アメリカとイギリスの2018年出版社純収益は微減

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 全米出版社協会(Association of American Publishers、以下AAP)が、2018年の統計結果を発表した。この年次レポートによると、アメリカの書籍出版産業は2018年に27億1000万部、258億2000万ドルの純収益があった。

 一般書(フィクション、ノンフィクション、宗教関係を含む)は1.5%増の161億9000万ドルと増えたが、教育書、専門書、大学出版はそれぞれ微減。全体では2017年の262億3000万ドルから微減となり、このトレンドは2014年から続いている。

 他に特筆すべき傾向としては、この5年でノンフィクションのカテゴリーが伸びており(大人向け22.8%増、児童書38.5%増)、2年連続でリテールを通して売られる本(69億ドル)をネット経由で売られる本(80億ドル)が上回った。

 フォーマットでは、ダウンロード型のオーディオブックが28.7%増と引き続き好調で、この5年で181.8%の成長率を見せている。

 その一方、イギリスの出版社協会(The Publishers Association、以下PA)が発表した数字では、全体の純収益は60億5000ポンドで、前年比2%の減収となっている。一般書は0.1%減と、大きな変化はなかった。

 イギリスのEU脱退が実現すれば、ヨーロッパ向けの輸出分に関税がかかるので影響が出ると懸念されている輸出売上は35億ポンドで、アジア、特に中国向けの輸出は6%増えている。

 内訳をみると、Eブックの売上は4年連続減少して2億5100万ポンドだが、ダウンロード型オーディオブックは同じ期間に6900万ポンド増えている。

 カテゴリー別では、ノンフィクション/参考書がここ数年微増しており、2018年はさらに1%増で9億5400万ポンドとなり、児童書も3%増の3億6800万ポンドだった。反対にフィクションは3%減の5億8800万ポンドで、ここ5年でもっとも低い数字となっている。

 イギリスでもEブックの売上は4年連続で減っており、2018年は2%減で2億5100万ポンドだった。PAの推測するところでは、KDPなどセルフ・パブリッシングのEブックの売上は、このうち3分の1ぐらいだろうと見ている。

参考リンク

AAPのサイト
https://newsroom.publishers.org/book-publisher-revenue-estimated-at-258-billion-in-2018/
The Booksellerの記事
https://www.thebookseller.com/news/uks-2018-revenues-down-2-amid-major-digital-swing-academic-publishers-1027311

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About 大原ケイ 215 Articles
NPO法人HON.jp 理事。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。
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