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【編集部記事】※いつもhon.jp DayWatchをご覧いただきましてまことにありがとうございます。
hon.jp DayWatchでは毎週末、あまり語られることがなかった「商品管理」という観点で、電子書籍の本質に迫っていきます。そして、すでに複数出版社で使われている「hon.jpターミナル」という電子書籍書誌管理システムを使いながら、その業務対策について考えていきます。出版社勤務の方は、ぜひ研究の参考にしてみてください。—hon.jpシステム部
前回、「書誌(しょし)」とは書籍のメタデータのことであり、電子書籍にも書誌があることを説明しました。電子書籍の流通やECサイトで販売するときには絶対欠かせないものです。
出版社の電子書籍担当者なら、書誌で入力しなくてはならないデータ項目として「タイトル」「作者名」「出版社」「内容」などを真っ先に連想すると思います。5〜10個くらいのデータ項目なら、もうすでに現場で毎日のように入力しているかもしれません。
しかし、昨年度に日本書籍出版協会などが中心となって作成したこの報告書(※Internet Archive)などを読んでもわかるとおり、日本国内の電子書籍ベンダー各社の状況を確認したところ、判明しているだけで150以上のデータ項目が存在しているそうです(hon.jpの社内調査では200前後)。いくら出版社の人間だからといって、1作品のためにそれらすべてを入力できるわけがありません。1冊分を入力するだけで丸1日かかってしまいます。
なぜこのような事態になってしまったのでしょう?
書誌は、出版業界や図書館で働く人たちが仕事で使うものであり、もともとは簡素なものでした。
しかし、90年代終わり頃からインターネットとECサイトの台頭により、個人への販売業務も自動化してくれるコンピュータプログラムの開発レースが始まり、結果としてそれらのシステムが要求する仕様に合わせてデータ項目数が急増しました。つまり、業界関係者ではなく、コンピュータが書誌のヘビーユーザーになり始めたのです。
とくに最近では、電子書籍のフォーマットやデバイスの増加、レコメンドシステムなどの開発現場からもデータ項目の追加が要請されることが多くなり、項目数の増加は今後も止まりそうな気配はありません。
ここまで読んで、「データ項目が増えるのは他人の事情によるもの。うちには関係ないし、これからも5〜10項目しか入力しない!」と怒る電子書籍担当者も多いと思います。しかし、自社商品の販路を拡大(=売上の拡大)するには、結局その先にある販売システムの要求に応えていく必要があります。書誌のユーザーはもはや業界人ではなく、読者やコンピュータであることをまず肝に命じましょう。
※次回、第27回「書誌のデータ項目を理解する(3)」はこちらからどうぞ。【hon.jp】
問合せ先:hon.jpターミナルの製品概要ページ( http://hon.jp/doc/honjpterminal.html )