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先週は「青少年健全育成基本法案から表現規制条項が削除」「めちゃコミックが過去最高売上」などが話題に。毎週月曜恒例の、出版業界関連気になるニュースまとめ、2018年4月30日~5月6日分です。
「無料マーケティング」としての図書館の存在意義を認めたアメリカの出版社【連載】幻想と創造の大国、アメリカ(1)〈FINDERS(2018年4月25日)〉
見落としていました。渡辺由佳里氏の論考。「図書館は出版社の敵かどうかという議論はアメリカでは起こらない」という指摘には、耳が痛い業界関係者が多そう。なぜ日本は対立構造になっちゃうんでしょうね?
オンラインサロン31号 「漫画村をなんとかしなきゃ!」〈前参議院議員 山田太郎 公式webサイト(2018年4月26日)〉
ブロッキング騒動の裏で見落としていました。3月に参議院へ制定請願が出されていた「青少年健全育成基本法」案には表現規制の懸念があったのですが、その条項が削除され、理念法の形に骨抜きされたようです。ひと安心?
出版状況クロニクル120(2018年4月1日~4月30日)〈出版・読書メモランダム(2018年5月1日)〉
毎月楽しみな、小田光雄氏の出版状況クロニクル。「書店との棲み分けを考慮しない公共図書館の増加が、このような貸出冊数と販売冊数の逆転を生じさせたことは否定できないだろう」とのことですが、前述の渡辺由佳里氏の記事を読んでみて欲しいです。
出版業界はブロッキング問題で岐路に立っている〈マガジン航(2018年5月1日)〉
毎月楽しみな、仲俣暁生氏のEditor’s Note。ブロッキング問題を丁寧に整理しています。「緊急避難」と「緊急対策」の、言葉の混同という指摘は鋭い。気がついてませんでした。
「海賊版サイトのブロッキング」は何が問題? 揺れるマンガ海賊版サイト対策〈ダ・ヴィンチニュース(2018年5月1日)〉
NPO法人日本独立作家同盟の理事でもある、まつもとあつし氏によるイベント振り返り。瀬尾太一氏が提示してくれた「5ステップ・ディフェンス ルール」は、多くの人が納得できる案だと思います。
こんな手順で海賊版対策を考えてはどうでしょうか。サイトブロッキングに対しては手順が必要ですが、今回の状況、条件での知財本部判断は正しいと思っています。 pic.twitter.com/As9Bf5Wd47
— 瀬尾太一 (@TaichiSeo) April 28, 2018
10.3型電子ペーパーディスプレイのAndroidタブレット「BOOX NOTE」国内発売〈ケータイ Watch(2018年5月2日)〉
Android 6.0を搭載し、Google Playストアが利用できる10.3型電子ペーパー端末。なんで日本のメーカーはこういうのを出せないのか……ソニーさん、あなたのことです。
サイトブロッキングでは海賊版はなくせない:一部改稿〈電脳マヴォ合同会社(2018年5月4日)〉
電脳マヴォ小形克宏さんの論考。
今もなお自作の電子配信を拒否する人気マンガ家が何人もいる現実を忘れてはならないでしょう。「ドカベン」「はじめの一歩」「YAWARA!」「SLAM DUNK」「あずまんが大王」といった屈指の名作が掲載されていないのに、はたして「網羅的なマンガ配信サイト」を自称できるでしょうか?
激しく首肯。ちなみにマンガは、こういった大御所を若干残しているものの電子化はかなり進んでおり、テキスト系の電子化率があまりに低いのと比べたら状況はマシとも言えます。出版社が見捨てたマンガも「マンガ図書館Z」が受け皿になってますし。
インフォコム、コミック配信サービス「めちゃコミ」が過去最高売上…海賊版サイトの影響受けるも出版社と協業強化、独占先行配信が奏功〈Social Game Info(2018年5月4日)〉
売上過去最高、営業利益も前期比20.0%増だけど、計画未達。その要因を「2Qから海賊版サイトの影響を受けた」と記しているとのこと。しかし、四半期単位の推移を見ると、3Qで停滞するのは2014年からずっと続いている毎年の傾向に思えるのですが……。どうも、いまこのタイミングなら「海賊版の影響」と言っておけばいい、みたいな雰囲気を感じてしまうのは私だけでしょうか。
なお、4月25日に公開されたイーブックイニシアティブジャパンの決算補足資料では、海賊版についてはとくに触れられていませんでした。
電子書籍・電子コミックはココで買え!! 注目ストア&アプリを徹底比較〈週刊アスキー(2018年5月5日)〉
「Kindleストア」「BookLive!」「BOOK☆WALKER」「eBookJapan」「honto」「紀伊國屋書店kinoppy」「楽天Kobo」の7カ所を対象とした、最近では珍しく気合いの入った比較検証記事。冒頭に「マンガ図書館Z」の名前がありますが、記事本体で比較されていないのはご愛敬。表に線が入っていないからセルが結合されている箇所の意味がわかりづらいのもご愛敬。こうやって比較すると、決して「Kindleストア」のサービス内容が飛び抜けて良いわけではなく、むしろ本棚など劣っている点も結構あるのがよくわかります。
ネットの無断転載への逆襲が始まった 普段はバラバラの報道7社が連携した理由〈BuzzFeed(2018年5月6日)〉
続報。ちょっと先週の時点では考えが及んでいなかったのですが、この動きは今後「NAVERまとめ」以外の無断転載サイトへ波及していくようです。livedoorブログやFC2ブログをつかっている、迷惑な「まとめ」サイトが、いくつも頭に思い浮かびます。滅びるといいなあ。