルな物語を通して「分裂したアメリカ全体の物語」を描き出した、衝撃のノンフィクション!

★ フィナンシャル・タイムズ&マッキンゼー「ベスト・ビジネスブック2017」
★ ニューヨーク・タイムズ「100の名著2017」

***

 GM最古の自動車組立プラントを擁するウィスコンシン州南西の街ジェインズヴィルでは、経済のすべてがGMを中心に回っているといっても過言ではなかった。

 退屈だが高給の工場作業。工員の家族は半地下や庭つきの一軒家に住み、安定した生活を送っている。家族3代、組立プラントに勤めているという家庭も少なくない。

 しかし「大不況(グレート・リセッション)」の渦中にある2008年、クリスマスを目前に控えた冬の日、ジェインズヴィル組立プラントの長い歴史は唐突に幕を下ろした。

 最後のシボレーがラインを通過していくのを呆然とした気持ちで見守っていた工員たちに、怒涛の苦難が押し寄せる――。

 工場の再開を信じるのか?

 よりよい雇用を求めて職業訓練を受けるのか?

 遠方の求人に縋って単身赴任をするのか?

 生活レベルを落として援助を受けるのか?

 かつては同じ工場で共に働いていた人々も、同じ街を故郷とする同胞も、その立場と選択によって運命は大きく分かれてしまう。家族がバラバラになり、十分な援助も受けられず、日々の食事にも事欠くような元工員の家庭があるいっぽう、政治家や財界人はインセンティヴをばらまいて新企業の誘致に奔走しつつも、まだ「グラスは半分以上残っている」と楽観的に構えている。

 災厄を免れた者と、災厄へと滑り落ち、いまだに抜け出せずにいる者。ジェインズヴィルという一都市の悲劇はまさに、二分されたアメリカの縮図となっている。

 著者は現地に赴き、元GM工員、その家族、教育者やソーシャルワーカー、政治家、財界人など、ジェインズヴィルのさまざまな人々に緻密なインタビューを実施。プラント閉鎖以降の彼らの生活や行動を事実のみならず心理まで克明に描写し、すべて実名によるノンフィクションでありながら、小説さながらのストーリーテリングに成功している。

 また、補遺には著者が2013年晩冬~春にかけてロック郡で行った、住民の経済状況に関する調査および職業訓練の成果に関する調査統計結果を多数の収録。本編とは異なる視点から、ジェインズヴィルの「その後」を検証する。

 一企業に依存していた自治体がそれを喪った途端、ドミノ倒しのようにあらゆる経済活動が停滞し、人々の人生が坂を転げ落ちていくさまを目の当たりにする時、これがはるか遠い異国の、耳慣れない地方都市だけに起こりうる物語だとは決して思えないだろう。

出版社からの備考・コメント

四六判並製

出版情報

発行形態:ソフトカバー
ISBN:9784422360102
税抜価格:¥2,400 (JPY)
ジャンル:海外翻訳 , ノンフィクション
刊行日:2019/06/14

NetGalleyの紹介ページ

NetGalleyの使い方(公式ヘルプ)

https://netgalley.zendesk.com/hc/ja/articles/115003991694
(※情報提供:株式会社メディアドゥ)

noteで書く

広告

著者について

About HON.jp News Blog編集部 1957 Articles
HON.jp News Blogは、これからも本(HON)を作ろうとしている人々に、国内外の事例を紹介し、デジタルパブリッシングを含めた技術を提供し、意見を交換し、仮説を立て、新たな出版へ踏み出す力を与えるメディアです。運営は、NPO法人HON.jp メディア部会が行っています。
タグ: / / /