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HON․jpの出版レーベル「HON․jp Books」は12月1日、新刊『ライトノベル市場はほんとうに衰退しているのか? 電子の市場を推計してみた』(鷹野凌・著)を刊行しました。以下にそのまえがきを公開いたします。
「ライトノベル衰退論」へ 異を唱えたい
○×は衰退しました――そんな「衰退論」とでも呼ぶべき言説は、世の中にはたくさんあります。一時は隆盛を誇ったがいまは見る影もないといった状況を伝える記事には、なにか世間一般の溜飲を下げるものがあるのでしょうか? 話題になりやすいようにも感じています。ただ、そういう言説の中には、統計の一部だけしか見ていなかったり、数値を誤って解釈して「衰退」と断じているものが少なくありません。
本書のテーマは、そういった言説のうち「ライトノベル衰退論」へ異を唱えることです。そもそもライトノベルというジャンルは定義があいまいで、人によってブレがあります。出版科学研究所から発表されているライトノベル市場の統計は、紙本の判型に応じて「文学(単行本)」「文庫本」「新書本」に分散しており、数字が発表されていない年もあります。また、電子出版市場の数字は「コミック」「書籍(文字もの)」「雑誌」の3種類であり、ライトノベルだけの数字は未発表です。
そのためか、たとえば「紙のライトノベル(文庫本)」だけを取り上げて「衰退」と言っていたり、あるいは、数字の発表されていない「電子のライトノベル市場」を異様に過小評価していたり。そういった、筆者からするとちょっと「アレ?」と首を傾げてしまうような言説が、それにも関わらず話題になり支持されたりしています。本書がそういう状況に一石を投じる存在になることを願います。
本書は、筆者が編集長をしているウェブメディア「HON.jp News Blog」で2023年11月4日に公開したコラム「ライトノベル市場とはなにか? 規模はどうなっているのか?」1https://hon.jp/news/1.0/0/45689と、2024年2月9日に公開したコラム「続・ライトノベル市場とはなにか? 規模はどうなっているのか?」2https://hon.jp/news/1.0/0/46245の2本を、新たに公表された統計数値などを踏まえて大幅に加筆修正したものです。なるべく最新の情報にアップデートした上で、読みやすいように構成を一部変更し、敬体に統一しました。
続きは……
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