読売新聞のAI関連社説があまりにひどいなど 日刊出版ニュースまとめ 2026.05.12

【写真】三省堂書店 神保町本店(小川町仮店舗)
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 伝統的な取次&書店流通の商業出版から、インターネットを活用したデジタルパブリッシングまで、広い意味での出版関連ニュースをデイリーでまとめて配信。ボットではありません。AIも使っていません。中の人がすべて自分の目で読んで、手作業でまとめています。2026年度のピックアップログ全件はこちら

【目次】

総合

「AdSenseのバックボタンハイジャック全画面広告廃止へ」「MetaのAI開発に大手出版社と著者が集団提訴」など、週刊出版ニュースまとめ&コラム #714(2026年5月3日~9日)〈HON.jp News Blog(2026年5月11日)〉

Around the Book World: Monday, May 11, 2026(出版業界の最新情報:2026年5月11日(月)〈Publishing Perspectives(2026年5月11日)〉

ひとことコメント

2025年出版市場を「コミック」「書籍」「雑誌」に分類し直した記事が取り上げられています。(鷹野)

新潮社がサブスクを開始 会員数3万人を目指す Publidia #256〈Publidia(2026年5月11日)〉

米国メディアが「予想市場」と相次ぎ提携、ニュースは「確率」になるのか〈Media Innovation(2026年5月11日)〉

【北米エンタメニュースまとめ】「メキシコで漫画やラノベの出版社設立」「米出版社水野英子氏の「Fire!」翻訳へ」「活況な市場にも関わらず、生活が厳しい英コミックアーティスト」「NYCでジャパンパレード、舞台「呪術廻戦」から役者が登場」「ソニー決算、Crunchyroll会員数2100万人に」〈libro(2026年5月10日)〉

【マンガ業界Newsまとめ】観るピッコマ『ANIME』スタート、コミティア代表中村公彦さん訃報 など|5/10-246〈菊池健(2026年5月10日)〉

デジタル・海外・AI出版ニュースまとめ:2026/5/9〈オーディオブックファンクラブ(2026年5月9日)〉

政治

第20回 書店人の覚書帳〈草彅主税(2026年5月11日)〉

ひとことコメント

経済産業省「出版産業における返品削減研究会」のとりまとめについて、「How(どのように)」や「具体的な数字」の欠如について苦言を呈しています。KADOKAWAの返品率は広報資料に載っていたはずだけど、政府検討会の資料には出さなかったんだなあ……と思いあらためて調べてみました。統合報告書2024には、返品率が2020年3月期:32.3%から2024年3月期:26.8%と減少しており、BECの効果が強調されていました。ただ、次の2025年3月期にはサイバー攻撃があったためか、返品率の数字が消え「業界平均よりも大幅に低い」程度の記述になっています。直近の数字は出さなかったというより、出せなかったのかな……とほほ。(鷹野)

社説:自民のAI提言 開発優先にブレーキが必要だ〈読売新聞(2026年5月10日)〉

ひとことコメント

現状では、こうした事案でAI事業者の責任を問うのは容易でない。政府が18年に著作権法を改正し、著作権者の許可なしに著作物をAIに学習させることを認めてしまったためだ。

いやー、相変わらず読売新聞の社説がひどい。レベルが低すぎる。まるで政府だけが悪いみたいな言い方ですよね。なんどでも指摘しますが、その2018年改正を議論する文化審議会著作権分科会に日本新聞協会は委員を送り込んでいますからね? 自分たち自身もガッツリ成立に関わっている法改正ですよ? なに他人事みたいなこと言ってるんですか。あと、文化庁は30条の4について「類似物の生成が著しく頻発する」ような場合は享受目的があるとみなされる可能性を早々に指摘していますし、RAGでの参照利用は30条の4を適用できないとも指摘しています(この場合、47条の5で免責される可能性はあるが、あくまで軽微利用に限る)。ちなみにいま問題になっているAI事業者の多くは海外の企業が中心ですから、日本の法律とはまったく関係なく開発・サービス提供されています。属地主義ですから。そういうのぜんぶ無視してたら説得力ありませんよ。(鷹野)

デジタル教科書の押しつけは「学力低下」を招く… 北欧の失敗から学ぶべき教訓〈デイリー新潮(2026年5月9日)〉

ひとことコメント

どんな物事にもメリットとデメリットがある。だから、検証もないまま「紙のままのほうがいい」と言い切ってしまうのは危険だが、デジタル化で「よりわかりやすくなる」と断じるのも、同じくらい危険なはずである。松本文科相のような発言を聞くにつけ、それぞれの長所と短所がしっかりと検討された跡がないように思えて、心配がふくらむ。

こっちもひどいな……いや、思うのは勝手ですよ? でも心配をふくらませる前に、ちょっとだけでも調べてみましょうよ。「デジタル教科書に関する各種調査研究」とか「デジタル教科書推進ワーキンググループ審議まとめ」といった資料が山のように文科省公式サイトで公開されているのがすぐに見つかりますから。調査研究、平成30年度から毎年のように行われてるじゃん。(鷹野)

文化庁支援事業、マンガ海外展開の人材育成プログラム第4回セミナーを6月12日にオンライン開催〈Branc(ブラン)-Brand New Creativity-(2026年5月9日)〉

