《この記事は約 3 分で読めます(1分で600字計算)》
【編集部記事】※いつもhon.jp DayWatchをご覧いただきましてまことにありがとうございます。
電子書籍ブームの昨今、新しい時代の到来に戸惑っているのは作家や読者ばかりではありません。意外にも、もっとも戸惑いを隠せないのは書籍の出版に携わってきた出版社の皆さんだと思います。書籍づくりのプロであるはずの出版社の人が、なぜ戸惑うのでしょうか? それは、電子書籍は名前にこそ“書籍”という単語が入っていても、実は、今まで売ってきた“書籍”とはまったく異質の商品だからです。
今週から毎週末、あまり語られることがなかった「商品管理」という観点で、電子書籍の本質に迫っていきます。そして、すでに一部出版社で使われている「hon.jpターミナル」という電子書籍書誌管理システムを使いながら、その業務対策について考えていきます。出版社勤務の方は、ぜひ研究の参考にしてみてください。—hon.jpシステム部
人は職業によって、日常的に取り扱う数字のスケールが異なります。たとえば、出版社の書籍担当者なら「X00部」「X00,000部」「X,000万円」といったスケールの数字を当たり前のように口にするでしょうし、商社マンなら「XX0,000トン」とか「X00億円」、霞ヶ関の財務官僚にもなると「X千万世帯」「XX兆円」という数字を口にすることも珍しくないでしょう。
出版社の電子書籍担当者も例外ではなく、業界独特の数字スケールに慣れる必要があります。それは、すばり「∞(無限大)」です。
電子書籍を再生するハードウェアの種類は、毎月のように増えていきます。ムーアの法則のおかげで、仕事の競争相手も、旧知の出版社数社だけでなく、新興出版社やITベンチャー、編集プロダクション、大手ブログサイト、作家エージェント会社、作家本人、海外企業、自動出版システムなど、どんどん増えていきます。
さらに電子書籍はコンピュータデータ、つまり単なる電子のパターンである以上、場所もとりませんし、時間による劣化もしません。プログラムを組めば、コンピュータの処理能力まかせで、コピーや章別・セクション別の派生商品をいくらでも制限なくつくり続けることができます。紙代や印刷代もかかりません。
競争相手に負けないよう、さらに商品を増やすことになります。しかし、6ヶ月返品や自然劣化もないので、競争相手たちの電子書籍は市場退出することもなく、店先でひたすら増え続けていきます。
競争相手を追いかけて商品数を増やすこと自体、悪い話ではありません。むしろ、電子書籍業界では定石の1つでしょう。「止まったら負けだ」と言っている出版社が多いのも確かです。
しかし、商品数や競争相手の増加が、自分が管理できるスケールを超えてしまうと、いろいろなトラブルが起こり始めます。さらに、商品数が増えた分、事務作業や編集者・作者との打ち合わせなども増え、残業も多くなります。仕事量が増えた分だけ、給料アップや増員があるといいのですが、現実は厳しいようです。
潤沢な資金を持つ出版社であれば、電子書籍担当者の作業を軽減するために、外部業者に業務のすべてを委託したり、専用の業務システムを設計して多くの仕事をそれにまかせてしまおう、と考えるかもしれません。しかし、日本国内の大半の出版社にとっては、そのどちらも到底無理な話です。
hon.jpではこれを、(2)電子書籍におけるスケール対応の問題と呼んでいます。
「hon.jpターミナル」はそれらの状況をふまえ、問題解決のために開発されたシステムです。来週、そのサービス内容について1つ1つ紹介していきます。
※次回、第3回「hon.jpターミナルとは一体何か?」はこちらからどうぞ。
【hon.jp】n
問合せ先:hon.jpターミナルの製品概要ページ( http://hon.jp/doc/honjpterminal.html )