Anthropicとの和解を拒否した著者が他社もまとめて提訴など 日刊出版ニュースまとめ 2025.12.25

【写真】ジュンク堂書店名古屋店+猫
Photo by Ryou Takano(+Adobe Firefly 生成塗りつぶし“歩いている茶黒さび猫”)
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【目次】

政治

公取委、AI検索での記事利用を調査 グーグルやLINEヤフー念頭〈日本経済新聞(2025年12月24日)〉

ひとことコメント

Google以外も対象なのね。(鷹野)

図書館に本を売ると「赤字」になる…本屋が行政に結ばされている「不平等条約」の惨状(飯田 一史)〈現代ビジネス | 講談社(2025年12月24日)〉

「政治ベタ」な出版業界人に喝…!議員経験者の書店主が教える地方議会・行政の攻略法(飯田 一史)〈現代ビジネス | 講談社(2025年12月24日)〉

ひとことコメント

おお! これは素晴らしい。請願に成功した事例を、当事者に取材してがっつりノウハウを聞きだしています。日書連の用意したテンプレートだとわかりづらいのか。(鷹野)

文部科学省、「図書館・学校図書館の運営の充実に関する有識者会議」の報告書案に対する意見募集を実施中〈カレントアウェアネス・ポータル(2025年12月24日)〉

図書館・学校図書館の運営の充実に関する有識者会議〈文部科学省(2025年12月23日更新?)〉

ひとことコメント

年の瀬に意見募集。期間は2025年12月23日(火)から2026年1月12日(月)までと大変短くなっています。手続き的にもなんか「?」という感じが。まず「e-Govパブリック・コメント」の案件一覧には載っていません。文科省の公式サイトでも新着お知らせはありません。既存の有識者会議ページ下部に意見募集の欄が追記される形で気づきづらい。しかも Microsoft Forms ……謎だ。なんだこれ。(鷹野)

著作物等の利用に関する裁定制度に係る「裁定の手引き 概要版」を作成しました〈文化庁(2025年12月24日)〉

ひとことコメント

以前、ポッドキャストで解説した「未管理著作物裁定制度」についての手引書が公開されました。従来の制度と新制度がしっかり比較されてますね。新制度の手数料は1件1万3800円なのか。(鷹野)

Authors File New Lawsuit Against AI Companies Seeking More Money(著者らがAI企業に対し新たな訴訟を起こし、さらなる資金を求める)〈Publishers Weekly(2025年12月23日)〉

ひとことコメント

Anthropicとの総額15億ドルの和解を拒んだ著者たちが、独自に「海賊版データをAIの学習用に用いた」という理由で提訴しました。対象はAnthropicだけでなく、OpenAI、Google、Meta、xAI、Perplexity AIの6社です。Anthropicの裁判では、紙本のスキャンデータのAI学習利用はフェアユースだけど、海賊版データのAI学習利用はフェアユースに該当しないと判断されています。それゆえ「金で解決」する和解を試みたんですが、やはり「安い」と和解に応じない著者も出てきた、と。Anthropicとの和解案はまだ予備承認で、異議申し立ての期限は年明け1月15日、公聴会は4月の予定なので、まだ確定していないんですよね。海賊版データのAI学習利用はフェアユースに該当しないって裁判所の判断を見たら、他のコンテンツホルダーも続々と訴えてくる可能性が高いと思ってました。とくにMetaは、海賊版データを使っていたことがバレてますから、同じような賠償を迫られることになりますと、当時書いた通りに。(鷹野)

社会

米国で探す漫画家の「原石」 日本の出版社が育成に本格着手 市場規模3倍成長予測も アメリカを読む〈産経ニュース(2025年12月24日)〉

マンガ×AIの未来像──創造性と倫理のはざまで【後編】〈AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議(2025年12月24日)〉

日本電子出版協会(JEPA)40周年記念事業をスタート〈一般社団法人 日本電子出版協会のプレスリリース(2025年12月24日)〉

サンライズが80年代アニメの新作 アーカイブ課の半世紀が生む価値〈日本経済新聞(2025年12月24日)〉

生成AIの権利侵害「現在も止まらず」 訴訟と並行、新たな仕組みを模索〈日本経済新聞(2025年12月24日)〉

メディア界の危機的状況はこれからどうなるのか 青木 理[ジャーナリスト](創)〈Yahoo!ニュース(2025年12月23日)〉

北京の図書館に「AI司書」が登場–人民網日本語版〈人民日報(2025年12月23日)〉

米パープレキシティ「懸念真摯に受け止め」、共同通信に回答〈日本経済新聞(2025年12月23日)〉

2025年度上半期の苦情受付状況〈JARO 公益社団法人 日本広告審査機構(2025年12月22日)〉

経済

You can now buy e-books within the Storytel app(ストーリーテルアプリ内で電子書籍が購入できるようになりました)〈Good e-Reader(2025年12月24日)〉

ひとことコメント

※注:Storytelはオーディオブックのサービスです。(鷹野)

【特集】AI巡るメモリ争奪戦――2026年はPC、スマホに“冬”が到来〈PC Watch(2025年12月24日)〉

【デジタルマーケティングの真価】09 AI主体の広告クリエイティブへ 1兆ドル市場を牽引するパラダイムシフト〈The Bunka News デジタル(2025年12月24日)〉

本屋が創った本を、産学共同で“本気で売る”書泉×デジタルハリウッド、短編小説『フィフス』販売促進プロジェクト始動――1か月で500冊販売に挑戦!〈株式会社アニメイトホールディングスのプレスリリース(2025年12月24日)〉

『デザインのひきだし』今後の刊行についてのお知らせ〈グラフィック社(2025年12月23日)〉

技術

【デジタルトレンド】80 国際標準策定と裁判で進み始めた AIとメディアの取引秩序形成〈The Bunka News デジタル(2025年12月24日)〉

ひとことコメント

RSL1.0の仕様には、ライセンス標準化団体であるCreative Commonsとの協業により、非営利の知識共有コミュニティを保護する目的の「コントリビューション」オプションも導入された。

あ、クリエイティブ・コモンズが絡んでるのってRSLだったんですか。TechCrunchの記事からは読み取れませんでした。著者の堀鉄彦氏からRSL1.0の公式発表に載っていると教えていただきました。ありがたい。やっぱ一次ソースも見ないとダメだな。(鷹野)

イベント

【特番・会場参加有】2025年下半期の出版ニュースを振り返る ―― HON.jp News Casting / 大西隆幸×菊池健×libro×古幡瑞穂×西田宗千佳×鷹野凌〈東京都千代田区(日比谷図書文化館 日比谷コンベンションホール)+オンライン/12月26日〉

東京大学先端科学技術研究センター社会包摂システム分野 学校図書館等における読書バリアフリーコンソーシアム事務局「令和7年度学校図書館等における読書バリアフリーコンソーシアム:公開シンポジウム」〈オンライン/12月27日〉

日本電子出版協会「新春講演会:2026年の電子出版はどうなる?」講師:鷹野凌〈オンライン/1月9日〉

図書館流通センター「電子図書館サミット2025」〈東京都文京区(図書館流通センター 本社B1Fホール)/1月29日〉※TRC-DL導入自治体関係者のみ対象

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文フリ東京で頒布した新刊はボッドキャスト・ファーストの書籍化!『ぽっとら Podcast Transcription vol.1 ~ 詐欺広告や不快広告・金融検閲・生成AIと著作権・巨大IT依存問題など、激変する出版界の広範な論点を深掘りしてみた。』というラノベみたいな長いタイトルの本です。詳細はこちら。

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