社会

300万円かけた自伝が「裁断処分」に…シニアに広がる自費出版ブームの闇、家族が受け取り拒否する“悲劇の正体”〈日刊SPA!(2026年5月11日)〉

「大学生の本離れ」に隠された誤解…実際は「本を読まない層も大学に入れるようになった」と考えるほうが正しいワケ(飯田 一史)〈現代ビジネス | 講談社(2026年5月11日)〉

“ChatGPT以後”に公開のWebサイト、35%がAI生成に? 米スタンフォード大などが調査 広まる「不自然に明るい文章」:Innovative Tech〈ITmedia NEWS(2026年5月11日)〉

I knew my writing students were using AI. Their confessions led to a powerful teaching moment(私のライティングの生徒たちがAIを使っていることは知っていました。彼らの告白は、非常に貴重な教育の機会となりました)〈The Guardian(2026年5月10日)〉

ひとことコメント

あからさまにAI出力な原稿を学生から提出された経験は私もあります。この記事のようなワークショップ形式なら、絶好の教育機会だと捉えられるんですけどね。講義形式のレポートでやられると対処が難しい。しょせん単位が欲しいだけの学生なのですから、労力をかけたくない気持ちが優先しちゃうんですよね。(鷹野)

SNSに取り残された新聞 「推し活」の対象になるために必要な矜持〈朝日新聞(2026年5月10日)〉

【アニメ化で話題沸騰】『とんがり帽子のアトリエ』子どもの心に寄り添い、大人の「思考停止」と向き合う物語 「魔法は技術」の理由とは〈コクリコ|講談社(2026年5月8日)〉

【アニメ化で大反響】とんがり帽子のアトリエ・話題の漫画家が明かす「神展開」の作り方 「絶望的」な状況を作り出す秘密〈コクリコ|講談社(2026年5月8日)〉

【アニメ化で話題沸騰】『とんがり帽子のアトリエ』 才能を「特別なもの」にしない 東京藝大卒の漫画家が語る、子どもの可能性を遮らない“親の作法”〈コクリコ|講談社(2026年5月8日)〉

経済

25年書店新規店 6割近くがトーハン「HONYAL」契約 成約が100件達成〈The Bunka News デジタル(2026年5月11日)〉

「ミステリー小説専門店」に行列 健康食品の「わかさ生活」が運営する書店はなぜ、人気になったのか?〈ITmedia ビジネスオンライン(2026年5月11日)〉

デジタル広告の「落とし穴」 今、問うべき「広告の品質」とは【JICDAQ寄稿・新連載】〈Agenda note(2026年5月11日)〉

ひとことコメント

この記事でも、JICDAQは広告主の顔しか見ていないことが明らかになっちゃってますね。広告詐欺といっても、アドフラウドつまり広告費を詐取する行為の話しか出てこない。社会問題化してたのは広告詐欺でユーザーが被害を受けるケースですよね? あるいは、低品質広告が掲載されることによりメディア側のブランド価値を毀損するケースについてもぜんぜん考慮されていない。徹頭徹尾、広告主にとっての広告品質の話しかしていない。そんな姿勢だから、詐欺広告をバンバン載せてたFacebook Japan合同会社でもJICDAQ品質認証事業者に名を連ねたままでいられるという。JICDAQの活動には、私はわりと強めに失望しています。(鷹野)

変わり続けなければ前進できない。10年来、電子書籍流通事業を支える執行役員の仕事観〈株式会社メディアドゥ(2026年5月11日)〉

米CNN 独立性揺らぐ 親トランプ氏メディアが買収 「情報は市民の財産」岐路〈日本経済新聞(2026年5月10日)〉

Subscription Addiction(定期購読中毒)〈Publishers Weekly(2026年5月8日)〉

技術

Googleのサーバーにデータを送信しないはずのChrome内AIモデル、説明がひっそり書き換わり物議【やじうまWatch】〈INTERNET Watch(2026年5月11日)〉

イベント

日本電子出版協会「生成AIと出版、過去4年の衝撃と次の10年」講師:橋本大也氏〈オンライン/5月18日〉

本電子出版協会「国立国会図書館ビジョン2026-2030―共につくる知の循環」講師:館長 倉田敬子氏〈オンライン/5月27日〉

JPO 一般社団法人日本出版インフラセンター「令和8年度 特定書籍等の製作に係る書籍の電子データ提供に関する実証事業」出版社向け説明会〈東京都千代田区(出版クラブホール)+オンライン/5月22日〉

日本出版学会「2026年度 総会・春季研究発表会」〈東京都新宿区(目白大学)/5月30日〉

ひとことコメント

11:00「日本における電子書籍化の現状(2025年版)――国内書籍カタログデータベースの電子化率調査」鷹野凌(NPO法人HON.jp)/共同研究者:山本幸太郎、大井賢、堀正岳

個人研究発表やります!(鷹野)

学校図書館整備推進会議 図書館改革プロジェクト「学校図書館図書整備等5か年計画の継続・発展に向けて」〈東京都千代田区(城西国際大学紀尾井町キャンパス)/6月4日〉

お知らせ

新刊『出版とフリー 〈無料〉との競争の果てに起きたこと』について

クリス・アンダーソンの名著『フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略』(2009年・NHK出版)を再読し、日本の出版状況に合わせて考察した10年前の連載コラムが本になりました。最終章は書きおろしの「生成AIとフリー」です。

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